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19.カエルかき氷ってシロップあれば食べれるかな?

 慌てている、俺は超絶慌てている。


 転生してまだ1ヶ月も過ごしていない内に人殺しで逮捕は嫌だし、助けたと思った人達を自分の手で殺したとか洒落にならん。


 かき氷になったカエル擬き君に近寄り、そこで俺は重要な見落としをしていることに気付く。


 何故、怪人の死体が残っている?


 直後に強烈なプレッシャーを感じ飛び退く。オウカちゃんの位置と無事を確認しながら、敵を探る。居ない、俺の感じたあのプレッシャーは殺意とか敵意とか言われる類いのモノなのだろう。それを感じないとなると、脅威は去ったと見て良いだろう。


 その時に気付くべきだった。誘われていることに。


 一瞬の油断、これを待たれていたのだろう。俺の肩から剣が生える。突然の衝撃と追い付く痛みに思考が混乱し、鮮明になる。


 理解する。俺は今、刺されたのだと。痛みで叫びそうになる喉を引き締め背後を見る。俺を刺した奴を見なければ、対処の仕様も無い。


 目に入った、オウカちゃんが倒れている。何故だ、さっきまで反対に居た筈だ。最悪の結末が脳裏に過る。心臓が跳ね上がる。頭が熱くなり、周囲の動きが遅くなる。


 一秒を凄い数割って見ているような感覚。そこでやっと敵の顔が見れた。


 嗤っていた。正確には顔かわからないが、悪意を持っていると直感で察する。オウカちゃんが倒れている様を、わざわざ俺に見せるためにこいつが移動させたのだと気付く。


 敵の瞳に映る俺は、今にも泣きそうな顔をしている。俺の顔を見た敵は更に顔を歪めて嗤う。絶望しろと言わんばかりに、肩に刺した剣を捻る。


「ぁ……あ」


 悲鳴を上げる、自分の悲鳴は耳に届いている。しかし、聞こえない。痛みが走る、焼けるように。肉を裂く音が体に響く。その一つ一つが、俺の意識を保つ要因となる。


 体がビクビクと痙攣し地面に倒れる。剣が深く刺さる度にのたうち回り、視界が霞む。


 なおも体は這い進む。


 「……っおう……か…ちゃん……!」


 会ったばかり、長い時間を共にした訳でもない。付き合っている訳でもない。


 でも、この世界に来て初めて出来た仲間だった。


 そんな仲間を目の前で失い、それをやった敵には負け、俺も死にかけている。自分が嫌になる。絶望を与えられそれを享受するしかない。


 しかし、希望はあった。







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