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探偵は胸を揉む  作者: リチャード裕輝
探偵は胸を揉む:『霊感(パイ)コメトリー・オブ・ザ・デッド』

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『霊障マタニティ・ブルー:爆誕!最強の超能力ベビーと枯渇の危機』後半

『霊障マタニティ・ブルー:爆誕!最強の超能力ベビーと枯渇の危機』後編


1. 絶望の平野:失われた質量

乳神神社の跡地には、しんと静まり返った絶望が漂っていた。 かつてFカップという「神の山脈」を誇ったサヤカは、今や見る影もない。赤ん坊にすべてを吸い尽くされ、胸元は冬の凍土のように硬く、真っ平らに平定されていた。


「サ、サヤカさん……。俺の、俺の鑑定する場所が……もうどこにもない……」


久我は頬がこけ、ミイラのようにシナシナになりながら、妻の「かつて胸があった場所」を虚しく撫でた。指先に伝わるのは、肋骨の確かな感触のみである。



「……いいのですわ、久我様。……重力から解放されるというのも、乙なものですわ……。ふふ、ふふふふ……」


サヤカは悟りを開いたような目で、虚空を見つめている。


2. 復活の乳神:極小サイズの嘲笑

その時、サヤカの平坦な胸元から、ポコンと奇妙なモノが飛び出した。 それは、サヤカに食われたはずの「乳神」であった。しかし、その姿は以前の巨石ではなく、手のひらサイズの「乳首に手足が生えたようなシュールな小人」へと成り果てていた。


「……わはははは! 見ろ! この見渡す限りの地平線を! 素晴らしい、実に素晴らしいぞ!!」


極小の乳神は、サヤカの絶壁の上で歓喜のダンスを踊り始めた。


「サヤカに食われた時はどうなることかと思ったが、この赤ん坊、最高ではないか! われの宿願であった『全人類の板化ボード・プロジェクト』を、産まれた瞬間に達成しおったわ! 愉快、愉快! わはははは!」


「……あ、あのクソ神。あんなに小さくなって……。ユウキくん、今すぐアイツをデコピンで排除してくれ……」


久我が弱々しく命じるが、ユウキもまた精気を吸われて、立ち上がる気力すらなかった。


3. 本能の第二波:神、再びピンチ

「あ、あら……? 久我様、この子がまた起きましたわ」


サヤカの腕の中で、最強の超能力ベビーが再び目を覚ました。その瞳が、目の前でチョロチョロと動く「極小の乳神」をロックオンする

「……ぎゃ?」


「ヒッ!? ま、待て、赤子よ! われは汝の味方……われは汝の母に吸い取られた質量そのもの……」


赤ん坊が小さな手を伸ばすと、強烈な念力が発動。極小乳神は、まるで掃除機に吸い込まれる虫のように、赤ん坊の口元へと引き寄せられていく。


「……ああっ! やめろ! われを吸うな! これ以上吸われたら、われは『概念』すら消滅して、ただの『ドット』になってしまうぅぅ! 助けてくれ神主ぃぃ!!」


「……知るか。……吸え、我が息子よ。そのうるさい神の残り香を、すべて飲み干してしまえ……」


久我が冷徹に言い放つ。

4. 育児という名の修羅場

結局、乳神は赤ん坊に「おしゃぶり」代わりに吸われ続け、さらにサイズダウンして消しゴム程度の大きさになりながらも、「貧乳の世界、最高ー!! わはははは!」と狂った笑い声を上げ続けていた。


「……久我さん、おしゃぶり(神)を吸って満足したみたいですね。やっと寝てくれましたよ」


ユウキが震える手で、特濃霊子ミルクを久我とサヤカに差し出す。


「……ああ。……だがサヤカさん。安心してくれ。俺が……俺のこの指先が、再び君の霊子を呼び戻し、元の山脈を再建してみせる。これは、俺たち夫婦と、この超能力ベビーとの……長い、長い戦いの始まりだ」


「……うふふ、期待しておりますわ、久我様。……でも、今は少しだけ、この風通しの良い生活を楽しませてくださいな……」


崩壊した神社の境内で、シナシナの夫婦と、極小の神、そして最強の赤ん坊。 カオス極まりない「板」だらけの新生活が、今ここに幕を開けたのであった。


「……誰か、私を、元のサイズに戻してよぉぉぉ!!」


背後で、完全に「板」になった白鳥巫女の絶叫が、虚しく山々に響き渡っていた。



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