新たなスキルを取りに
「ス ギ ル が ホ シ イ ガ ― 」
赤鬼のお面とワラのマントをまとった格好でリタは僕に短剣を突き付けてきた。
「ここは秋田か!! スキルが欲しいじゃなくて泣ぐ子はいねがー!だし、そもそもなんで朝からこの格好なんだよ」
すぐにメイド姿に戻ったリタ。
「スキル欲しいですよね?」
「そりゃ欲しいよ」
「いいスキルが取得できる祠を見つけて来ましたので、今から行きませんか?」
「お前いつも唐突だな、わかったよ。今は時間が空いているし。近くなの?」
「ポータルを使って5分くらいです。ボスもいませんし簡単に取得できます」
「また遠いところに連れていかれるのね」
――――――――――――――――――――――――――――――
ポータルで飛ばされると、周りがゴルフ場のラフみたいな草が生い茂る360度パノラマな草原。
そこに一つの小山と洞穴があった。
「ここです。スキルの祠、につながるダンジョンです」
祠に行ってスキル取って終わり。ってわけはいかないか。やっぱり。
早速リタと二人でダンジョンへ。奥に入っていくと下の階段を発見。階段の横に何かがいる。
魔物か!?
「いいえ。魔物ではありません。ただ話しかけないと先に進めません」
話しかける。
「よくぞ来た。わが神聖なる場所に」
――― 略 ―――
話しが長い!!30分ぐらい付き合わされた。
道の角にも青い鬼のお面を付けた人がいた。今度は無視して行こう。
しかし、呼び止められてしまった。
「君はクマに遭ったことあるカイ」
――― 略 ―――
カイカイカイカイうぜぇー!!
25分経ってようやく解放された俺は祠に向かうであろう道を歩きながら進んでいく。
しかし、またしても扉の前に寡黙な鬼のお面を頭の横に付けた少年が道の前にふさがっていた。
話しかけたそうに俺達を見ているだけで動く気配はなかった。
「あのう……どいてほしいんだけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「急ぐので。じゃ!」
ササっ。
「おっと!」
行く手をブロックしてきた少年。
飛び超えるか。ちょっと後方へバックして少年をとびこえる。
びよーん!少年は俺の高さに合わせてジャンプしてきた。
「あぶね!」
ガン!! 俺だけふっ飛ばされた。
「結界張っていますね。あの少年」
それを早く言ってくれ。リタさん。
――― 略 ―――
30分後、リタが俺に袋を差しだしてきた。
「その少年に渡してください」
リタからうけとった袋を寡黙な少年に差し出した。
無言で受け取った少年は袋から何かを取り出し食べだした。満足したようでどこかへ消えるかのように去っていった。
「何あげたの?食べ物?」
「岡山名物。シャインキビ団子です」
「それは鬼じゃなくてキジにあげるやつ!!そもそもシャインキビ団子ってそんなのあるの?初めて聞いたんだけど」
やっと祠の入り口らしい扉に着いた。扉を開くと地平線が見えるんじゃね?くらいの通路がまっすぐに伸びていた。
「無駄に通路長い!!モンスターも出ないから逆に退屈でしょうがないわこれ」
体感1時間くらい歩き続けた。
「本当にゴールあるのかよ。引き返した方がいいんじゃ」
と思った先に扉があった。
「ここが目的の祠です」
ここまで遠かったぁー。
戦闘シーンは無くても身体も心も疲れた。だけどこれで報われる。まさに喜びの瞬間。
祠の中心にあるいかにもな巨石に手を当てた。手が光った。
『スキル「ネタ」なまはげを手に入れた。』
……で?なまはげ??このスキルで強くなれるの?解説さん。
『ネタスキルは、俗にいうおしゃれスキルの一種です。能力値はご察しください。』
こんなに大変な思いでダンジョンを突破したのに……。
ネタスキルってどういうこと?リタに困惑と軽い怒りをぶつけてみる。
「このスキルで見た目で怒りを表現できます、ご主人様。ちなみにこのスキルは赤鬼と青鬼にチェンジする事が出来ますよ」
「ナ ク コ ハ ボ ク ダ ァ ー ! ! 」