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8.

 スレイヤーが知っていた方法とはカウンセリングの様なものだった。


 時間をかけて薬物を抜き、毎日会話をして認識の齟齬を無くしていく。それを続ければ良いと言っていた。


「こんなんで上手く行くのか?」


「うむ、我を信じてやってみろ。あと口調戻ってるぞ」


「あ、ごめん」


 マツリを連れているので、ナナちゃんの家に帰る訳にも行かず。新拠点(仮)に置いてきたオウカちゃんと一先ず合流した。


「クオンちゃん、また拾ってきたの?」


「いや、うん…。そうなるのかな?」


「しかも危ない目に合ったんでしょ?」


「そうだね。でも、対処可能な範囲の物だったから気にしなくていいよ?」


「そっか、クオンちゃんがそう言うならそうするね」


 ジッと俺の傷跡を見ていたオウカちゃんは、俺とマツリを交互に見てニッコリ笑って俺にそう言った。


 「マツリ、喋れる?」


 「……」


 「やっぱ、()()か…」


 俺がそう言って傍を離れると、マツリは目を見開いて泣いて謝り始めた。


 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、失敗しません!ダメな子じゃないです!!」


 突然の事に俺は慌てたが、オウカちゃんとスレイヤーは一切動じず、マツリな様子を見ていた。



 少しして、マツリを宥めた俺達は話し合っていた。


 「オウカちゃんもスレイヤーも凄いね…。マツリのあの様子を見て同様しないなんて…。私なんか慌てちゃって何も出来なかった…」


 「気にすること無いよ、私が大丈夫だったのは怪人になった後の私と似てたからだし」


 「我は場数だな」


 なるほど、でもそれなら俺は一度、壊れたように謝っていたオウカちゃんを見ているのに何故動揺した?


『クオン』


 突然の念話にビックリして思わず、キョロキョロとしてしまう。


 「クオンちゃんどうしたの?」


 「あ、いや、なでもない。ごめんね」


 「そっか、何かあったら言ってね?」


 「うん、ありがとう」


 おい、スレイヤー念話するならするって言えよ!


『あー、すまん』


 で、なに?


『ああ、お前の事について我の予想を話しておこうと思ってな』


 普通に話さないの?


『お前が元男だと言うことに関わってくるからな』


 なるほど、わかった。聞かせて。


『うむ、先ず始めにだがクオンの精神が体の年齢に合わせて少し幼くなっていると言うことだ』


 どゆこと?


『つまりだな、オウカの心を支えた時と違い、お前の精神は少し幼くなっている。だからさっきの状況に対応できなかったのだ』


 なるほど?


『まあ、我の予想に過ぎないがな』


 いや、ありがとう。教えてくれて助かるよ。


『うむ』


 スレイヤーとの念話が終わり、少し考える。


 俺の精神年齢が下がった事、それに応じて耐性が無い出来事も増えた事。マツリの事を助けるのが優先だが、俺の方も何とか折り合いを付けてかなきゃな。



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