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闇姫軍 危機を察知

闇姫軍は有力な情報を掴んだ。


軍の拠点地…人間の住む世界から離れた、遥か北に存在する闇の国。

そこに聳える漆黒の城。周囲には悪魔の兵士が無数に配置され、警備に警備を重ねている。

複雑に入り混じった通路が続き、兵士がそれぞれの任務に出向く中…最上階では、一際落ち着いた空気が流れていた。


玉座に腰掛けた闇姫、そして正面に並べられているのは四人の戦士達。


一人一人、異なる姿形だが、皆共通して体が小さい。

一人は、ボールのような紫色の身体に翼がついた小型悪魔…名はデビルマルマン。

一人は、デビルマルマンとよく似た体型だが、四本の筋肉質な腕が生えた黒い悪魔、バッディー。

一人は、紺色のダイヤモンドに黄色い角を生やし、鋭い爪を生やした手を持つ…ダイガル。

そして残り一人は白衣を着た蛙型怪人、ガンデル。

彼らは闇姫軍でも特段高い実力を持つ四人の戦士だった。近年ではほぼ全ての戦場において最前線へ立つ程の実力者達。彼らの名を知らぬ者は闇姫軍にはいない。



ダイヤモンド…ダイガルが、闇姫にこう聞いた。

「して、闇姫様。その怪しい人間どもの居場所、突き止められたのですか?」

闇姫は少しテンポを置いてから答えた。

「…ガンデルがつけたGPS。それによれば、やつらはここから北に進んだ先にいるようだ」

それを聞いて反応したのはデビルマルマン。彼は闇姫軍屈指の魔術の使い手。その分魔力にも敏感であり、魔力に関する知識も多い。そんな彼が驚いた理由。それは、[ここから更に北]という一言にあった。

「闇の国より北…というと、あの瘴気界の事ですか!?」


そう、瘴気界。そこは闇の世界の科学でさえ、全貌を把握しきれていないという未開の地であった。

生物の身を蝕む危険な瘴気が常に支配しており、高名な悪魔ですらもここで命を落としたという伝承すら残る極悪地帯。勿論人間が足を踏み入れられるような場所ではない。…いや、もはや近づくだけでも細胞が壊死するだろう。

が、確かにGPSはその瘴気界がある場所で反応を示しているという。

「…いや、待てよ。…多分そういう事か」

デビルマルマンは自ら出した疑問に、自ら答えを出そうとしていた。

人間だけではない。そんな人間よりも更に繊細であろうGPSが生きている。いくらなんでもこれは不自然だ。

ナメクジが海中で生きているようなもの…。


「恐らく、瘴気を魔力で遮断できる何者かが潜んでいる可能性が高いですね」

至って冷静に、彼は分析した。

闇姫はさして驚かず頷く。彼女も薄々予想していたようだ。

「つまり、人間ならざる存在が裏にいやがるという事だな」

闇姫は立ち上がり、ため息をつく。


人間などという愚かで軟弱で下劣な存在に手を貸すとは、相当の馬鹿が裏にいるのだろう。

そして、馬鹿ほど危険な存在と成り得ない…。それは、日々れなを相手している闇姫にはあまりに根付いた一つの常識でもあった。


窓から外を覗き、両手を腰で組む。


人間…そんな生き物相手に軍をけしかけるなど、癪だった。

だが、危険は取っ払わねばなるまい。


「…ガンデル。確か瘴気を払いのけるスーツがあったな。あれを兵士に着せて出動させろ」

「はっ!闇姫様の仰せのままにいい!!」

ガンデルは駆け抜け、部屋から飛び出していった。


「…闇姫様。今回の件は…大ごとになるとお思いで?」

ダイガルの問い。



…背を向けたまま、闇姫は頷いた。

深く、深く…頷いた。




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