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探偵は胸を揉む  作者: リチャード裕輝
探偵は胸を揉む:『霊感(パイ)コメトリー・オブ・ザ・デッド』

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『除霊配信バトル 〜サヤカ覚醒編〜』



『除霊配信バトル 〜サヤカ覚醒編〜』



第一章:映り込んだ「間違えた男」


「はいどうもー!心霊系YouTuber《ゴーストハンター翔》です!……見てください、これ。マジでヤバくないですか?」


深夜、築40年の廃マンション。スマホの画面越しに、翔が興奮気味にカメラを回す。


廊下の突き当たり、街灯の光が届かない闇の中に、それはいた。


長い髪、透き通るような白い肌、そして虚空を見つめる虚ろな瞳。


コメント欄は一気に加速する。


『うわ、ガチだ』『作り物にしては質感がリアルすぎ』『翔、逃げろ!』『怖すぎて笑ったwww』


「今日はこの地縛霊を、生除霊します!視聴者のみんな、高評価ボタンよろしく……って、え?」


(……あれ、よく見たら俺の用意した仕込みの子じゃなくね??)


翔が本気で震え出したその時、あまりにも自然に一人の男がフレームインしてきた。


あまりにも自然に、あまりにも場違いな男。


「……あ、すみません」


男は無表情で、困ったように頭を掻いた。


「誰だよお前!今配信中なんだけど!」


翔の怒鳴り声に、男は淡々と答える。


「久我です。……現場間違えたみたいです。私はただ、おっぱいを揉みに来ただけですが」


コメント欄がざわめき、一気に炎上。


『え!?』『犯罪!?』『BAN不可避ww』『胸解析?何事ww』



第二章:神速の揉み除霊


「変態かよ!揉みにって、ここは心霊スポットだそ!!どけ……って、おい!?」


翔が絶叫した。


久我は、震える女の霊の前に立つと、何のためらいもなく、その豊かな胸をガシッと鷲掴みにしたのだ。


『は!?!?』『放送事故!!』『BANされるぞ!』『通報した』『いや、除霊してる!?!?』


コメント欄が怒涛の勢いで埋まる中、女の霊もまた、顔を真っ赤にして叫んだ。


「ちょっ、ちょっと何すんのよ!!」


しかし、久我は真顔のまま、掌に伝わる霊魂の振動を分析していた。


「……なるほど。胸でかいな…..じゃない、怨念の核は左胸の奥。包丁での一突き。犯人は……当時の管理人ですね」


「なるほどじゃねえよ!!」


翔のツッコミが廃墟に響き渡る。


「……あ、そういえばさっきの女」


久我は思い出したように呟いた。


「先ほどそっちにいた白い服きたコスプレ女、揉んだら泣きながら帰って行きましたよ。あちらはほぼ真っ平らな胸のサイズでしたね笑……」


(おい!そっちが俺の仕込みだったんですけど……!何してやがんだ…..俺の貧乳(彼女)をディスるな!)


翔が心の中で絶叫する中、コメント欄はさらに別の意味で大炎上。


『通報しろw』『泣かせて帰すとか最強かよ』『平らな胸笑、じゃねえよww』『胸解析すぎるww』


さらに久我は、胸の霊気の波形をスマホでグラフ化して実況する。


「この波形が、怨念の強度に直結してます。震えの周波数は…」


コメント欄が数学的解析に突入。


『霊気グラフww』『胸でFFTしてるww』『科学的除霊ww』



第三章:死者のログイン


その時、翔のスマホにコラボ配信の割り込み通知が届く。


画面が分割され、現れたのは登録者100万人超のトップYouTuber《霊王レイジ》だった。


「ははっ、翔。また安っぽいいつものヤラセか?その変質者、お前の仕込んだ演者だろ?」


レイジは派手な金髪をかき上げ、画面越しに久我をあざ笑った。


だが、久我は冷徹な眼差しでレイジの顔を見据える。


レイジの顔色は土気色で、不自然に視線が定まらず、その周りには数匹のハエがたかっている。


「……君。昨日、死んでないか?」


コメント欄が一瞬で凍りついた。


『え?』『死んでる?』『レイジ、今配信してるじゃん』『ガチ心霊案件ww』


女の霊も横から頷く。


「……その人、さっきからこっち側に半分足突っ込んでますね。血の匂いがする」


「……心筋梗塞だ。君、昨日の配信中に倒れただろう。その後、病院に行かずに気合で復帰した。君も僕と同じ本物の霊能力者みたいだな。その霊力で持ち堪えているが、肉体はすでに限界を超えている」


「な、何を……」


レイジの顔から血の気が引き、次の瞬間、彼は配信画面の前でガクリと床に崩れ落ちた。


倒れたまま無理やり手に持ったペットボトルを口に運ぶ。


「ごくっ……むぐっ……あれ、風邪かな?全く味しない……?」


液体は口からこぼれ、鼻やあごを伝って床に落ちる。


さらに操作を誤ったらしく、画面に全画面キラキラフィルターや目玉エフェクトが勝手にかかり、映像はカオスそのものだ。


視聴者は爆笑した。


『えwww全画面ハートエフェクトwww』『幽霊、やること雑ww』『レイジww完全に死んでるの気づいてないww』『幽霊コメディwww』


翔は絶叫しながら椅子から滑り落ち、足を引っかけて転び、マイクを落とすなど実況リアクション全開。


「うわあああああ!!!」


コメント欄はさらにヒートアップ。


『翔www実況が絶叫だけwww』『実況事故www』『除霊コントwww』


そんな中、女の霊や久我もコメント欄に反応する。


「通報しろww」に女の霊が小さく“ふんっ”と浮かび上がり、

「女の霊の胸でかすぎww」に久我が真剣にメモを取り、「右胸のデータ、追加」と解析する。


視聴者は大爆笑しながらも目が離せない。配信者だけでなく、霊や久我までコメントに反応するのだ。

まるで配信世界全体がひとつのカオスな舞台になっていた。



第四章:サヤカ、無機質な蘇生


コメント欄が一瞬で凍りついた直後、久我の背後から完璧にメイド服を着こなしたクールな美女がスマホを構えて現れた。


『うわ、誰この可愛いメイド!?』『ガチ美少女きた!』『名前は?名前教えて!』『サヤカタソ……!?』


どよめく視聴者をよそに、彼女は感情の欠片もない瞳で画面上のレイジを凝視する。


「……ターゲット確認。名前はサヤカ。魂の定着率10%。肉体、強制的に呼び戻します」


「サヤカタソ……サヤカちゃんっていうのか!」


『きゃわいい!ペロペロしたいわ!』『サヤカタソ、むしろ罵倒して!全力でぶん殴られたいわ!!』


地獄のようなコメントが流れる中、サヤカはゴミを見るような目で画面を睨みつけ、端末を高速で操作した。


その瞬間、画面越しのレイジの体が**ドクン!**と大きく跳ねた。


「ッハァァ!!? げほっ、ごほっ……い、生きてる……?」


心霊配信中に死にかけ、心霊配信中に蘇生される。

前代未聞の光景に、視聴者は熱狂した。


『生き返った!?』『サヤカタソ、バグレベルに強すぎる』『心霊配信で医療案件とか神回かよ』『スパチャが止まらんwww』


一気にサヤカへの投げスパチャが乱れ飛ぶ。



第五章:後始末係の宣告


「レイジ、命拾いしたな。医者に急いで行け」


翔が呆然と呟く中、女の霊は久我に向かって深々と頭を下げた。


「……ありがとう、久我さん。私の無念を分かってくれて」


「サヤカさん、女の霊が残っています。処理を」


久我が指示を出すと、サヤカは無造作に霊を追い払う仕草をした。


「しっしっ。……除霊完了。邪魔です」


「雑!? 私、サヤカさんと同じEカップだし、一応この話のヒロイン候補だったんじゃ……」


霊は消え去り、現場には静寂が戻った。


カメラのレンズに、サヤカがグイッと顔を寄せる。


「サヤカさん可愛い!」「メイド最高!」というコメントが流れる中、彼女は真顔で言い放った。


「勘違いしないでください。私はメイドじゃない。……後始末係です」


「正しいね」


久我が横で頷く。


サヤカはカメラを指さし、最後の一撃を加えた。


「次、変なコメント(セクハラ)したら、端末ごとBANします」


配信終了。画面が真っ暗になる。



後日談


後日、レイジは病院で「心臓が一度止まった痕跡がある」と診断され、医者に説明できず頭を抱えた。


翔のチャンネルは永久にバズり続け、サヤカは謎の「美少女メイド(?)後始末屋」としてファンクラブが設立される事態に。


そして、久我はというと再び現場を間違えていた。


「……久我さん、ここは女子寮の更衣室です」


サヤカが冷たい視線を送る中、久我は右手の感触を真剣に分析している。


「何を言ってるんだ。そこに胸がある限り、揉むのみだ」


その瞬間、目の前の女子たちが同時に悲鳴を上げた。


「きゃーっ!!?」


その声に反応して、スマホの画面がフリーズしかける。コメント欄も大爆発だ。


『きゃー!?』『女子寮www』『久我、またやったのかww』『サヤカタソ、助けてww』『胸解析まだやってるwww』


翔の声も配信越しに響く。


「うわあああああ!!!また配信事故だ!カメラ回すなwww」


しかし久我は冷静だ。掌のデータを取りながら、端末に向かって淡々と分析を続ける。


「……なるほど、胸の質感も前回と違う。サイズ・柔らかさ・霊気の伝達速度、完璧に記録」


サヤカは端末を手に立ち上がり、真顔で告げる。


「勘違いしないでください。私はメイドでもヒロインでもありません。後始末係です」


視聴者のコメントはさらにヒートアップ。


『サヤカタソ、怒ってるのに可愛すぎwww』『久我、分析止まらんwww』『きゃー!きゃー!!』『胸解析バカwww』


久我はただ頷き、今日もまた胸を解析する右手の旅を続けるのであった。


その背後で、サヤカの冷たい視線が鋭く光る。


「……次、変なコメントや行動したら、端末ごとBANします」


女子寮に響き渡る「きゃー!」の声。


そして配信画面は、画面外の視聴者たちの爆笑と共に、ゆっくりと暗転した

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