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探偵は胸を揉む  作者: リチャード裕輝
探偵は胸を揉む:『霊感(パイ)コメトリー・オブ・ザ・デッド』

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『死神サイコメトリー:世界を救う右手』 最終章

最終章:救世主の代償(地獄の修羅場)


1. 静寂の後の極寒

隕石は去り、空には清々しいまでの青空が戻った。本来なら、世界を救った英雄として称賛を浴びる場面。しかし、富士山頂・剣ヶ峰を包囲していたのは、拍手ではなく、絶対零度まで凍りついた「女の視線」だった。


「……で。説明してもらえるかしら、久我さん?」


あやなが、一歩、また一歩と詰め寄ってくる。その瞳には、先ほどまでの「死に抗う同志」の温もりは微塵もなく、ただ冷酷な怒りだけがドロリと燃えていた。


あやな:「一緒に心中しようって、私の涙を拭ってくれたあの情熱的な言葉は……その銀色の女の人を呼び寄せるための『撒き餌』だったんですか!? 私の胸を……あんなに必死に、何度も何度も、指が壊れるほど『調律』してくれたのは、全部ユウキ君の計画の一部だったっていうの!?」


「ち、違うんだ、あやな! あれは……俺は本気で君を助けたくて! あの時、確かに俺たちの鼓動は一つに……!」


久我が必死に弁明しようとした瞬間、隣に立つ銀河の姫・エリスが、無機質な顔をわずかに火照らせ、信じがたい事実を突きつけた。


エリス:「……否定は、無意味。久我、あなたの右手から発信された信号は、銀河全域の言語で『私だけを見てくれ、触れてくれ』と翻訳され、私の記憶核コアを直撃した。……これは銀河憲法第8条に基づく『魂の求婚プロポーズ』。……既成事実は、すでに私の肌が覚えている」


「待て!! 既成事実って何だ!? 触ったのは過去に一度だけで……あ、いや、今のは失言だ! 違う、エリス、あれは緊急通報(SOS)なんだ!!」


2. 策士の微笑と絶望の選択

久我が救いを求めて振り返ると、ユウキは眼鏡のブリッジを優雅に押し上げ、実に見事な「計算通り」の微笑を浮かべた。


ユウキ:「久我さん、見事でしたよ。地球規模の愛で全人類を救ったあなたには、相応の『責任』を取る義務がある。……さあ、地球の恋人か、銀河の婚約者か。どちらを再び『調律』して、この場を収めますか? ちなみに選ばれなかった方は、ショックでこの惑星ごと自爆しかねない状況ですが」


「ユウキくん! 君、絶対面白がってるだろ!!」


あやな(激昂):「絶対に許さない! 『俺が絶対に死なせない』なんて、あんなに熱く抱きしめておいて……私の胸に残ってる、あんたの必死な手つきの感触、どうしてくれるのよ! 落とし前は体でつけてもらうわよ!!」


エリス(冷徹):「優先順位は、私。……抵抗するなら、強制執行。銀河艦隊、全門展開。……久我を、私の接収艦ふねに収容し、永久に私の『専属調律師』として監禁する」


3. 銀河規模の修羅場

見上げれば、青空を埋め尽くすようにエリスの銀河艦隊が集結し、主砲が「婚約の祝砲」……あるいは「嫉妬の掃射」の準備として、まばゆい光を蓄え始めていた。

足元では、あやなの怒りに呼応するように富士山が小刻みに震え、地上では彼女を支持する全人類の「怨念」が、久我の右手に逆流してくる。

一歩間違えれば、地球は隕石ではなく、「痴情のもつれ」で滅びかねない。


久我(号泣):「なんでだよ!! 俺、ただ世界を救っただけなのに! なんで心中を覚悟した時よりも、今の方が死の恐怖を感じてるんだよ!! 誰か……誰か俺の右手を、今すぐもいでくれええええ!!」


絶叫する救世主の頭上で、銀河艦隊の主砲がパッと輝いた。それは新しい時代の幕開けか、それとも久我の人生の終焉か。


【Remaining:愛の地獄】

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