〜始まり〜
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生きてるのに疲れた。いや正確には疲れているわけでなく刺激のない生活にうんざりしていたのかもしれない。
何事もなく過ぎていく日々。
平和そのもの。どうしたことだろう。
世界には食糧難や戦争の恐怖が渦巻く国さえあるというのに。
しかし今の俺はその恐怖がひどく魅力的に見えた。
明日が見えない恐怖。生きてることそのものが奇跡のような世界。
そんなものを望んでいたと思う。
そんな中でふと考え込む時があった。
もし俺が女としてこの世に生まれていたらどうなっていたのだろう?
ひどく興味をかき立てられた。
どうなっているのか想像だにつかない。
面白そうだと思った。昨日までは・・・。
「薫〜!ご飯できたわよ〜!」
と母の呼ぶ声とともに起きる。
俺の名前は吉田 薫。
日本の高校に通う単なる一般ピーポーだ。
成績はふつう。特に特技とかがあるわけではない。
年は17才。彼女なし。酒・たばこは×。
友人が多いわけでもない。自己紹介はこれくらいにしておこう。
俺は母に起こされ階段を下りていった。
なぜか起きたあがった時から少々頭が重い気がする。
まず目を覚ますため洗面所に向かうことにした。2〜3回顔を水で洗う。
なんか髪がうざったく感じた。
そしてタオルで顔を拭きふぅとため息をつきながら鏡を見た。
その瞬間、俺は絶句した。
俺の顔が変わってる。鏡に映った顔はいつもの俺の顔ではない。
男の顔ではなく女になっていた。
自分の顔に触れてみる。やはりいつもの顔ではない。
それに髪がセミロングくらいまでのびていた。
毛先が水で軽く濡れている。
慌てて全身を確認した。違う。やはりいつものままではなかった。
胸に膨らみができ、男にあるべきものもなかった。
どうしたことか。昨日寝る前まではふつうの男としての体だったはずだ。
これは夢だと思い古いがほっぺをつねってみた。
痛い。夢ではない。これからどうしよう。俺の体は一体どうしたんだろう。
そんなことばかり頭をよぎった。
洗面所で躊躇っていても仕方がないので母に協力を仰ぐことにした。
「母さん、ちょっと話が・・・。」
と言って茶の間へ行くと母が朝食をとっていた。
「やっと起きたわね。さぁ朝ご飯食べ・・・!?」
「あんた誰!?」
即答。ちょっとへこんだ。
「薫だよ!見てわかるでしょ!?自分の息子でしょうが!」
と俺もとい私(?)がいうと
「薫?うちの薫は男ですよ!ったく薫もすみにおけないわねぇ。いつの間に女の子つれてあがったんだか。」
母はそういった。
「だから俺が薫だっての!」
思わず叫んだ。
母はびっくりした様子で目を見開いた。
「だからうちの薫は男・・・。」
といったので
「じゃあ部屋見てきなよ。誰もいないから。そうすれば信じられるでしょ?」
と俺がいうと
「確かにその通りだわねぇ。玄関に靴も私と薫の分しかなかったし。」
といって俺の部屋にあがっていった。
数分後母が青ざめて帰ってきた。
「ホントにあなた薫?」
と聞いてきたので
「そうだって。なんかわかんないけど起きたらこんなんになってた。」
うつむきながら返した。
母は
「どうなってるの?」
といった。
こっちが聞きたいよ、全く。
「全く理解できない状況なんだ。一体どうなってるのか。朝起きたらこんな風になってた。それだけだよ。」
沈黙が続いた。