20.
マツリを連れて帰ると、スレイヤーとオウカちゃん、ナナちゃんが出迎えてくれた。
何でも、俺が出掛けてから少し経った頃に全員のマツリに関する記憶が戻ったのだと言う。状況から考えて、俺がマツリを探し出した頃の話だ。
「あれ、私は家を出た頃にはマツリの事を思い出したんだけど…。皆はその後?」
「確かに、変な話ではあるな。我は特段魔法に対する抵抗が強い、それなのにクオンよりも改竄された時間が長いのはおかしい」
「ええ、スレイヤーさん程では無いにしても私も魔法少女です。なので抵抗力はオウカさんよりも高い筈ですが…」
「そうだね、私が一番長くかかる筈なのに、クオンちゃん以外の皆と同じだけ改竄されてたんだもんね」
状況を整理すると俺がマツリを見つけるまでの間、誰も改竄が解けていない。つまり、俺が見つけるのが遅れればもっと長い間かかっていた可能性もあると言うことだ。
「スレイヤー、魔法への抵抗力って上げられる?」
「可能だ」
「訓練で行ける?」
「キツイぞ?」
「覚悟してる」
「わかった、全員着いてこい」
「え、私もやるんですか?」
「クオンちゃんの為に頑張るよ~」
ナナちゃんは驚いていたが、他の面々はやる気のようだ。
「ああ、そうだ。先に内容を説明しておこう。簡単に言えば、慣れを利用する」
「慣れ?」
「うむ、これから我が知る限りの精神操作系の魔法をかける。といっても効果は対して無い。我はこう言うの苦手だからな」
スレイヤーから伝えられた驚愕の訓練方法に全員、ポカーンとした顔だった。
スレイヤーの無慈悲な号令が聞こえるまで…。
「では、始めるぞ」




