表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

挿入話:ミチル大王

 うさぎ王国の王城にて。書類が山積みにされた部屋がある。祭りを終わらせてほしい、変態達をどうにかしてほしいなど、びっちりとクレームが書かれている。

 男はその一つ一つに目を通しながら、横目で水晶玉を見ていた。


「トマト王子がくるか」


 男はあご髭をいじりながら、口の端を上げた。水晶玉には、山道を歩くトマト王子の姿が映っている。

「祭りは盛り上がりそうだな」

「じゃまするわよーぅ、キーちゃん」

 ぶしつけにドアを開けたのは、醜悪な巨漢だった。金髪縦ロールにどくろをあしらった肩当てに露出度の高い鎧にと、見るからに怪しい。

「ほぅら、新しいエサよん」

「エサってこの書類の事か? またクレームがきたのか」

「ヤギならありがたがって食べるわよ。嫌なら、ちゃっちゃとクレーム処理しちゃってーん」

「無茶を言うなって。俺ヤギじゃないし」

「あらいやだ、生意気な子ね」

 金髪縦ロールは、腰元から剣を抜き、刃の舌なめずりを始める。

「久しぶりに誰かを切りたいんのよねぇ。でなきゃ、私の魔剣ウピッピーダークがかわいそうでしょーぅ」

「勘弁しくてれ。おまえだって、クレーム処理班がいないと困るだろう」

「班って、あなた一人しかいないのに」

「言葉の彩だ。とにかく、その物騒なものをしまってくれ。おっかないから」

「いっやーんもっと丁寧に頼んでー。ミチル激おこー」

 醜悪な巨漢、ミチル大王はぶるんぶるんと首を横に振った。

 キーちゃんこと、キーゼルバッハ王は呆れ顔だ。

「はいはい。いつもどおりお願いすればいいんだろ。お美しいミチル大王様、どうか憐れな俺のお願いを聞いてください」

「心がこもってないわねぇ。まあ、今はゆるしてあ・げ・る」

 そう言って、ミチル大王はウィンクをした。

「クレームが片付いたら、鼻血王国の実権をすべて渡すという誓約書にサインもらうから、その気でね。なんなら今から書く?」

「遠慮しておくよ。クレームへの返事を各地に届けるのに、どうしても鼻血王国の部下が必要なんだ」

 ミチル大王は舌打ちをして、剣を鞘におさめた。

「なんか、怪しい動きをするのもいたけどねぇ。トマト王子に会いにいった子もいたとか」

「気のせい気のせい。行きずりに会っただけだよ、きっと、うん」

「……へぇ。よくできた偶然ねぇ。うさぎ達も帰ってこないし」

 ミチル大王が、疑いの眼差しを向けている。キーゼルバッハ王は、パタパタと両手を振った。

「そんなに見つめないでくれ、照れるから。そういえば、うさぎ達には書類を預けていたようだが、どんなものだったんだ?」

「野菜王国の実権をすべて渡すという誓約書で、トマト王子がサインすればよかったんだけど……うさぎ達、しくじったのかしら」

「そのトマト王子がくるんだろ。なら、本人に直接書いてもらえばいい」

「あっらーん、キーちゃん頭いいー」

 普通は思いつくぞ、という言葉を飲みこんでキーゼルバッハ王は頷いた。

「歓迎パーティーでもしたらどうだ? きっと喜ぶぞ。そうなれば、サインをもらいやすくなる」

「うふふ、とびっきりのパーティーを考えてあるわよぅ。あなたも楽しみにしてね」

 ミチル大王は、高笑いをしながら部屋を去った。


「いったい何が起きるのかな」


 キーゼルバッハ王は、ため息を吐きながら、水晶玉に視線を移す。そこには、ミチル大王の手下達をぶっとばすトマト王子の姿があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ