22.
スレイヤーの修行開始から一週間後。
「よし、全員が意識を保てたな。これで合格だ」
スレイヤーの言葉と共に俺達は顔を見合わせる。そして、段々と顔を綻ばせ一斉に歓声を飛ばす。
「「「「やったー!!」」」」
「うむ、これで基本的な状態異常には掛からないだろう」
喜びも程々に俺達は会議に移る。
議題は、マツリの元所属組織をどうやって潰すかと言う話だ。でも、先にこれだけは確認したいと思い、俺は聞いた。
「先ず確認なんだけど。マツリ、元所属組織を潰すけど良い?」
「うん、洗脳が解けてきて客観的に見たらヤバいことさせられてたって思うし、アタシがやったことの落とし前も付けたい。だからむしろこっちからお願いしたいの」
「皆はどう?」
「私はクオンちゃんに着いてくから賛成~」
「我も賛成だ」
「ええ、私も賛成です」
「オッケー、満場一致。あの組織をぶっ潰そう!」
行動の指針が出来た俺達は、計画を建てるため更に話し合う。
「マツリ、知ってることを話せる?組織の目標とかおおよその敵の人数とか」
「うーん、私が知ってることもそんなにないからな~。全体の人数は分からないけどボスと幹部は知ってるかな?」
マツリの話しに寄ると、この組織は表向きは会社として成り立っている用で、会社として成立させるために関係の無い人も雇われているらしい。
各部署のトップに幹部が居るようで、幹部の全員が洗脳された魔法少女だと言う。その為、表の仕事で稼ぎを上げようとしている訳ではない。なので基本、幹部は魔法少女の力を活かした暗殺や密偵等の暗い仕事をさせられている為、会社に居ないことが多く、組織を潰すなら昼の間が一番やりやすいと言う。
そして、ボスと呼ばれる奴は目だった特徴も無く、中年のやや太り気味のおじさんだと言う。しかし趣味が最悪で、洗脳した魔法少女の中で成果が低い者を呼び出して好き放題しているようだ。
幸いな事に、マツリが連れていった魔法少女達は能力が高く洗脳の効きが悪い様で、まだ手は出されていないようだ。
「ごめん…。辛いことを話させちゃって…」
「え、アタシは何もされてないよ?」
「え?」
「本当、本当。だからまだ処女だよ、確認する?クオン」
「え、あ、いや、大丈夫…です…」
俺はマツリの突然の発言に慌てて返す。
今、絶対顔赤い。突然何を言っているんだマツリは!
「な、何を言ってるんですか、マツリさん!?クオンさんも困ってるでしょ!」
マツリの言葉に俺がビックリしている間、ナナちゃんも同様にフリーズしていたが、一拍置いて怒涛の勢いでマツリに詰め寄る。
「きゃー、ナナが怒った~。般若~」
超棒読みのマツリが逃げていく。
「だ、誰が般若ですか!!」
変身までして追いかけるナナちゃん。
ドタバタと拠点内を走り回る音が聞こえ、またこうなるのかと少し呆れながらも、こう言うのも嫌いじゃないなと思い、オウカちゃんとスレイヤーと顔を見合わせ笑った。




