33.家族
これまでの経緯と、ナナちゃんの両親に起きたことなんかを話して、そのまま全員起こすことになった。
「じゃあ、ナナちゃんの家族を起こすね」
「お願いします」
「まかせて」
俺はゆっくりと手に力を込め、集中する。
最初は一人一人起こそうと思ったが、何故か個別にやろうとすると上手く行かず。三人纏めてならスムーズに力が入るからいっぺんにやることになった。
「スレイヤーさん」
「何だ?」
「クオンさん、何か喋りずらそうでしたね」
「ああ、我に言われたのが存外効いたのだろう」
「成る程、それで…」
人が集中していると言うのに、この二人と来たら仲良く談笑してやがる。ナナちゃんの両親を助けたときの事や、ナナちゃんにかかっていた監視用の魔法を解いたりしたときにこの二人は馬が合った様で、ずっとお喋りしてる。
まあ、いいけどね!拗ねてねぇし!
少しの寂しさを何処かにやるように、更に集中していく。
そのかいあってか最速で構築が終わる。
「起こすよ…」
ナナちゃんとスレイヤーに一言掛け、発動する。オウカちゃんを起こしたときと同じ様に光り、目の前が白くなる。数秒で収まり元の風景に戻る。
「成功…ですか?」
恐る恐る聞いてくるナナちゃんに答える。
「知らない…」
「おい、クオン。拗ねるな、我が悪かったから」
「ふん…。成功してるよ…」
「あ、ありがとうございます!!」
俺の言葉に嬉しそうに顔を綻ばせ、床に頭が着きそうな程のお辞儀をして家族に駆け寄る。
「怪人化した人間をを起こせるのか。すごいなクオン」
「……」
「まだ、拗ねてるのか?」
「違う…」
「なら、どうした?」
「今回、私はスレイヤーに頼りっぱなしだった…」
「そうか?単純に我は戦いを得意とするだけだ」
「でも…」
「でももだってもないぞ。我にはこんな芸当出来ない。だが、お前はこれから鍛えれば我を越すくらい強くなれる」
「そうかな…」
「ああ、保証する」
スレイヤーはそう言って、起きた家族と再会を喜ぶナナちゃんの方に近寄っていった。
俺は自分の手を見つめ思う、今回俺一人では確実に死んでいた。偶々、スレイヤーと知り合えただけ。それがなかったら俺は何も成せなかった。
やっぱり、もっと強くならなくちゃ駄目だな。
自分の考えを纏め、俺もナナちゃん達の輪に混ざる。
「対象確認、殲滅しますか?」
『いや、いいよ』
クオン達を見ていた人影は明け方の空に消えていった。




