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26.

 動揺するナナちゃんに、適当な理由を付けて帰らす為に言葉を紡ぐ。


 「へぇ、妹さんを助けたくてやってるんだ~」


 「………」


 「まあ、私には関係ないし。どうでも良いけどね」


 「でも…!わたし、力になれます…!」


 「いらないかな、ナナちゃん弱いし…」


 「っ……」


 少し、苛立ちを見せるナナちゃん。ごめんね。でも、こうするしか無いんだ。監視だか盗聴だか分からん魔法も付いてるから、本当の事言えないのよ。そして、ここで敵対している素振りを見せなければ、この前ナナちゃんを誘拐して色々と聞いた時の事が筒抜けだった場合、ナナちゃんの立場が更に弱くなる。最悪の場合、ナナちゃんの大事な妹に何かあるかもしれない。


 「じゃあ、帰ってもらえるかな?足手まといのナナちゃん」


 ナナちゃんは何も言わず、後ろを向いて歩いていく。去り際に見えた顔は泣いていた。


 ここまでしたのだ、俺はナナちゃんを完璧に助けるまで止まれない。


 「スレイヤー。見守り隊初仕事と行くか…」


 「うむ、それは良いのだが…。どう動くのだ?」


 「先ずは、あの魔法を解く」


 「ふむ、我がやろう。あの程度の契約なら斬れる」


 「頼む」


 「あの娘に言葉を尽くすのはお前がやれ。演技とはいえ、言うこと言ったのだ。詫びの一つはいれねばな」


 「ああ、わかってる。しっかり謝るよ」


 「して、決行は?」


 「今日の夜だ」


 「承知した。あと、気になってるから聞くな?なんで、話し方が男っぽくなっておる?」


 「いや、だって。スレイヤーらしってるんだろ?俺が元男って」


 「うむ、知っているが…。他の場所で男口調が飛び出さないか?大丈夫か?」


 「うっ……。わかった、気を付ける」


 その後、最速で準備を終えた俺達はナナちゃんの自宅まで移動した。


 何故、ナナちゃんの自宅が判るかと言うとスレイヤーの特技で一度見た魔法少女は離れていても場所を特定できるのだ。俺も欲しい。


 それを使って来たのだが、ナナちゃんの家の周りにはモヤがかかっている。


 「スレイヤー、これって…」


 「ああ、結界が張られている。効果は…人避けと警報だな」


 人避けはわかるが警報?


 「警報ってどんな効果なの」


 「侵入者が現れると、術者に知らせが届くのだ。我も潜伏しているときに良く使っている」


 成る程、つまり防犯ブザーって事か。どうしたもんかな。武者スタイルの刀で斬れば行けるか?


 「スレイヤー、何か案ある?」


 「ないな、あれは斬れば音が鳴る」


 「オッケー、じゃあ私がやってみるよ」


 武者の方を意識して変身する。


 体に紅と灰の甲冑が現れ腰に刀を佩く。刀を引き抜き一振。変身完了。


 「スレイヤー、離れてて」


 「わかった」


 スレイヤーの位置を確認して離れたタイミングで結界に向けて抜刀。鞘に光る充電マークが一つ減り音も無く結界が斬れる。


 「うむ、見事だ」


 「ありがと。じゃあ、行こうか」


 俺達はスタスタと家に入る。


 鍵は開いていた。

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