25.姉妹愛って良いよねっ!
ナナちゃんが誰か起こしたくて俺の手伝いをすると言っているのだとして。俺のこの体の口下手が災いするので、単刀直入に言おう。
「間違ってたらごめんね、誰か起こしたい人でもいるのかな?」
「うぇ!?い、いや、ぜんぜん!違いますよ!?」
動揺し過ぎじゃない?まあ、オッケーかな。
しかし、この場で承諾するのはマズイ。何故かと言うと、ナナちゃんの近くに何か嫌な感じがするのだ。何と言うかモヤが掛かっているような違和感。
初めて会った日は感じなかったし、そもそもそんな暇があの時は無かった。そして、騎士スタイルに変身している。
つまり、この騎士スタイルの変身は感知能力に長けているのだろう。
『おお、クオンも気付いたか。まあ、ここまで隠す気が無いのだ、あの娘の接近に気付かないかったクオンで流石に気付くか』
あ、バレてたんだ。ナナちゃんが来たのにビックリしてたやつ。まあ、そうか。俺の気持ちとか全部読んだって言ってたもんね。
恥ずかしっ!
取り敢えずは、ナナちゃんの起こしたい人のことを聞いて、適当な理由を付けて返さなければならない。
「で、誰を起こしたいの?」
「えっ、あっ、いえ、だから、私は...」
「話ぐらいは聞いて上げるよ?」
「妹ですっ…!」
口からポロっと出たと言う感じだった。咄嗟に口を押さえて目をキョロキョロと彷徨わせている。本当に今は、言うつもりは無かったみたいだ。
反射で出る、それ程までに妹の事を思っていたのだろう。
元々どうにかするつもりだったが、これは本腰を入れてやるべき事みたいだな。




