ある恋のカタチ
いつも通り変わらぬ朝。
いつもと同じ静けさの中。
いつもの通りで君と出逢った。
いや、それは出逢いでさえなくて、ただぼくが君を見かけただけに過ぎない。
君はぼくのことなんて見向きもしない。
当然だよね。
君にとってぼくは、ただの一風景に過ぎないんだから。
昨日までぼくにとって君がそうであったように。
でも、君は風景ではなくなった。
ぼくの目には、一際あざやかな光彩を放っているように見えるんだ。
なぜだろう。
これが恋に落ちるって奴かな。
だとしたらぼくにとっては初めての感情で、だから戸惑いと気恥ずかしさで変になるんだ。
君には関係のない話だったね。
君の知らないところで、ぼくは恋をした。ただそれだけのことなんだ。
わかっているよ。
きっとこの恋は叶わない。
だって、君は隣を歩く男性と幸せそうに笑いあっていたから。
だから――。
いつも通り変わらぬ朝。
いつもと同じ静けさの中。
いつもの通りで、ただ君を想う。