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3新拠点?

 「クオンちゃん、こっちこっち~」


 「そんな引っ張らなくても、ついてくから大丈夫だよ」


 グイグイと引っ張られて連れていかれる俺。ナナちゃんの家を出てからかれこれ三十分は歩いたと思う。流石に足が疲れた。


 「とうちゃ~く!」


 オウカちゃんの声に顔を上げ建物の外観を見る。


 「え、ホントにこれ?」


 「うん、これ!」


 「マジか…」


 「マジだ!」


 別に外観が汚いとか幽霊、出そううとかそう言う話ではない。むしろ逆、綺麗すぎるのだ。ナナちゃんの家から三十分、街の外れに建つ洋館。外観と言い、館付近の景色と言い、すんごいお値段しそうだ。


 「ちなみに…おいくら?」


 「所有者の人がタダでいいって言ってたよ?何か、かかるお金全部向こうで出すから早く住めるなら来週からでもって」


 「そっか~……」


 ……絶対、事故物件だよね!?


 俺にはそう言う第六感的なモノは無い。だが、幽霊は怖い。いわく付きなんて、夜にトイレ一人で行けないくらい怖い。


 「オウカちゃん…」


 「なに?私役に立てた?」


 「あ、うん!スッゴい役に立ってるよ~…」


 無理、あの笑顔を前にチェンジを言える程心死んでない。


 スレイヤー!助けてー!


『なんだ?』


 え、繋がった?


『ああ、言い忘れていたがこのまえお前に持たれていた時があったろ?そのときから使えるようになったみたいだ』


 あ、そう。そう言うのはもっと早めに言ってね?


『すまん、気を付ける。それよりも何か用があったのではないか?』


 そうそう、拠点が見つかったんだけど…。


『なに、本当か!』


 うん、オウカちゃんが見つけてくれて…。


『何だ、その歯切れの悪い言い方は』


 その、お金が…。


『ああ、高すぎるのか…』


 いや、かからないの。


『は?』


 だから、お金がかからないの。


『そうか…。まあ、雨風さえ凌げれば我は何も言わんが…』


 そうだよね、これだけ聞くとあばら家が出てくると思うよね。違うんだよ、豪邸なんだよ。


『は?』


 すんごい豪邸なんだ。


『詐欺ではないか?』


 詐欺とかよく知ってんな。大丈夫詐欺じゃない。


『何故、そう言いきれるのだ?』


 持ち主の出した条件がね…。


『まさか…』


 そう、そのまさかだよ。


『体を差し出せと言うのか!?』


 あー違う違う、そっちじゃないね。ごめんね?含みを持たせるような言い方して。違うのよ、事故物件的な意味の方なんだよ。


『ああ、なんだそんなことか。霊なんぞ我が斬れば言い話だ』


 え、斬れるの?


『何を驚く、結界を斬れるのだから斬れるだろう』


 斬った経験があるとか?


『うむ、バッサバッサと斬っていた時期がある』


 そっか~…。


『ところで悩みとは何だ?今言ったことだったのか?』


 あー、うん!なんでもないよ!



 こうして、スレイヤーとの念話?は終わった。


 勝手に考えが読まれるとかじゃなくて、電話みたいな感じで双方が受話器をあげる、つまり会話に応じる気が無いと出来ないようだ。


 それにしても、俺の仲間は凄いな。たった数日ででっかい豪邸見つけてくるわ、幽霊斬れるわ、何でもありだな。



 俺の立つ瀬がない…。







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