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9.幽霊って信じますか?

 マツリを連れてナナちゃんの家には行けないので、オウカちゃんが見つけた激安新拠点を借りることにした。


 無理を言って明日からにとお願いしたのだが、快諾してくれた。


 やっぱりヤバい物件だわ…。


 「マツリ、荷物とかある?」


 「ない…」


 「そっか」


 この館、古いが造りはしっかりしている。どの部屋も雨漏りの心配は無さそうだ。


 「好きな部屋を自室として使って良いよ」


 マツリにそう声を掛け、俺も自分の部屋を決める為に廊下を歩く。


 スレイヤーとオウカちゃんは、別の方向の部屋を見に行っているので今は俺一人だ。まあ、後ろから足音が聞こえるのでマツリが着いてきているようだが。


 「まったく…。マツリ、一緒に見に行く?」


 後ろを振り向きながら言った俺の言葉は、誰に届くこともなく廊下に響いた。


 「おーい、マツリ~隠れてるの?」


 再び声を掛けるが返事はない。


 すると、廊下の奥で少し影が見えた。


 「なに、かくれんぼ?確かにその気持ちはわかるけどさ~」


 早歩きで影を追う。角を曲がり追い付いたと思ったが、階段を上がる音が聞こえ上を見る。


 「マツリ、なかなかやるね…!」


 小走りで階段を上がる。


 最後の段を上がったところで、廊下の奥の部屋が閉まるのが見えた。


 「もう、逃がさないよ!」


 廊下を駆け抜け、扉を勢いよく開ける。


 そして、気づく。


 今の精神状態のマツリがおいかけっこなんてやるわけが無いことに。


 クリアになった思考で感じる浮遊感。飛び降りたと気付くのに時間は要らない。背後から感じる猛烈な悪意に背筋が凍る。


 「しんじゃえ」


 落ちながら顔を向けた俺に、真っ黒い人影はそう言った。





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