外伝13 [能力]
かき消されただけじゃない!
新たに魔術を発動させようとしても発動しない!
術式の構築が出来ない・・・!
こんなことありえない・・・!!
「ぼくの事は知っててもぼくだけが持つ固有能力の事までは知らないよね」
「なにそれ・・・何のこと?」
知らない・・・知らないっ・・・知らない!知らないッ!
アタシは知らない!
「違う。君は知ろうとしなかった。
ぼくの力が魔力と魔術だけだと思い込んでた」
「何を根拠にそんな事を言うわけ!?」
「だって君にはあるじゃない。
紛い物とは言え聖典が。
何でも知ってる《知識》があれば大抵の事は知りえる。
《知識》から君や他の偽物に教えるかは別としてね。
だから君はぼくに対する切り札としてのシドに目を付けたけど、魔神の事は知らなかった。
魔神の事は教えたくなかったのかもね」
魔神ってあの憎ったらしいアロハ鎌野郎か。
『鎌野郎とか言うとまるでオカマみたいでありんす』
ちょっと黙ってて。
っていうかアンタ今まで何やってたのよ。
『どうもこうもないでありんす。
魔力が突然無くなって困惑してるのはわたくしさま達も同じでありんす。
こうして貴女さまと話すことは出来ても、わたくしさま達を使う事が出来ないでありんすぇ?』
癪だけど言う通りだよクソッタレ!
「でも、だけど、だからこそ君はもう一歩進んで知ろうとしなければならなかった。
ぼくの能力を」
魔女の能力?
能力って何?
どういう意味よ?
『だから魔神の事を黙ってたバカ《知識》をボコってから吐かせたでありんす。
魔女の能力とやらを』
いや別にボコらなくても。
仲間なんだろうから仲良くしてくれ。
いやマジで。
「ぼくの能力は理想を現実に変える能力」
『魔女の能力は理想を現実に変える能力でありんす』
ハモった。
いや、それはどうでも良いんだけど、いや、まってよ。
ちょっと待って。ストップ。
今なんて言った?
「は・・・・?」
なにそれ。なんなのそれ。意味が分からない。
理想を・・・はぁ!?
「色々制約があって自由度が高いんだか低いんだか分からない中途半端に使える能力なんだけどね。
それを使って今はこの世界を一時的に魔法を使えない世界にしたんだよ。
《改変者》それがぼく本来の能力」
「は・・・?」
何を言ってるのか分からない。
「この能力は滅多に使わないし、本当はここまで範囲を広げる意味はないんだけど念のためにね」
「何その能力・・・アンタ、神にでもなったつもり!?」
「・・・遠い昔、誰かに似たような質問されたことあったような気がするかな・・・。
よく覚えてないけど・・・。
ぼくは別に神様になんてなりたくない。
頼られたり、アテにされたり、失望されたり。
そんなの、うんざりだね」
「だったら何でそんなふざけた能力を持ってるのよ!」
「・・・なんでだったかな。
もう覚えてないや・・・。」
こんなデタラメでふざけた女がいるなんて思わなかった。
いや・・・でもまだ勝ちの目はある。
勝てる可能性は残ってる。
「そう。魔力が使え無くなれば次は武力に頼るよね。
でも残念。ぼくは伊達に三百年以上生きてないし、能力で更なる肉体強化は出来る。
君は魔力が使えないと強化出来ないけど、ぼくの《改変者》は魔力を必要としないからね」
「だから何?
そんなことでおれが諦めるとでも思ったわけ?
魔王の妃が持っていた膂力を受け継いだアタシがアンタをぶちのめす!!!」
「分からない娘だな。
それすらも理想とすれば現実になる。
例えばそうだね・・・。
君よりも少しだけ強いぼくを理想にすればそれは現実になるんだよ」
「な、ん・・・。」
「不老不死になりたいなら不老不死を理想とすればいい。
身体能力もお金も魔力も一通り欲しいものは全て理想とすれば現実になって手に入った」
「不老不死も現実に・・・。」
・・・・・・・・・・・・?
その割には・・・おれは「谷間」の「た」の字もない魔女の上半身を見ながら
「本当に欲しいモノは手に入らなかったわけね」
「おいこら。今どこ見てなんつった」
物凄い形相で顔を真っ赤にして睨んできた。
怒りで赤いのか羞恥で赤いのか判断が難しいんだけどでもどこか悲しそう。
確かに同じく持たざる者として共感できる部分があるにはあるけどね。
『自覚はありんすねぇ』
うっさいバカ!
「え、いや、だって・・・でも・・・ねぇ・・・?
理想を現実にしたとは思えない幼児体型だから・・・」
「あんだも似たような体型じゃろがぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
怒りのあまり口調が変わっちゃってるじゃん。
『とても言いにくいでありんすが魔女の言うことももっともでありんす』
うっさいバカ!
言いにくいんなら言うなっての。
「うわぁぁぁぁあああああああ!!!
だってぇっひっく、しかたっがないっんっだもんっひっひっひっく・・・。
こっこのっ世界にぃ来てぇひくっひくっん・・・。
い、いちぃっばっんっ最ぃっ初にぃっふろうっふっしっに、なぁってぇっそっそっそれっからぁ・・・おっぱいをおっきくしようとぉ思ってぇ、の、能力をぉ使ぁったっらぁ・・・ひくひくっうう・・・。
ひっひくっもう・・・っ成長したったっ体型のぉ変化はぁでっ出来ないぃっみたいっでぇひくっひくっ・・・」
魔女が泣き崩れて蹲ってる。
幼い見た目も手伝ってなんだか罪悪感が多少は芽生える。
おかしいな。さっきコイツの恋人を嗾けた時は全く心が痛まなかったのに。
『やはり持たざる者同士だから同志として思う部分がありんすねぇ』
うっさいバカ!
でも納得した。
「ああ・・・【不老】だからね・・。
【成長】は言い換えれば【老い】だから・・・。」
「そう・・・。っひっく・・・ひっく・・・っ・・・だからぁ・・・。
もうぅぼくのおっぱいはぁ今後一生一切大きくならないぃってぇ・・・うわあああああああああ!!!!!!!!!」
「ああ・・・なるほどね。
それはずいぶんと・・・その、なんというか・・・。」
顔を上げた魔女がアタシの方を縋る様に見上げる。
その眼には涙が一杯溜っている。
なんて声を掛けようか・・・。
1、ドンマイ!
2、貧乳は希少価値だよ!
3、おれだって貧乳だから!
4、残念だったね。
5、恋人はその貧乳も愛してくれたんでしょ?
6、願い続ければいつかきっと大きくなるよ!
「・・・残念だったね」
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
『あれだけの選択肢でよりにもよって4番でありんす?』
憐れなんだけどなんかもうぶっちゃけめんどくさくなってきた。
この外伝も当初の予定をはるかに超えて随分と長くなっちゃったしね。
『それはぶっちゃけ過ぎでありんす』
「君ぃ・・・ぼくはもう許さないよ・・・。
これだけ莫迦にされて虚仮にされて・・・。」
魔女がゆらりと立ち上がる。
見るからに怒ってる。
ブチ切れてる。
「泣き止んだと思ったら怒りのボルテージが限界突破って・・・情緒不安定と言うか感情の起伏がおかしいでしょ!?」
「そもそもぼくはシドを利用した事に怒ってるからね」
魔女は手の関節をポキポキ鳴らしながら近付いてくる。
「アンタもしかしてその下りから実はじわじわキてたな!?」
「あとは何度も何度もぼくの貧乳でからかってきたし・・・」
魔女は軽く赤面しながら拳を震わせてる。
「あ、アレはアンタだっておれの事を貧乳だってバカにしたじゃないか!」
『どっちもどっちでありんす。
わたくしさまからすればどちらも変わらない程のド貧乳でありんす』
あ?今なんて言った?
っていうかアンタ一体どっちの味方なわけ!?
「もう問答は無用じゃないかなぁ!?
おらぁぁぁぁああああああああ!!!!!!!!!」
走って助走をつけて殴りかかってきた!
思っていた以上に走るのが速い!
あっという間に距離を縮めてきた!
おれは左手で魔女の拳を受け止める!
ッドンと衝撃が手の平から身体全体へと伝わる。
って重!速!硬!
何この一撃!
魔法使い系統の職種の人間が放っていい威力じゃないだろこれぇ!
普通の人間だったら多分この一発でガードごと吹き飛ばされて壁に減り込んでるわよ!?
美乳天使「なんでアオイさんは不老不死を解除しようと思わなかったんですか?」
爆乳天使「思わなかったんじゃないですー。
出来なかったんですー」
美乳天使「え?」
爆乳天使「不老不死を理想とした時にアオイさんは期間を決めなかったんですー。
『好きな時に不老不死になれる』とか『解除を願うまで不老不死に』とかー」
美乳天使「貴女まさかそのルールをわざとアオイさんに教えなかったんじゃないでしょうね?」
爆乳天使「ただでさえブッ壊れチート能力を与えたのにそこまで親切にはしませんよー」
美乳天使「なら始めから『理想を現実に変える能力』なんて与えなければ良かったじゃないですか」
爆乳天使「それだと面白くないじゃないですかー」
美乳天使「貴女がですか?」
爆乳天使「読者の方がですー☆」




