怨霊3D 全裸の戦慄
怨霊3D 全裸の戦慄
1. 怨念の円盤
「助けてください……もう、私しか残っていないんです」
ユウキの前に現れた依頼人の顔は、土気色を通り越して死人のようだった。差し出されたのは、不気味な黒ずみがこびりついた剥き出しのDVD。
「これを見た者は一週間以内に死ぬ。助かるにはダビングして誰かに見せるしかない……。これ、コピーです。どうか、どうか!」
依頼人が逃げるように去った後、部屋の温度が数度下がったのをユウキは肌で感じた。ディスクからは、湿り気を帯びた獣のような異臭が漂っている。
「これ、キズがついちゃあれだから、そのまま置いとくのはマズいな……」
ユウキは棚の隅にあった空ケースを適当に掴み、呪いの円盤を押し込んだ。表紙には『濡れた女 3D-VR対応 』。パニック寸前のユウキは気づかない。
「久我さん……留守か。机に置いて、後で説明しよう」
だが、その直後の電話一本で、ユウキの意識から「死の呪い」は綺麗さっぱり抜け落ちてしまった。
2. 隣室の変事
数時間後。夜の静寂を切り裂くように、隣の久我の部屋から、おぞましくも艶めかしい「絶叫」が響き渡った。
「はぁッ、あんッ! 激しい……ッ! 良いッ、ああッ!!」
「……ふむ。これは、実に見事な質感だ」
(……しまっ……久我さん、帰ってたのか!?)
ユウキの脳裏に「一週間以内に死ぬ」という言葉が蘇る。あのDVDを見れば、テレビから本物の怨霊が這い出してくるはずだ。
「久我さんッ! 見ちゃダメだ!!」
3. 阿鼻叫喚の桃源郷
ユウキがドアを蹴破る。
「!? 」
そこにいたのは、準備万端の全裸姿の久我だった。
テレビ画面からは、死装束を纏い、髪を振り乱した「濡れた女」の幽霊が、呪い殺そうと這い出していた。……いや、這い出そうとしていた。
女は腰までテレビから身を乗り出した状態で、全裸の久我に胸をガッツリと鷲掴みにされ、完全に「女」の顔で悶絶していたのだ。
「良いッ……ああッ……気持ち良いッ、ああああッ!!」
「今の3D技術は革命的だね。飛び出してくるだけでなく、霊体特有のひんやりした弾力まで再現されている。つい敬意を表して脱いでしまったが、正解だった」
久我は至極真面目な顔で、しかし凄まじい指運びで怨霊の胸を揉みまくっている。
「あ、あああぁぁぁーーっ!!イクッ!…..」
呪いの主である女は、あまりの快感に怨念をすべて喪失。白目を剥いて光の粒子となり、そのまま空の彼方へ昇天・消滅した。
(……嘘だろッ……本当にいっちゃったよ(成仏)…..)
4. 結末:ふふふ
「あっ、ユウキくん、君も一緒にどうだい??なんてね、全くこんなところ見られていたなんて恥ずかしいな。もっと見てくれ….いや、見ないでくれ」
久我は全裸のまま、少しだけ照れたようにアラレもないポーズをとった。
「今の映像はすごいね。思わずたくさん触っちゃったよ。ユウキくん、君もなかなか、いやらしいのを見てるんだなぁ。良い意味で同類だったとは」
「あ、ええ……。お楽しみのところお邪魔しました。ごゆっくり……」
ユウキは力なくドアを閉めた。
廊下に出たユウキは、久我が最後まで「呪い」の正体に気づかなかったことを確信する。だが、怨念は消え、恐怖は性欲に上書きされた。
「知らずのうちに、幽霊も除霊されましたし。このDVDも、もう呪いが解けましたか」
ユウキは静かに呟き、満足げに微笑んだ。
「ふふふ」




