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探偵は胸を揉む  作者: リチャード裕輝
探偵は胸を揉む:『霊感(パイ)コメトリー・オブ・ザ・デッド』

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第9話:ブラ幻想トーナメントあるいは日本からティッシュが消えた日

霊感パイコメトリー・オブ・ザ・デッド』



第9話:ブラ幻想トーナメントあるいは日本からティッシュが消えた日


話は少し戻って、第8話の前のお話。


1. 導入:禁断のイメトレと「サプライズ」

探偵事務所の奥。久我奏太は、モニターに映る星野めるるのライブ映像を食い入るように見つめながら、両手を宙で泳がせていた。指先を細かく動かし、虚空の弾力を確かめるその姿は、客観的に見て事案である。


「めるるん、きっと柔らかいだろうな……」


そこへ、助手のユウキがニコニコしながらドアを開けた。


「久我さーん、お茶淹れました……あ。」


「!? おい! 待てユウキくん! 勘違いするなよ! これはイメージトレーニングだ!」


「フフフ、いいんですよ久我さん。男は皆、グラビアを妄想に抱きますから……さあ、そんな久我さんにすごいサプライズですよ。久我さん、今回は除霊ではなく、彼女の深層心理に入り込み、彼女の『一番のブラ』を探しましょう!」


ユウキがドアを大きく開けると、そこには帽子を深く被り、目に涙を溜めた下着姿の本物の星野めるるが立っていた。


「久我さん……助けてください。私、最近仕事が手につかなくなっちゃって……。何を着ても、どうしても胸のあたりがモゾモゾして……。撮影中も、歌っている時も、不快感で集中できなくて……。私にとっての『一番』が、もう分からなくなっちゃったんです」


2. 導火線:探偵の「聖域」と天国の手触り

Eカップという「造形美の極致」ゆえに、数多のブラに翻弄され、物理的な違和感に苛まれる彼女の胸。久我は彼女を救いたい一心で手を伸ばしかけ――しかし、激しい戸惑いに襲われた。


(……触って、いいのか? ファンというのは、本来、距離を守る生き物だ。憧れのまま、触れぬ聖域として眺めている方が良いのではないか。触れてしまえば、彼女をただの『生身の女』として上書きしてしまい、逆に遠くへ行ってしまうのではないか……)


崇高なファン心理ゆえに硬直する久我。だが、背後からユウキがニコニコしながら久我の背中を押し、その両手を強引にめるるの胸へと導いた。


「さあ久我さん、グズグズしないで! 早くダイブしてくださいね! はい、ドーン!」


「ちょ、ユウキきゅん……あっ!!」


プニュプニュン……。


「……っ、やはりレベチだ!」


触れた瞬間、偶像は圧倒的な熱を持った。指先から伝わる瑞々しい弾力。揉むことで伝わる生命の脈動。それは、葛藤を吹き飛ばすほどに天国のような手触りだった。


「はぁ……天国みたいだ……一生このままでいたい」


――サイコメトリー、起動。久我の意識は、彼女の精神世界「ブラの闘技場」へとダイブした。


3. ブラ幻想トーナメント:激闘の記録


久我の意識がダイブしためるるの深層心理。そこは、の神々が激突する巨大な黄金の競技場だった。


実況解説:スポブラ妖精(自称・優勝候補のナビゲーター) 「さぁ皆さーん! 優勝候補の一角である私、スポブラ妖精が実況しますよ!」


ユウキ:「スポブラ?……ダサいですよね。正直、まだ胸も膨らみ始めの子が使ってるイメージですね(笑)」


久我:「何を言ってるユウキくん、時にはロリな気分も大切だぞ。……俺はスポブラが大好きだ」


ユウキ:「はい。それでは、スポブラは久我さんに(袋から出す)」


久我:「お、おう……(装着)」


久我はスポブラを装着した異様な姿で、精神世界の解説席に陣取った。


【第1回戦:剛柔激突】ワイヤー騎士 vs スポブラ妖精


妖精が「伸縮自在の面で圧を分散……」と防御陣を敷く間もなく、騎士が放った奥義『クーパー靭帯死守・鋼鉄の檻』が炸裂。金属骨格が妖精を瞬殺し、形を強引に固定。


妖精:「負けました泣。でも、気を取り直して、このまま実況続けてくわ!」


【第2回戦:虚実流転】盛りブラ魔女 vs 癒やし天使


魔女は「厚さ3cmのレモン型パッド」という幻惑魔法で、物理法則を超越した谷間を錬成。しかし天使は、ノンワイヤーの『無重力抱擁』を展開。重圧から解放されためるるの心が、「偽りの高さより、ありのままの安らぎ」を選択。


【第3回戦:装飾と隠密】高級レース貴婦人 vs Tシャツ忍


総刺繍の贅を誇る貴婦人に対し、忍は『シームレス・ベージュの術』を発動。服の上から存在を完全に消す「見せないことこそが日常を支える」という静かな一撃が、貴婦人の矜持を射抜く。


【第4回戦:停滞と覚醒】ナイトブラ守護霊 vs フロントホック開閉神


24時間の管理という名の停滞を強いる守護霊に対し、黄金のホックを閃かせた神が降臨。「朝を告げるのは、背後の煩わしさではない。正面からの決断だ!」の一撃で守護霊は光の中に消滅。


4. 準決勝・決勝:おとこたちの誓い


準決勝: 天使が騎士の鎧を愛で溶かし、開閉神が忍の隠密を黄金の機能美で暴き出す。


決勝戦:癒やし天使 vs フロントホック開閉神 「安らぎの先にある無」を説く天使に、神が言い放つ。「だが――外す瞬間のカタルシスまで導けるのは、私だけだ!」 装着する喜び以上に、脱ぐ瞬間の快感を支配する「機能の王」が、めるるの深層心理の頂点に立った。


【勝利の共闘】 精神世界の表彰台で、久我とフロントホック開閉神はがっしりと抱き合う。


久我:「こ、これが伝説のフロントホック……! 行くぞ、お前ならめるるんの未来(正面)を切り拓ける!」


神は無言で親指を立て、久我と魂を一つにした。


5. 結末:衝撃の真実とサヤカの「武」


現実へ帰還。探偵事務所には、緊張感あふれる沈黙が流れていた。久我は自らのスポブラ姿という羞恥を捨て、真剣な眼差しで具現化した「黄金のフロントホックブラ」を手に取る。


「めるるさん……これが、君の心の答えだ」


「はい……久我さん、お願いします」


久我の震える指先が、めるるの柔らかな肌に触れる。


(……もにゅ。……パチンッ!)


黄金のホックが完璧に噛み合った瞬間、めるるの全身から後光が射した。圧迫感は消え、理想的な形が維持される。まさに「神の装着」。しかし、その輝きの中でめるるは陶酔した表情で呟いた。


「……久我さん。あの『パチン』って音、心臓まで響いたわ。私、今この瞬間に悟ったの。ブラは、脱ぐ瞬間の快感のためにあるのね。」


めるるは自らホックを弾き飛ばし、黄金のブラを床へ脱ぎ捨てた。


「勇気をありがとう、久我さん。私、もう飾らない。ノーブラが1番よ! 自分の殻を脱いで、本当の私を見せていくわ!」


『ブラは脱ぐためにあり、ノーブラこそが生命の真実である』


久我は、アイドルの口から出た究極の露出真理に打たれ、鼻血を噴射しながら卒倒した。しかし、彼の暴走は止まらない。


「……はぁ、はぁ。そうだ、真理はここにある……。そういえば、サヤカさんも……同じEカップでしたよね?」


「なっ……」


サヤカの顔が朱に染まる。だが、スポブラ姿でハイになった久我の指先が、神速でサヤカのスーツの奥にあるホックを捉えた。 パチンッ!


静寂。そして、サヤカのシャツを押し上げるようにして現れたのは、めるるが絶句するほどの「肉体の極北」だった。 それは、日々久我を蹴り飛ばし、悪霊を屠る大胸筋に支えられた、究極の筋肉質Eカップ。 重力を嘲笑う弾丸のような張り、陶器のように白い肌の下に秘められた剛健な弾力。それはめるるの「生身」を遥かに凌駕する、まさに「武の芸術」。


「……勝てない。本物の『防波堤おっぱい』はここにあったんだ……」 めるるが敗北を認めた瞬間、サヤカの瞳に冷徹な殺気が宿る。


「…………死ね」


「ぶべぇぇぇぇッ!!!」


サヤカの超高速回し蹴りが、スポブラ姿の久我の顔面に炸裂。久我は物理法則を無視した勢いで事務所の壁に叩き込まれ、人間型のクレーターとなって埋没した。


「……そうだ、サヤカさん。このスポブラを……つけてくれまいか」


壁に埋まったまま、久我は震える手で、自らが身につけていた「白のスポブラ」を差し出した。鼻血で染まり、男の体温で温まった、ある意味で呪物に近いその布きれを。


一瞬、事務所の時間が止まった。


6. サヤカの「武」と、久我の終焉


サヤカの眉間には、これまで見たこともないような深い絶望と、それを数千倍上回る殺意が刻まれている。 「……久我奏太。貴方、今、何と言いました?」


「いや、サヤカさん。貴方のその『武のEカップ』は、あまりにも強すぎる……! その暴力的な弾力バネを封印できるのは、俺が愛したこのスポブラだけなんだ! それをつけて、俺を……俺をもう一度、全力で蹴ってくれッ!!」


サヤカは無言で、久我が差し出したスポブラを指先でつまみ上げた。そして、ゴミ箱に捨てるよりも冷淡な手つきで、それを久我の顔面に叩きつけた。


「……汚らわしい。貴方の妄想ごと、その形状を粉砕してあげますわ」


パチンッ! サヤカのノーブラEカップが、怒りの鼓動と共に爆発的な「武の波動」を放つ。重力を無視してそそり立つその双丘は、もはや戦車をも跳ね返す装甲のようでもあり、すべてを飲み込むブラックホールのようでもあった。


「めるる様。見ていなさい。これが、真の『殻を破る』ということです」


「……奥義・双丘形状破壊ツイン・ピークス・デストラクション!!!」


超高速の回し蹴りが、スポブラを顔に被った状態の久我に直撃した。久我は壁からさらに深く、建物の構造材を突き破って反対側のビルまで飛ばされ、その軌跡には黄金の鼻血が虹のようにかかった。


反対側のビルまで吹き飛んだ久我を見送り、サヤカは冷徹な眼差しをユウキに向けた。


「……ユウキ様。この不浄なスポブラを調達し、あの方に授けたのは貴方ですね? ただの観客ではなく、変態行為を助長した『大罪の共犯者』として、万死に値しますわ」


「僕もですか!? スポブラ渡しただけなのに……やめてぇぇぇ!!」


「……奥義・連鎖双丘爆砕!!!」


サヤカのノーブラEカップから放たれた衝撃波を伴う蹴りが炸裂。ユウキも久我が開けた壁の穴を通って夕焼け空へと射出された。


数ヶ月後。 日本中の書店から、一冊の本が消えた。 星野めるるヘアヌード写真集――『生命の真実ノーブラ』。 すべてを脱ぎ捨て、かつてないほど清々しい表情で微笑む彼女の姿は、全日本人の魂を揺さぶった。久我は壁の中から血走った眼で、保存用・布教用を含め100冊の予約を完遂。


そして、前代未聞の社会現象が起きる。 写真集に込められた圧倒的な「解放のエネルギー」に共鳴した男たちの生命活動が限界を突破。日本中のコンビニ、ドラッグストアからティッシュペーパーが忽然と姿を消し、在庫が完全消滅するという、未曾有のパニックが発生したのである。


黄昏の事務所に、空っぽになったティッシュ箱だけが舞い踊っていた。


スポブラ妖精:「以上、スポブラ妖精でした! ……久我さん、私の着心地、一番だったでしょ……?」

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