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探偵は胸を揉む  作者: リチャード裕輝
探偵は胸を揉む~宵闇の傷痕:巨乳探偵の罪と情動の劇薬

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第12話:警察の崩壊—相田刑事の悲劇

第12話:警察の崩壊—相田刑事の悲劇

(時系列:久我とユウキが署を去った直後)


久我とユウキが警察署の駐車場を去った後、残業で疲労していた相田刑事のスマートフォンが震えた。画面に表示されたのは、伊織の名前だった。


伊織:『相田刑事さん。藤本さんについて、あなただけに重要な秘密の情報をお教えしたいんです。今から二人きりで話せるところまで、私を送ってくださいますか? 黒岩さんや他の誰にも知られたくない話なんです』


相田は、激しく胸が高鳴るのを感じた。「秘密の情報」と「あなただけに」という伊織の言葉は、若き刑事の功名心を強烈に刺激した。相田は興奮を隠しつつ返信した。


「分かりました。ですが、今は黒岩さんがいます。一度、私は普通に署を出るふりをします。正面玄関から少し離れた路地で待っていてください」


相田は足早にデスクへ戻ると、何食わぬ顔で上着を掴んだ。 「黒岩さん、ちょっとコンビニまで夜食を買いに行ってきます。すぐに戻ります」 黒岩はパソコンの画面から目を離さず、「ああ、さっさと済ませろ」とだけぶっきらぼうに答えた。


相田が署を出て数分。黒岩はふと手を止め、窓の外を見た。相田の捜査車両が、コンビニとは逆の方向、暗い裏路地へと消えていくのが見えた。 (黒岩:……あいつ、何をしてる? コンビニなら反対方向だろう。……それに、あの影は……) 黒岩の胸に、拭いきれない不穏な予感が走った。


一方、相田は指定の路地で伊織を拾うと、署から十分に離れた場所まで車を走らせた。隣に座る伊織は、不安げな表情で相田を見つめた。 「あの、相田刑事さん。私、話す前に少し喉が渇きました。緊張しすぎて……。この先、どこかコンビニに寄っていただけますか?」


相田は快諾し、最寄りのコンビニの駐車場へ車を滑り込ませた。伊織はレジ袋を手に車内へ戻ると、助手席に深く腰掛けた。ふと見ると、彼女のブラウスのボタンがいつの間にか二つほど外されており、その豊かな胸元が、車内の微かな灯りに白く、扇情的に浮かび上がっている。


「相田刑事さん……。外、怖かった。……私、なんだか急に、心臓がドキドキして……」


伊織は、コーヒーを渡すために、わざと不自然なほど相田の方へ身を乗り出した。彼女の甘い香水と体温が、狭い車内に充満する。


「ここなら、二人きりですよね……。さっきアトリエで言ったこと、本気ですよ? ……私、相田刑事さんのような強い方に、守ってほしい。……ねえ、触ってみますか? 私の鼓動、確かめて……」


伊織は相田の手を強引に引き寄せ、自らの柔らかな胸元へと押し当てようとした。相田の指先に、彼女の肌の熱が伝わる。理性が焼け切れそうな感覚に、相田は激しく動揺した。


「い、伊織さん……ダメだ、今は捜査中だ……!」


相田が必死に拒もうとしたその時、伊織はあざとく「あっ」と声を上げ、持っていたコーヒーのカップをわざと傾けた。熱い液体が、相田の制服のスラックス――ちょうど股間のあたりに、じわりとこぼれ落ちる。


「ごめんなさい! 大変、熱かったですよね!? すぐに拭かないと……!」


伊織は慌てたふりをして、手近なハンカチで相田の股間を拭き始めた。しかし、その動きは執拗だった。布越しに、彼女の手のひらが、相田の最も敏感な部分をゆっくりと、しかし力強く包み込み、這い回る。


「熱くないですか? ……あれ、相田刑事さん。ここ、すごく硬くなって……。正直なんですね。……私、こういうの、嫌いじゃないですよ?」


伊織は上目遣いで、濡れた瞳を相田に向けた。彼女の手は、ハンカチ越しにまるで「しごく」ような動きを加え、相田の欲望を極限まで煽り立てる。車内の温度が急上昇し、相田の呼吸は荒く、思考は完全に目の前の肉体へと支配された。


「……あ、……う……」


声にならない呻きを漏らす相田。しかし、彼のなかに残った最後の「刑事としての見栄」が、かろうじて彼を押し留めた。


「待ってくれ……! ……今は、今はダメなんだ……! 伊織さん、君を助けてからだ!」


相田は、自分の意志というよりは、崩れ落ちそうなプライドを繋ぎ止めるようにして、彼女の手を無理やり引き剥がした。伊織は一瞬だけ、唇の端に冷ややかな嘲笑を浮かべたが、すぐに天使のような慈愛の微笑に変えた。


「……相田さんは、本当に立派な方なのですね。ますます信じられる気がします。こんなに我慢させてしまって、ごめんなさい。……せめて、このコーヒーを飲んで、落ち着いてください。私とお揃いの、甘いコーヒーですよ。……ね?」


伊織が先に飲んで見せ、その後差し出された「愛の報酬」。脳が麻痺した相田は、その毒入りの液体を疑うことなく飲み干した。性的興奮と熱いコーヒーの刺激が、薬物の微かな苦味を完全に掻き消した。


車を再び走らせること数分。相田は、視界の端がぼやけ始め、思考がまるで濃い霧の中に入ったように遅延していくのを感じた。 「伊織さん、なんだか急に、頭がぼんやりとする……」


伊織は相田の顔を覗き込み、ほとんど唇が触れそうな距離で囁いた。 「大丈夫です。ねえ、相田刑事さん。あなたが把握している『藤本さんの潜伏先候補』を教えてくださいますか? 私たち、二人だけの秘密の共同捜査官でしょう?」


「実は……工業地帯の奥にある廃材置き場が……」 理性が麻痺した相田は、核心情報を漏らした。伊織の指示通りに車を走らせたが、運転は不安定になっていく。


車が錆びた建物の角を曲がろうとした瞬間、伊織は突然シートベルトを外し、相田の腕を、骨が軋むほどの力で強く掴み上げた。 「くそっ!」 薬物で反応が遅れた相田を無視し、伊織は相田の腕ごとハンドルを無理やり左に切らせた。


車は激しい衝撃と共に擁壁に衝突し、横転。相田はフロントガラスに頭を打ち付け、動けなくなった。伊織は冷たい目でぐったりとした相田を一瞥し、血を流す彼を置き去りにして現場から去った。


衝突の衝撃と金属の異臭が立ち込める現場に、一台の覆面パトカーが急停車した。運転席から黒岩刑事、助手席から高木桃が飛び出した。


黒岩は、横転したパトカーを見て舌打ちをした。 「やはりな! コンビニへ行くと言っておきながら、女を乗せて裏路地へ消えた時点で確信した。功名心に煽られて暴走しやがって……間に合わなかったか!」


黒岩は、相田の不審な動きを最初から察知し、高木を連れて追跡していたのだ。


高木は即座に現場へ駆け寄り、ひしゃげたドアを驚くべき怪力でこじ開けた。 「おい、相田! しっかりしろ!」 血まみれの相田は、うわ言のように呟いた。 「伊織さんが……あいつのところに……早く……」


黒岩は悟った。「被害者が単独で復讐に向かった」という最悪の展開を。 「本部に至急、応援と救急を!……くそっ、到着まで最低30分はかかるぞ!」


黒岩は腕時計を睨みつけた。その間に、伊織は殺されるか、殺人を犯す。 「待てるか、高木?」 高木は迷いなく頷いた。 「いいえ、待てません。法を守るためです!」


「よし、俺たちだけで突入するぞ。相田! ここで、生き残れ!」 黒岩と高木は、漆黒の闇に沈む廃材置き場へと急行した。同時に、黒岩は久我へ緊急の連絡を入れた。


プルルルルル! 久我の携帯電話が、部屋の静寂を切り裂くように激しく鳴り響いた。

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