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軽トラを動かそう

 メイドのリタが軽トラを手に入れたと報告してきた。


「燃料どうするの?」


「はい、食用油からガソリンエンジンが動く燃料を作ることは可能です。これは『バイオディーゼル』と呼ばれるもので、植物油や動物脂肪を化学的に処理して作られます」


「バイオディーゼルはディーゼルエンジンで使用されることが一般的ですが、ガソリンエンジンでも特定の条件下で使用することができます」


「バイオディーゼルをガソリンエンジンで使用するには、植物油や動物脂肪をトランスエステル化し、精製してガソリンと混合します。」


「ただし、エンジンの改造や調整が必要なのと、バイオディーゼルの使用はエンジンの寿命や性能に影響を与える可能性があります」


 つうか、この説明だとガソリンそのものが必要なんだけど。異世界にいる時点で詰んでない?


「はい。この世界でガソリンの入手は、ご主人様には不可能に近いです」


「じゃあ、この世界でガソリンの代わりになるものってある?」


「検索します。でました。検索に5件引っ掛かりました」


 僕に見えるように32インチくらいの大きさのホロディスプレイを出す。


  ドラゴンの涙:軽トラの燃料は、ドラゴンの涙を使います。ドラゴンが泣くたびに燃料が補充されるので、ドラゴンを笑わせるためにギャグを披露するのが日課に。


  魔法のポーション:軽トラの燃料は、魔法のポーションを使います。ポーションを作るために、メイドが毎朝魔法の森で珍しいハーブを摘んでくる。


  フェアリーダスト:軽トラの燃料は、フェアリーダストを使います。フェアリーたちが夜中に軽トラの周りでダンスをして、ダストを振りまいてくれる。


  スライムエキス:軽トラの燃料は、スライムエキスを使います。スライムを捕まえてエキスを絞り出すのがメイドの特技。


  エルフの涙:軽トラの燃料は、エルフの涙を使います。エルフが感動する話を聞かせて涙を流してもらうのが日課に。


「ドラゴンの体液が可燃性液体という事実が発覚!炎が吐ける理由はこれだったのかい!しかし、笑わせるって、笑いのツボがまずわからんし、まず話が分かるドラゴンを見つけること自体10歳児には無理だな」


「魔法のポーション。リタが珍しいハーブを見つけてくる?これはできるかどうか……できそうな気がする」


「フェアリーダスト。ラーメン召喚にもあった材料だけど。そもそもフェアリーってこの世界にいるのか?見たことも聞いたこともないぞ」


「スライムエキス。倒すのは簡単だけど。生け捕りからの絞りだし。あのリタが単純作業を進んでやるとは思えん」


「エルフ・・・・・・ 帰っちゃたしなぁ。 何故か終始不機嫌だったし」


『麻雀で何度もハコにされれば、誰でも不機嫌になります。』

 

 わざわざ解説さんありがとうね。


「リタぁ」


「はい」


「魔法のポーションつくれる?」


「私が魔法の森で珍しいハーブを摘んでくるのですか?」


「そんなハーブに心当たりある?」


「該当のハーブは・・・・・・」


 ディスプレイの画面が切り替わり、草らしきものと下に草名が表記されていた。


「『オクタン草』というハーブですね。主に薪の点火剤として使われます」


 さすが異世界。こんな便利な草があるんだ。

 ただリタは不機嫌そうな顔になり。


「朝の新芽でないとオクタン価が低いのでポーションは作れませんし、成分も揮発するので、すぐに制作しないと駄目ですね」


「リタ。作ってくれる?」


「はい、と言いたいのですが、私。朝に弱いので」


 失敗しないので、じゃないんだ。


「方法はありますよ」



 ―― 翌日の朝 ――



 「結局、僕が取りに行くしかないんかい。」


 マジックバック(時間停止機能付き)を持参した僕は、近所の魔法の森で新鮮な『オクタン草』を取る羽目になったのであった。


 数時間後。一通り採り尽くして疲れ果ててしまい、屋敷に帰るために仰向けに倒れこんで休憩中だった僕の後ろから、前世で親の声よりは聞いた車のエンジン音が僕の目の前に迫ってきた。


「リタ。迎えに来てくれたんだな」


 ・・・・・・!!


 ていうか、燃料ないのになぜ動く??


 軽トラがエンジンを響かせながら僕の目の前に到着する。あと10センチ近かったら頭が轢かれていた。


「こわー!!リタ―!!殺す気かぁ!!」


「ご主人様。おはようございます。オクタン草は問題なく採取されましたか?」


「大丈夫! 問題ない! じゃなくて。 問題しかないわ!!」


「何か問題でも?」


「頭轢かれそうになったの謝れよ!」


「ご主人様が眠っていたみたいでしたので、目覚まし時計替わりにはちょうど良いかと。それにこれくらいよけてもらわないと冒険者の素質としては問題です」


「御免なさい。って僕が謝るの? ・・・・・・あと車。燃料が無かったんじゃ?」


「燃料ですか?ホームセンターの通販で4サイクルエンジン用の燃料が一般的なガソリンということが判明しましたので」


「買って、入れたと」


「さすがご主人様。お聡明な考察、感服いたします」


「またこのパターンかー!!!」



 ちなみに採った草はというと・・・・・・


 リタが知り合いの薬師に渡して草刈り機の燃料になったそうです。


「最近いたるところからエンジン音がする理由はそれだったのね」


お読み頂きありがとうございます!


ほんの少しでも、


「面白いかも! 続きが楽しみ!」


「陰ながら応援してるよ!」


「逃げるなよ!」


「あ、こいつエタるわ!」


と思ってくださった方は、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです


やらない後悔よりやって大成功

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