18.クールな変身
オウカちゃんに見せる雰囲気はクールに、俺の心はホットで行く気概で変身する。
体の周りをユラユラと青い火の玉が飛び回り、この時点で前に変身した時と違うことがわかった。しかし、一度始まった変身をどう止めるか知らないので流れに身を任せる。
青い火の玉が体の手や足などに集まっていく。これってクールっぽくね、と思い気分が上がってきた俺は、ゆっくりと歩き出す。
一歩踏み出すと、足に集まった火の玉が弾け鎧と成っていく。歩みを止めないまま、腰に手を当て刀剣の柄を持つように空を掴み抜く。俺の意思通りに動き、抜いた先から剣が現れる。
抜いた剣を一振し、胴と腕の火の玉を弾けさせる。
俺の心持ちが影響したのか前回とは全く違う変身をした。前回が日本の武者なら今回は西洋の騎士だ。それもフィクションに登場する鎧とドレスの同化した装い。
何が言いたいかと言うと。つまり、カッコいいと言うことだ。
内心、テンションを上げながらオウカちゃんが見ているのでクールに決める。
前回の武者の装いにも慣れない内に、別のスタイルに変身したので使い方が良くわからないが、何となくの使い方は変身途中に頭に入ってきたので大丈夫だと思う。
取り敢えず、剣の先に火の玉が残ってるのを見付けた俺は、このスタイルになってからずっと見えてるカエルの親戚みたいな怪人に向けて剣を振ってみた。
スッと一瞬、時が止まりカエル擬きに線が入る。カエル擬きが俺の攻撃に気付き反撃の構えを取ったが、それ以上の動きはなかった。
俺の剣が入れた線から広がった青い炎でカエル擬きが凍り、ピシッと亀裂が入り砕けた。
何か、俺の戦闘って一撃で終わってない?
そんな疑問をよそに怪人が倒された事を喜ぶオウカちゃん。
「氷見さん、凄いね!でも、核になった人は何処に行ったんだろう?」
その一言で俺は思い出す、カエル擬きはたぶん人を食ってた事を、そのカエル擬きをかき氷にしちゃったことを。