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探偵は胸を揉む  作者: リチャード裕輝
探偵は胸を揉む~宵闇の傷痕:巨乳探偵の罪と情動の劇薬

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第21話:冒涜のサイコメトリーと断罪の抱擁

第21話:冒涜のサイコメトリーと断罪の抱擁


久我の身体が、突如として獣のように激しく反り返った。カゲから吸い出したどろりとした情動が、久我の血管を逆流し、脳髄を黒く塗りつぶしていく。地面にのたうち回り、喉の奥から獣じみた低いうめき声を漏らすその姿は、高潔な探偵の理性が、侵食する狂気と死闘を繰り広げる断末魔のようだった。


その時、久我の濁った視線が、血の海の中で虫の息となっている高木桃の姿を捉えた。瀕死の彼女の身体からは、絶望的な状況下にあってもなお、カゲの狂気を凌駕するほどの「純粋な正義の情動」が、凍てつく闇を切り裂くかすかな光のように放たれていた。


久我(狂気):「情動……情動が、足りない……! カゲの……あの黒い悦びを超える、劇薬が……!」


久我は、自らの意思を裏切って暴れる身体を泥水の中で引きずり、執念深く高木の方へ這い寄った。その顔には、理性を焼き切られた探偵の病的な渇望と、カゲから継承した冷酷な支配欲が混ざり合い、見るに耐えないほど歪んだ法悦の笑みが浮かんでいた。


久我は、力なく横たわる高木の隣に倒れ込むと、裂けた制服の間から露わになった彼女の白い肌へ、血に汚れた手を伸ばした。


久我(狂気):「その、無垢な……情動を、俺に……俺に注ぎ込め……ッ!」


久我の指先が、高木の豊かな弾力を持つ胸に深く食い込んだ。Cカップの柔らかな生乳を無慈悲に鷲掴みにし、その肉を破壊せんばかりの勢いで揉みしだく。「搾り取る」という言葉そのままに、久我は指先に渾身の力を込め、高木の命の根源に直接触れるかのような冒涜的な行為を繰り返した。


ゴオオオッ!!


接触面から、暴力的なまでの衝撃が久我の脳内を貫いた。「死に抗う強い正義感」。自己を犠牲にしてでも他者を守ろうとする、あまりに眩しく、あまりに強大な正義の情動が、久我の汚染された精神へ濁流となって流れ込む。


高木:「アッ……アンッ……! やめ……て……誰、か……」


高木は、傷口を裂かれるような激痛と、己の魂を根こそぎ奪われるサイコメトリーの悍ましさに、声にならない悲鳴を絞り出した。


正義感による一時的な鎮静と、繰り返される冒涜


その瞬間、久我の荒々しい動きがピタリと止まった。脳内を埋め尽くしていたカゲの支配欲が、高木の純粋な情動によって一時的に中和されたのだ。久我の瞳からどす黒い狂気が引き、かつての理性が、ひび割れた鏡のように一瞬だけ戻ってきた。


久我(理性):「……これは、俺の……俺自身の渇望か……? 高木刑事の情動を、俺は……こんな、冒涜を……! 違う、俺は……!」


だが、その理性は長くは持たない。中和されたはずの狂気が再び鎌首をもたげ、久我の身体を突き動かす。


久我(狂気):「まだだ……まだ足りない……! もっと、もっと深く……!」


意識が戻っては、また狂気に引き戻される。その度に久我の手はより卑劣に、より激しく高木の胸を蹂躙し、彼女から最後の生命力を吸い取ろうとした。泥と血に汚れた久我の手が、高木の白い肌を無残に汚していく。


何度も繰り返される執拗な搾取。蹂躙された高木の胸は、内出血と久我の指先が食い込んだ傷跡により、痛々しいほどに真っ赤に腫れ上がっていた。


高木は意識が混濁する中で、自身の身に起きている凄惨な現実を拒絶するように身をよじった。それはまるで、初めて男を知る恐怖に怯える少女のような、無垢で痛切な反応だった。


「痛い……っ、いやッ! やめて……お願い、やめてッ……!」


震える声で懇願し、久我の手を押し返そうとするが、力が入らない。初体験のような純潔な恐怖と、理性を失った男に蹂躙される恥辱が、彼女の正義感をズタズタに引き裂いていく。その「拒絶」の情動さえも、狂った久我にとっては極上の劇薬となって、さらなる暴走を煽った。


殉教者の抱擁:ユウキの決断


久我が高木に対し、探偵の仮面を脱ぎ捨てた獣のような冒涜を繰り返し、その度に高木の喉から幼い少女のような悲鳴が漏れる。その凄惨な光景を前に、ユウキの顔は死人のように蒼白となった。


「静まれ、久我! 正気に戻れ! 君は、そんな化け物じゃないはずだ!」


ユウキは、満身創痍の身体を奮い立たせ、床に落ちていた十字架のペンダントを掴み取った。血と泥に汚れながらも、そこには美沙の「伊織を救いたい」という純粋な思念が、最後の希望の残り火として宿っていた。


ユウキは、久我の理性が一瞬だけ戻り、彼が自身の行為に絶望して動きを止めたその刹那のタイミングを見逃さなかった。


「今だ……!!」


ユウキは咆哮を上げ、暴れる久我の背後から渾身の力で飛びついた。全力の抱擁。久我の硬直した筋肉がユウキの傷口を圧迫し、焼けるような激痛が走るが、彼は決して離さなかった。


ユウキ:「久我! あなたは、まだ私の最高傑作を完成させていない! こんなところで壊れるな! 正気に戻って、この地獄の結末を書き上げるんだ!」


ユウキは、久我の耳元で心臓を抉るような言葉を叩きつけた。


「そして、この悲劇は、あなたの渇望と、私の『最高の芸術を求める実験』が招いたものだ。私は共犯だ。だからこそ、私が死んででもあなたを止める! 私はあなたを、狂気の道具にはさせない!」


ユウキは、ペンダントを久我の額に押し当て、美沙の「封印の遺志」と、自らの全情熱を込めた「鎮静の暗示」を、久我の精神核へ一点に叩き込んだ。


「眠れ、久我! 罪もろとも、今は眠れ!!」


強烈な情動の波動が久我の脳内で炸裂した。久我は喉を詰まらせるような断末魔の呻き声を上げると、身体から急速に狂気の力が抜け落ち、そのまま意識を失ってユウキの腕の中に沈み込んだ。


絶望的な夜明け:傑作の傍らで


ユウキは、ぐったりとした久我を抱きかかえたまま、血と泥にまみれたコンクリートに膝をついた。彼の視線は、伊織が逃げ去ったシャッターの向こう側、雨の降りしきる闇へと向けられていたが、もはや追跡する力は一欠片も残されていなかった。


ユウキは、久我の青白い顔を覗き込み、かすれた声で震えるように呟いた。


「久我さん……やりましたよ。僕たちは、カゲという概念を殺し、真実を……あぶり出した。今度こそ本当に、最高の、最悪のミステリーだ。あなたの勝利だ……」


ユウキは、久我がカゲを打ち負かしたのだと、自分に言い聞かせるように信じようとした。しかし、久我の瞳は固く閉じられ、その表情は救世主のそれではなく、自らの内に飼い始めた怪物に怯える、敗北者の虚無に包まれていた。


ユウキは、ただ静かに、夜明け前の豪雨の音と、廃倉庫を満たす咽せるような血と鉄錆の匂いの中で、ゆっくりと意識を失っていった。


この地獄のような現場には、三人の重傷者と二人の敗北者が、伊織カゲという怪物が残した、究極の絶望という名の「未完成の傑作」の傍らに、ただ累々と横たわっていた。

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