6.危険人物になっちゃった☆後編
「え…え?……魔…法、連盟…を知らない…?」
うん、わかるよ~!
世間一般に通じるモノなんだろうなって事は。でも、それ以外全くわかんないんだよね~!
とてつもなく困惑するナナちゃんに微笑みを向けながら、これからどうするか考える。
今一番の問題、多分俺は質問をミスってる。ナナちゃんのこの反応を見てわかる通り、魔法連盟なる組織はこの世界の常識なのだ。
これが質問をミスったと言った訳だ。
この瞬間からナナちゃんの中で俺は、異質な存在(歩み寄れるかも?)から、異質な存在(危険人物)に格上げされただろう。
さっきも強大な力で怪人を倒したが、それとこれでは話が違う。
怪人は敵だ、しかし俺がした質問は常識を問うもの。ナナちゃんだけに限らず誰でもこうなったと思う。
常識知らずのワケわからんヤツが、自分が苦戦した相手を一瞬で倒した。ナナちゃんの中ではこうなったはず。
いやーミスったー!どうしたもんかね?
「ま、魔法連盟に所属している方…ではないんですね?」
「うん、所属してないしソレを私は知らない」
「なる…ほど。では、力に目覚めたのは今日ですか?」
「うん」
「わ、私と一緒に連盟に来て貰う事は出来ますか?」
「無理」
「あ、あの、そうなると捕縛対象になるのですが…」
「それで構わないよ、ナナちゃん」
うわぁ、スッゴい悲壮な決意してそうな顔してる~!さっきの力を見た後で、俺と戦わないといけないのだから当然か。
美少女がこんな可愛い(可哀想)な顔してちゃイケナイね!お兄さんが笑顔にして上げようねぇ!
「貴女と敵対はしないよ?」
「え…じゃ、じゃあ!」
「所属もしないけどね?」
一瞬、凄い明るい顔になったのにまた悲壮な顔に戻っちゃった?
さっき言われた時は出来れば味方になってね~的なヤツと思ってたけど。これ、あれか?連盟の方針が無所属絶対許さないマンなのか?
そうだと仮定して考えると、納得する所が多々あるな。例えばナナちゃんが所属を頻りに聞いてくるところとか、悲壮か決意顔とか。
この時ようやく俺の中で違和感が纏まった。
この世界は俺の知ってるHigh&Deathじゃない。正確には、俺はゲームに入った訳ではなく偶々穴から落ちた先が俺の知ってる要素を持った世界だったって事かな?
今のところ俺の知識で役に立っているのは、目の前のナナちゃんがオレンジ髪、黄色の目、可愛い、だけだ。ゲームのナナちゃんは、明るく活発で仲間思いの少女だが、目の前のナナちゃんはクールな感じの子だ。
つまり、何が言いたいかと言うと。
俺は、この世界で原作知識で第三陣営をやるイージーモードではなく、何故か使える魔法少女の力と名簿位にしか使えない原作知識で第三陣営をやる、超手探りハードコアモードに突入したと言うことだ。