4.
あのまま拠点に居ても埒が明かないと思い、外へ出た。
相変わらずの季節外れの雪景色だが、それ以上に様子がおかしい。
俺達の拠点は、街の交通網に近くはないし若干不便くらいの立地なのだが、それでもある程度の人通りはある。
しかし、今は人が一人もいない。
焦燥感に駆られ走り出す。
店は開いたまま人が居なくなっている。商品の入った買い物籠が床に転がっている。
道路にある車はエンジンが掛かったまま運転手が消えたかの様にそこらで事故を起こしている。
人を見つけるために走る。道に散らばる鞄やリュックを見るたび、もう無事な人間はいないのではと最悪の考えが過る。
そんな考えを振り払いながら探している時。
すぐ近くの路地で悲鳴が聞こえた。
引き寄せられるように全速力で向かう。
ゴミ箱や壁を壊しながら最短を走る。
「大丈夫ですか!?」
悲鳴の発信地に着くと同時に声をかける。
次の瞬間、刀に手を置き一閃。
ドサッと人が落ちる。
同時に、空から伸びた黒い手は俺の振るった一閃によって千切れ消滅した。
フッと息を吐いて助けた男性に近寄る。
「よかった…。息はあるね」
少し安堵した俺はペタンッと座り込む。この人が起きるまでは側に居ないと危ないのと俺の休憩のためだ。
そして、手に入れたばかりの情報も加えて考える。
きっと俺の仲間も街の人もあの黒い手で連れていかれたのだろう。だが、何処に?これが分からない。
「手詰まりか…。もうちょっと情報が欲しいな…」
一人呟く。返事は無い。
人の消えた街に俺と、意識の無い男性一人。仲間の行方は依然として知れず。敵の正体も、目的も分からない。
八方塞がりだ。




