3.
誰も居なくなった部屋に落ちていた紙片を見る。
奇怪な模様が描かれている以外、変わった所の無い紙片に怪訝な顔をしてしまう。
「なんだこれ…?」
数分にらめっこしても、模様に隠された意味も、ここにある意図も読めず天井を見上げた。
「は…?」
先程までは、何も変化は無いと思っていた部屋に突如として現れた、紙片に描かれた物と同じ模様に驚き声が出る。
紙片に描かれた模様だと潰れている部分もあってわからなかったが、天井に現れた模様はハッキリと描かれている為、何を組み合わせて描いているかわかる。
文字だ。
考え得る限り最悪な意味を持つ字を組み合わせた呪いと言っていい物だ。魔術やその類いの気配に疎い俺でも理解できる。
これは誰かが俺達に、死を願って書いた物なのだろう。
俺の考察を肯定するように、天井の字から無数の手が降りてきた。
その手がゆっくりと肩に触れる瞬間、背筋に凍るような感覚が走る。
咄嗟に飛び退き変身する。
刀を鞘に納め、チャージを一つ消費し天井を切り裂く。
降りてきた手には効果が無かったが、文字には効果が有り、無数に重なった死を意味する字の内の一つが消えた。
この調子なら行けると判断した俺はもう一度、納刀しチャージを使い斬撃を飛ばす。
二度目の斬撃は重なった字の大多数を削り止まった。ここまで来ると手の数も減り、速度も落ちた。
もう一発、そう意気込み撃つ。
斬撃は残りの文字を切り、手を消滅させた。
俺は少し息を切らしながら、手の内の紙片を見る。そこにあった模様は消えてはいないが切られた様な痕が付き、紙片自体も古ぼけた紙になっていた。
「結局、スレイヤー達の居場所はわかんないままか…」
深く吸った息と一緒に愚痴を吐いた。




