最新の原初
恐らく、全ての終わり頃。
途方もない…という言葉すら、一つも当てはまらない。
永遠などという言葉も、小さすぎるし、薄すぎる。今この時間軸には、永遠よりも長い時間を示す言葉が当たり前になっている。
白い紙と、電子線が通る空間。
れな、闇姫、リューガ。
元通りの姿で、息を切らしあっていた。
「…」
れなの拳が、リューガの顔を狙う。
それは突きではない。緩やかな、あまりにも遅い、ただの動き。
リューガは弱々しく、それを受け止める。その受けもまた、遅い。
闇姫が、例のごとくゆっくりと足を振り上げ、リューガの背中へ足を押しあてる。
リューガは回り、緩やかに、その足をどける。
そして、転ぶ。
見えない地面にリューガが落ち、その衝撃で、れなと闇姫も転ぶ。
倒れあう三人。それでも、殺意はある。
闇姫は、震える拳でリューガの顔を狙う。リューガは息を荒げながら転がり、彼女から離れる。
その進行先に、れなの拳があった。
拳を押し当て、〔殴る〕。
…リューガは、力を失っていく。
口が動き、何かを呟いたようだった。
だが、全員、全ての感覚を投げ捨てていた。
あまりに長く生き、肉体は単なる飾り。空間そのものに記憶を宿し、調和していた。
概念すら形作る、世界そのもの、いや、世界をも統べる何かになっていた。
存在を意味する〔何か〕という言葉すら、ここでは適切ではないだろう。
れな、闇姫。
立ち上がり、リューガへ拳を向ける。
何故こんな事をしているのかさえ、忘れていた。
全ての記憶を、一片足らず覚えているというのに。
全を得た次は、新たな1を始めようとしていた。
三人は今や、赤子だった。
拳が、リューガの顔の前で止まる。
「こんなものでしょうか、理さん」
「ええ、そうですね。では、戻してあげましょうか」
不思議にとって、全ては、遊びだった。
三人は、その遊びの道具だった。
だが。
あまりの力であらゆる概念を超えた今。
三人は意外な点へ行き着いた。
それすなわち、原点。
ここまで、あれほどの体験をしたというのに、三人は、まだ世界があった頃と同じ様子に戻っていたのだ。
「…畜生。テメエら…ふざけんじゃねえぞ…」
リューガは、自分の額から流れ出る血を拭い取る。その足取りはふらついており、見えない地面の上、立っているのもやっとな様子だ。
それは、目の前の二人も同じ事だ。
全身が痺れる感覚。
拳を上手く握れず、あちこちに激痛が走る。
しかしその激痛すら気にならない程に、精神的な疲労が大きい。
記憶を保持したまま、あの膨大な概念の嵐を飛び越えたのだ。これに耐えられるのは…不思議人しかいないだろう。
逆に言えば、それでも尚、彼らは〔命〕を失っていなかった。
手首がちぎれる覚悟で、拳を握る。
最早何の為に戦っていたのかさえ、忘れていた。
…勝利ではなく、最期を賭けて
一撃が、放たれる。
『喰らえ!!!』
勝利の閃光が、全ての終わりを飾った。




