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探偵は胸を揉む  作者: リチャード裕輝
探偵は胸を揉む~宵闇の傷痕:巨乳探偵の罪と情動の劇薬

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第14話:終末の舞台:深紅の褥(しとね)とカゲの洗礼

第14話:終末の舞台:深紅のしとねとカゲの洗礼


唸るような轟音を響かせ、最新鋭のヘリコプターは廃倉庫近くの荒れた空き地へと強引に着陸した。ローターが巻き上げる突風が、地面の泥と廃材の破片を、まるで断末魔の叫びのように激しく舞い上げる。


久我とユウキはヘリから飛び降り、泥濘む地面を構わず走り抜けた。セバスチャンは、いかなる地獄を前にしても動じぬ鉄の理性を保ち、漆黒のセダンの中で静かに時を待っている。


久我は胸を突き上げる焦燥感に突き動かされ、ひしゃげたシャッターをこじ開け、ユウキと共にその深淵へと踏み込んだ。そこで彼らの目に飛び込んできたのは、常軌を逸した、あまりにもおぞましく、そして美しい「まさかの光景」だった。


水浸しの冷たいコンクリートの床には、新鮮な血が濃く広がり、大きな水溜まりを不気味な赤に染め上げている。その血の海の中に、黒岩刑事ともう1人の女性の刑事(高木)が、役割を終えて捨てられた操り人形のように横たわっていた。二人はまだ微かに息があるようだが、ピクリとも動かない。


その惨状の中心で、藤本が服を乱され、半ば意識を失いながら、屈服した獣のように崩れ落ちていた。


その光景を目にした瞬間、久我は激しい拒絶反応に襲われた。 「……藤本、貴様! 伊織さんに何をした……ッ!」 久我の目には、まだ藤本が悪、伊織が被害者という構図しか見えていなかった。だが、背後に立つユウキの反応は違った。


ユウキは、この地獄絵図を目にした瞬間、表情から全ての「常識」を剥ぎ取った。その瞳は、想像を遥かに超える残酷な形で結実した「情動」に、歓喜と感嘆を滲ませている。


裸同然の伊織――否、「カゲ」が、藤本に跨り、その上から身体を激しく揺らし、完全に君臨していた。彼女は舞台の主役のように両手を広げ、血と鉄錆の匂いを深く吸い込み、理性を超越した恍惚の表情を浮かべている。


「久我センセッ。遅かったじゃない」 カゲは、妖艶で冷酷な笑みで久我たちを迎えた。


「伊織、さん……? なぜ、君が……」 久我が震える声を出したその時、下敷きにされた藤本が、喉の奥から血を吐き出しながら絶叫した。


「……騙されるな……久我……先生……ッ! こいつは……伊織さんじゃない!!」


藤本は、自分の上に君臨する女を地獄の主そのものであるかのように指差し、血を吐きながら叫んだ。 「伊織さんの心はもういない……! 今そこにいるのは、伊織を乗っ取った別人格……『カゲ』なんだよ!! 全部こいつが……こいつがやったんだ!!」


「嘘だろ……」 久我が愕然と立ち尽くす中、隣のユウキが、何一つ動じない、むしろすべてを予見していたような達観した声を漏らした。


「……やはり、そうでしたか。人格の変容。想定内といえば想定内ですが……。久我先生、見てください。これはもはや犯罪ではない。最高の芸術ですよ。」


カゲは支配的な力で藤本を弄び、屈辱的なリズムを刻み続けた。藤本は「ウッ……ウッ……」と、もはや声にならない呻き声を上げた。 カゲは、その非道な行為に狂気的な歓喜を浮かべ、全てが臨界点を超えた瞬間、藤本の身体から血が噴き出した。肉体は極限の激痛と精神的な屈辱に耐えかね、生理的な制御をも失った。彼の股元から体液が流れ出し、血と共に水浸しの床に、彼の絶望の痕跡のように滲んだ。


その鮮血と体液がカゲの肌をさらに濡らす中、カゲは快楽の極致に達したような、長く、狂おしい絶叫を上げた。


カゲは嘲笑うように久我たちに言った。 「真犯人は藤本よ。彼は私に襲いかかった。私はただ抵抗しただけ……正当防衛よ。刑事たちが怪我をしたのも、全部藤本の狂気のせい」


カゲは藤本の首に細い腕を回し、その顔を自らの胸の谷間へと力任せに抱き寄せた。 「ねえ、藤本さん……最後くらい、気持ちよくいかせてあげる……」


窒息感の中で、藤本は最後の力を振り絞り、痛切な警告を絞り出した。 「……逃げ……ろ……! カゲはお前を……気に入っている……。さもないと、お前も……全てを……」


その言葉を最後に、藤本の身体からふっと力が抜けた。あれほど激しく波打っていた背中の震えが止まり、彼はカゲの腕の中で、意識の糸を切らして深い闇へと沈んでいった。


カゲは、藤本の頭を抱いていた手をゆっくりと離した。支えを失った藤本の身体が、コンクリートに「ベチャリ」と重い音を立てて崩れ落ちる。


カゲは、自らの胸元に付着した藤本の血を指先で愛おしそうになぞり、それを舌先で舐めとった。 「あっらまぁ……。いっちゃったのね?」


クスクスと肩を揺らして、彼女は笑う。 「ふふふ……早いわぁ。もう少し楽しませてくれると思ったのに。男の人って、本当に脆いのね。」


彼女は、倒れている藤本の背中を、自らの裸足の先で無造作に小突いた。ピクリとも動かない藤本を見下ろすその目は、もはや使い古したボロ雑巾を見るような冷たさに満ちている。


久我はそのあまりの異常性、人格の入れ替わりの確信、そしてユウキの「芸術だ」という言葉に追い詰められ、ついに目の前の女が「救うべきヒロイン」などではなく、すべてを蹂躙する「怪物」であることを理解し、その身を戦慄に震わせた。


カゲは、冷酷な瞳を久我に向けた。 「さあ、久我センセッ。あなたの道標ガイドは、次は何を指し示すのかしら?」

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