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探偵は胸を揉む  作者: リチャード裕輝
探偵は胸を揉む:『霊感(パイ)コメトリー・オブ・ザ・デッド』

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『霊障マタニティ・ブルー:乳神(ちがみ)の終焉と聖母の産声』

『霊障マタニティ・ブルー:乳神ちがみの終焉と聖母の産声』


1. 聖地への避難と「乳神神社」の真実

ベビーザらスを「出禁」という不名誉な形で追放された一行が辿り着いたのは、山奥にひっそりと、しかし異様な熱気を孕んで鎮座する「乳神ちがみ神社」であった。


ここは古来より「乳房の質量と形状」を司る神が祀られ、現代では久我が神主(自称:最高調律師)として君執している。この神社の真骨頂は、久我が自らのサイコメトリー能力「解診」を駆使し、参拝客の胸の霊子れいしを直接揉みほぐして形を整える「揉み祈祷」にある。 「貧乳を理想の黄金比(C〜Dカップ)へと導く」という口コミが爆発し、境内は常に未来の膨らみを求める女性たちで埋め尽くされていた。


「いいかサヤカさん。ここなら俺の管轄だ。店員に怯える必要はない。存分に安産と、産後の供給(母乳)の安定を祈るといい」


久我がキメ顔を決める横で、巫女の白鳥が凄まじい勢いで飛んできた。


「ちょっと久我神主! 勝手にエデンとか言わないでよ! 私が毎日毎日、必死に御神体を磨いてこの神社の『品格』を保ってるんだから! ……って、ちょっと待って。なによその、重力に逆らう暴力的な質量は!?」


白鳥は絶句した。久我の「調律」によって念願のCカップを手に入れた彼女だったが、目の前のサヤカは妊娠による母性の暴走で、もはやFカップを通り越しGに届かんとする巨躯と化していた。


2. 禁忌の邂逅:貧乳神 vs 聖母

サヤカが拝殿に足を踏み入れた瞬間、一対の巨石からなる御神体が、火山噴火の前兆のように激しく鳴動した。


《おのれぇぇぇ……! われは乳神! 絶壁こそが宇宙の真理、平面こそが神の幾何学、板こそが至高の芸術と説く者なり! なんだその、太陽を覆い隠し、人類の欲望を煮詰めたような厚かましい肉の塊はぁぁ!!》


「神様が……神様が珍しく、過去最大にブチギレてるわ!」


白鳥が悲鳴を上げる。御神体からは「巨乳排斥」の黒い稲妻が放たれ、境内全体が貧乳派の怨念に包まれる。久我は慌てて間に入り、巨石を揉みしだいた。


「待て乳神! 彼女は俺の妻だ! この豊潤な膨らみは、いわば神が人類に与えた究極の余白……」


《黙れ不浄の神主! Bカップ以上は全て呪物だ! その忌々しき膨らみ、今すぐわれの神力で削ぎ落とし、まな板にしてくれるわぁぁ!!》


神の呪詛がサヤカを襲う。しかし、サヤカは微動だにせず、静かに、しかし底冷えするような笑みを浮かべた。


「あらあら……。神様だなんて仰るから、もっと器の大きい方かと思いましたけれど。わたくしの愛しいこの子(赤ちゃん)を、『呪物』だなんて……。……ふふ、許しませんわ。神様だろうと、わたくしの育児の邪魔をするものは――『吸収たべ』て差し上げます。」


3. 神殺しの捕食:白鳥の絶望

サヤカがゆっくりと両手を広げると、背後に巨大な「捕食者の聖母プレデター・マドンナ」の幻影が出現した。


「マリア様が……マリア様が降臨されたわ……。でも、あれは慈愛の光じゃない。全てを飲み込むブラックホールの輝きよ!」


白鳥の悲鳴が境内に木霊する。サヤカの背後に浮かぶ聖母像は、祈りを捧げるポーズのまま、その口を現実世界の物理法則を無視して大きく裂いていた。それは霊的エネルギーを吸い尽くす、底なしの特異点。


「ちょ、ちょっと何するつもり!? 神社の結界が吸い込まれていくんだけど!?」 白鳥が必死に結界を修復しようとするが、サヤカの「吸引力」は次元が違った。


《なっ、何をする! われの神力が吸い取られて……ああっ、われの『貧乳へのこだわり』が、強引に母乳ミルキーな霊力に変換されていくぅぅ! 久我のやつのダブル揉みよりキツい、ああ、吸われるぅぅぅ!!》


サヤカの胸元が眩い黄金の光を放ち、御神体の巨石から神力という神力が濁流となって彼女の腹部へと流れ込む。


「あ、ああぁっ! お腹が、お腹が熱いですわ……! 赤子が、神の魂を丸呑みにして……一気に、一気に育っていきますわ……っ!!」


「嘘でしょ……御神体が、私が毎日磨いてた神様が、ただの小石になっていく……!」


白鳥は、干からびていく御神体を前に膝から崩れ落ちた。もはや神社としての機能は崩壊し、境内にはサヤカの放つ甘い香りと、圧倒的な母性の重圧だけが満ちていく。


4. 終焉と産声:もう、生まれる

神一柱を完全に飲み込んだサヤカの腹部は、物理法則を無視して巨大なバランスボール並みの質量へと膨張していた。神の全エネルギーを「離乳食」代わりにした赤ん坊が、内側から世界を揺るがす「霊的キック」を放つ。



「サヤカさん、お腹のサイズがビッグバン寸前だ! 臨月どころか、もうこれ、破水というか宇宙誕生ですよ!」


ユウキがスマホで「神の子の取り上げ方」を必死に検索する。


「無理です! まだ産科の実習すら出てないんです! 神の子の取り上げ方なんて教科書に載ってません!」


「神主! 早くなんとかしなさいよ! 神社が、神社が生まれるエネルギーで粉塵ちりになるわよ!」


白鳥が久我の胸ぐらを掴む。


「……あら……。うふふ、うふふふふ! きましたわ、久我様……。神様のエネルギーで、この子、もう外に出たがっていますわ……。……ああ、生まれるわ。」


サヤカの全身から放たれた極光が境内を白く染め上げ、拝殿が音を立てて崩壊していく。


「久我さん、お産婆さんの『鑑定』も……できますよね!?」


「任せろ! 俺の指先で、この世で最もスムーズな出産ルートを読み取ってやるッ!! 出てこい我が子! 物理限界(Fカップ)の向こう側へ!!」



「あんたたち、本当にもう家でやってよぉぉぉ!!」


白鳥の絶叫が夕暮れの山に響く中、史上最強の「超能力ベビー」誕生の産声が、崩壊する乳神神社に轟こうとしていた。


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