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俺とあいつのチートはどちらが強い?  作者: 黒猫
天使と村娘と奴隷
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4話 癒される事になった。

 ヤマトは床に座りベッドにもたれ掛かっている。

 虚ろな目をして呆然としている。

 とてもじゃないけれど、シトラスが作った食事を食べられる状態ではない。

 心配になったシトラスとフレイアがヤマトに話しかける。


「ヤマト君・・・食欲、ありませんか?」

「ぁぁ、俺の事は、良い・・・」

「御主人様・・・」

「良いから・・・。放っておいてくれ。」


 そのままヤマトは目を閉じる。


(疲れた・・・。何も、考えたく、ない・・・)


 ヤマトは睡魔に身を委ねる。




ーーー

(あ、ぁぁ・・・?

 ここ、どこだ・・・?

 確か、ぁぁ、死んで、落ちて、色々あって・・・?)


 ヤマトはまだ混乱している。

 ぼーっとした頭で状況を把握する。


(シトラスの家に来て、気持ち悪くなって・・・。

 ぁぁ?寝てた、か?

 床、にしては、頭の下が、や、わらか・・・?)


 ヤマトはシトラスに膝枕をされていた。

 細いにも関わらず全く硬くなく、むしろどんなクッションよりも柔らかく暖かく気持ち良い感触がそこにはあった。


 頭を動かさないように見回すと、部屋の隅でフレイアは身体を丸めて座って寝ている。

 シトラスは膝枕のまま、右手をヤマトの頭の上に乗せたまま寝ている。


(これは、一体どういう状況だ?

 いや、膝枕をされているのは理解できるが・・・)


「っくしゅんっ」

「!?」

「あ、ヤマトくん、ごめんなさい。

 起こしちゃいましたか・・・?」


 寝ているフレイアを起こさないように、2人は小声で話す。


「あ、いや、大丈夫・・・。

 俺、どのくらい寝てた・・・?」

「正確な時間はわからないですけど、そこそこ長く寝ていたと思いますよ?」

「ああ、悪い、膝痛めるよな。今起きる」


 起き上がろうとするヤマトをシトラスは手で押さえる。


「・・・シトラス・・・これじゃ起きれないんだけど・・・」

「・・・大丈夫です。

 全然、痛く無いですから・・・。

 むしろヤマト君の心の方が痛かった。ですよね?」

「っ!

 ・・・そ、れは、っ」


 シトラスはおもむろにヤマトの唇に唇を重ねる。

 そのままシトラスは優しくヤマトの頭を撫でる。

 最初は驚いていたヤマトも目を閉じてシトラスの甘い口づけを享受する。


「ん、ぷぁ・・・。

 ヤマト君、泣いてます」

「・・・ほ、んとうは、人を殺したくなんて、なかった・・・。

 でも、そう、するしか、方法が無くて・・・。

 俺は、何てことを・・・」

「ごめんなさい。ヤマト君。

 私達は君に全てを押し付けちゃいましたね。

 でもありがとうございした。そのお陰で私は、私達はヤマト君に救われたんです」


 その言葉を聞いて、ヤマトは限界を超えて全てが溢れた。

 ヤマトは左腕を自分の目の上に置いて涙を拭いながら泣き顔を隠す


「っ!!!

 ぁぁっぁぁぁぁぁっ

 ぅぁぁぁぁっ

 なんで俺なんだよ!

 なんで俺はこんな能力にしたんだよ!

 二次元の最強の能力だからって、なんでこんな能力!

 確かにあの世界の中じゃ1万人を越えるクローンを殺してたよ!

 でも、異世界じゃ人を殺す事は・・・ないだろうって、思ってた、のに、俺は、俺はぁぁぁっ」


 シトラスはただただ優しい顔をして、愛おしそうにヤマトを撫でる。

 そのままシトラスはヤマトに言い聞かせるように話す。


「ヤマト君・・・辛いですよね。

 なんて、分かったような事を私には言えないですけれど、あまり自分を責めないでください。

 その能力?っていうもののお陰で命を救われた女の子がここにいるんです。

 そしてたぶん、ヤマト君はこれからもその能力を使って色んな人を助けていくんです。

 その過程で止む終えず命を奪う事があるかもしれないです。

 だけれどその両手はただボロボロになるだけではないはずです」


 そのままシトラスはヤマトの右手を取ると自分の胸に布越しで当てる。

 張りのある弾力がヤマトの掌にじんわりと広がる。


「シトラス・・・?」

「んんっヤマト君・・・。

 ちょっと手つきがえっちぃです」

「ご、ごめん・・・」


 ヤマトは胸から手を離そうとするけれど、それをシトラスが許さない。


「えっちぃ、ですけど、嫌いじゃ、ないです・・・」

「え・・・」


 ふいに衣擦れの音がした。

 とても静かでとても狭い家の中だからこそほんのわずかな音ですら響く。


「「!?」」


 2人は物音に驚いて、音源の方を見るとフレイアと目が合う。

 恐る恐るヤマトがフレイアに問いかける。


「あのー。フレイアさん?

 一体どの辺りからご覧に・・・?」

「御主人様とシトラス様が、キ、キスをされてる辺りから、です・・・」

「きゃっ」


 恥ずかしさのあまりシトラスは思わず小さく悲鳴をあげて両手で顔を隠す。


「それって結構最初の方じゃね?」

「も、申し訳ありません・・・。

 盗賊だった故、物音には敏感なので・・・。

 あ、おれのことは気になさらず、ど、どうぞ続きを・・・」

「だ、だってさ。

 シトラス、ど、どうする?

 続き、する?」


 ヤマトは内心ドキドキしながらシトラスに聞いた。

 年齢=彼女いない歴の男には刺激が強過ぎた。

 シトラスは顔を隠しながら小声でヤマトに告げる。


「その聞き方はズルい、です・・・。

 でも、命を救ってくれたお礼と、負担を押し付けてしまったお詫びに癒してあげたい、です・・・」

「・・・シトラス・・・」


 ヤマトはシトラスの献身的な気持ちといじらしさに胸を打たれた。

 そしてヤマトの方からシトラスの唇を奪う。

 最初は啄ばむ様に優しく短い時間を何度も。

 段々と重ねる時間は長くなり、お互いに貪るように求め合う。

 そのままシトラスがいつも使っているベッドに2人で横になると、2人は初体験を迎える。

 フレイアの放つ炎魔法よりも、ある意味熱い、燃えるような夜をヤマトとシトラスは過ごした。

 フレイアが見ているのも忘れて2人は愛し合った。

ブクマありがとうございます。

誤字脱字、設定や会話の矛盾等無いようにしていますが、もし何かあればメッセージ等お願いします

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