12.忘れ物を取りに来ただけなのに
魔法成功を喜んでいる俺に突っ掛かってくる人がいた。
「お前が、瑞帆さんの報告にあった所属不明の魔法少女だな?」
防護服に身を包んだ推定男性が臨戦態勢で俺に話しかけている。良く見ると周りにもちらほらと防護服姿の人がいる。
何でだ?
少し考え答えに辿り着く。あぁ、核になった人を回収に来たのか。魔法連盟とか言う組織?の人かな。
俺がこうも簡単に答えに辿り着いたのは、別に特別察しが良いとかではない。核になった人は身体構造が変わると言うのを知っていただけだ。
たぶんコレは俺の知る知識と合致するのだろう。
そして、魔法連盟が信用ならない組織だと俺の中では位置付けされた。回収された人は大方死んだ事にされて、人体実験やら何やらに使われるのだろう。この予想も合っているのではないだろうか。
ネット小説や漫画、アニメ等々を読み、見漁った俺にはこんな推理朝飯前だぜ!
さて、この防護服と話す事はないから目的を回収して逃げるか。さっきの発動で転移魔法は身体に馴染んだっぽいので、核だった人を担ぎサクッと転移する。
何か喚いてたけど知らん知らん。魔法連盟信用
、無理、絶対。
さてさて、場所は変わりまして廃工場。
目の前に居ますは、怪人の核になった人。そして、その人の前に居るのはこの人を見ていると何とか出来ると言う気持ちがフツフツと沸いてくる俺。
どうやるんだろ?わからんね。うーん、うーん。あ、そうだ。何とかなれ~!
おもいっきり力を込める。
すると、身体からスッと力が抜ける感じがしてふらつく。対して目の前の女の人はゆっくりと目を開けた。
「こ…ここは…?私の腕はついてる…?私切られて死んだんじゃないの!?違うのあんなことしたかった訳じゃないの!!あぁぁぁぁ!!」
起きるや否や突然叫び出した女の人を俺は、静かに見守る。自分のやった事が見えていたらしい。家や店を壊した事、人に怪我をさせた事、俺に切られた事。全部覚えているようだ。
鬱要素を失くそうとしたら、更なる鬱要素が出てきて俺、泣きそう。こんな状態の人に何て言葉を掛ければ良いかわかんないし。そもそも、被害がどの程度かも知らないから声の掛けようがない。
どうしたもんかな~。どうにかしてあげたいけど街の被害の程度を知っている人に会わないと行けないんだよね~。何とかしてナナちゃんに会えたら良いんだけど。
うーん、わからん。その結論に至った瞬間俺の視界はまたも閃光で染まった。