13.突撃、お宅の……
は?何で魔法が発動したの?状況からしてナナちゃんの近くに来てるのかな?
辺り見回し、信号待ちをしているナナちゃんを見つけた。
何を話すかを決めないまま、ナナちゃんの前に出る。一瞬ビックリしたナナちゃんは、俺を認識すると変身の構えを取るが、少し考えた様子で止まり構えていた手をおろした。
「何か御用ですか?」
向こうから対話の姿勢で来られると思っていなかったのでビックリしたが、どうにか現状を知って貰いたくて言葉を繋ぐ。
「えっとね~、核になった人を起こしたんだけどねぇ。これがまた厄介な事になっててね?」
「は?寝言は寝ていって下さい。核となった人は現状、起こす手段は見つかっていません。起きたとしても奇跡的に助かったと言うだけです」
馬鹿を見る目で俺を見るナナちゃんにどうしたものかと頭を抱える。ここで俺は名案を思い付いた。
ナナちゃんを転移に巻き込んで核だった人に会わせればよくね?
そう考えると良い案に思えてきた。よし、やろう。今、やろう。思い立ったら吉日だね!
満面の笑みでナナちゃんに近づく。こちらに敵対の意思がないのがわかっているのか、少し警戒はしているが、直ぐ様飛び退くとかそんな雰囲気ではない。
「ナナちゃん、眩しいのは嫌い?」
「え、はい。目がチカチカするのは嫌ですけど…」
「うん、そうだよね。じゃあ、長距離の移動は好きかな?」
「さっきから何なんですか?……長距離の移動?旅行の事ですか?聞いて意味ありますか?」
「あるよ~!ナナちゃんをもっと知りたいからねぇ」
「私にメリットがありません」
「あるよ~。もしかしたらナナちゃんが仲良くなる事で私が魔法連盟につくかも知れないよ?」
「……成る程。確かにメリットはありますね」
「じゃあ、もう一度聞くね。ナナちゃんは長距離の移動は好きかな?」
「長距離の移動……。旅行の事ですか?」
「そうだね、そう捉えて貰って構わないよ」
「旅行は好きです。家族旅行が特に」
「そっか~!ありがとう。参考になったよ。じゃあ、行こっか?」
「え!?」
ナナちゃんと俺の足元に魔方陣が展開される。
「だ、騙しましたね!?さっきの質問は私を嵌める罠だったんですね!?」
叫ぶナナちゃんをよそに、魔方陣は輝きを増していく。急いで変身しようとしているナナちゃんだが、間に合う訳もなく。
転移魔法が発動した。