7.どうしたもんかね?
俺を警戒しているナナちゃん。
名も無く名乗ることすら出来ない俺。
そして俺は今、猛烈に悩んでいる。
原作知識が使えない今、どうやってもボロが出る気がする。何とも情けないが、俺のこの後のチャートは全て原作知識が使用可能な前提で組まれていた。
困ったな、この場を切り抜ける方法も水泡に帰した。俺の中では本来ここで、ナナちゃんに原作知識を活用した情報を渡し、敵ではないが味方でもないくらいの立ち位置にして逃げるつもりだったのだ。
どうしたもんかね?魔法連盟とか組織とか知らん情報出てきたし。そのせいでこの後の展開読めないし~!
今の俺に出来るのは精々がナナちゃんに意味深スマイルをプレゼントし続ける位だ。しかし、意味深スマイルには欠点がある。
続けすぎると敵として認定される事があるのだ!
まあ、ナナちゃんに限って早計な判断はしないだろう。多分、きっと、メイビー……しないよね?
「…このまま睨み合いが続いても仕方がありません。私としても本当に敵対したくないのですが、貴女を敵と認定し全力で確保しに行きます!」
「え、さっきの戦いで十分力は見せたと思うんだけど?」
「ええ、見せていただきました。助けていただき感謝します。私では到底敵わないでしょう事もわかっています」
「じ、じゃあ!」
「…すみません」
まずいぞ~!この世界のナナちゃんは結構規律に厳しいタイプだ!!
委員長とかやってるタイプの子ね。融通が聞かない感じのね、そう言うタイプも好きだけどね!委員長ナナちゃん……これはこれでアリだな!
違う、それどころじゃない。
状況を整理する。
ナナちゃんは実力差をわかった上で言っているのが問題だ。これは、多少戦っても諦めてくれない感じだろう。
何よりも問題なのは俺は多分、力加減が出来ない。
どうしたものか、悩む俺に腰の鞘が光ったのが見えた。よく見ると、充電のマークのようなモノが一つ減り点滅していた。
一つ減ってる?どういうことだ。
減る可能性を考える。そして、思い至る。
そうか、さっき刀を抜いて遠くの怪人を切ったあれか!これは充電式の砲弾みたいなモノなのか!
ならば、と思い俺は刀を鞘に納め上空に向かって抜く。すると、空を覆う雲が俺の引いた線通りに切れた。
ナナちゃんが、突然の事にビックリして俺と空を交互に見ているが気にしない。続けて二度同じことを繰り返す。
これで準備完了。ナナちゃんに話しかける。
「オッケー、掛かっておいで」