17.
一通り泣いた後、今回の俺の暴走の発端になった少年を裏山に捨て、暴走後に手に入る力を確認しに元拠点の廃工場に来ていた。
「どうやんの?」
「力を込めるんだ」
言われた通り力を込める、何も起こらない。
「出ないんだけど…」
「うーん?ならば何か言葉が浮かんで来るとかは無いか?」
「そう言われてもね…」
頭に浮かぶ言葉を片っ端から試していく。
「カレー、カツ丼、牛丼、たくあん、ハンバーグ、etc」
「おい、クオン。腹が減っているだけじゃないか?」
「うん、お腹空いた」
「まあ、焦っても仕方がない無いからな…。今日の所はこの辺にして、オウカ達に合流するか」
「わかった」
オウカちゃん達に合流するまでの間も考える。しかし、本当に思い浮かばない。スレイヤーに聞いた感じだと、使い方は覚醒が終わった後に頭に入っている筈なのだ。
考えても、思い出そうとしても、何も浮かばない。
まさか、覚醒失敗?
だとしたら超へこむ…。
「クオンさん!」
考え事に集中しすぎていたようで、気付いたらオウカちゃんとナナちゃんが目の前にいた。
「あ、ごめん。考え事してた」
「いえ、何処か悪いわけでは無いなら良いんです」
「ホントに、クオンちゃん大丈夫だった?」
「うん、スレイヤーがいたからね」
「我の話しもしたいがここではな…。先に館に入ろうか」
中に入った俺達は別行動になった後の事を話した。
二人は、俺とスレイヤーを心配して俺達の現拠点の近くまで戻ってきていたとの事だった。だから合流が早かったのだ。
そして俺は、少年の事、暴走の事を包み隠さず話した。最初はびっくりしていたが、話し終わると二人とも抱きしめてくれた。
「二人ともありがとう…」
「いえ、私はクオンさんに返しきれない恩があります。これくらいなんて事はないですよ。恩が、無くてもこれくらいはしますけど…」
「ナナちゃんは素直じゃないね~。クオンちゃんが好きならそう言えば良いのに~」
オウカちゃんのからかうような言葉に、ナナちゃんはみるみる顔を赤くして、口をパクパクとさせる。
「オウカさん…!からかわないでください!」
怒ったナナちゃんに追いかけられるオウカちゃん、そんな二人を見て笑う俺とスレイヤー。
絆が更に深まった気がした。




