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初めての討伐

 僕は、リタと共に記憶が戻って初めての魔物討伐に挑むことになった。

 討伐内容は、近くの森で暴れている魔物を退治すること。


 僕はガラでもない正義感に燃え、リタは陰ながらサポートをしてくれるとのこと。

 森へ向かう道中、リタ対して疑問を抱く。

 彼女が前世のスマホのAIアシスタントであることを思い出し、なぜ彼女がここにいるのかを尋ねる。


「ご主人様をお守りするために転生しました!」とドヤ顔で答える。

 詳しい理由を知りたいと解説に聞いた。


『別の質問でしたらお答えいたします』


 はぐらかされた。AIアシスタントで政治問題の質問をするような回答しやがって。



 森に到着すると、すぐに一匹の魔物と遭遇する。

 魔物はネコのような姿をしており、鋭い牙と爪を持っている。

 剣を抜き構える。リタはその背後でスカートの下をゴソゴソと何かを探していた。


「スカートまくって何してるの?」


「隠し武器は女のステータスですので」


「太ももに武器付ける人は大泥棒をだます美女か、都会にいる女刑事だけだからね」


 リタは小さい望遠鏡を取り出した。


「これで敵のステータスが見えます。ご活用ください」


 魔物もこちらに気づいたようで、当然かのごとく走って向かってきた。

 今頃こんなの渡されたって使っている暇ないって。


「一匹ですし、大した強さではありませんので防具を付けていれば噛まれても食いちぎられることは無いです」


 冷静に分析してくれたのはうれしいけど。

 魔物に立ち向かうが、単独でも魔物の爪とかみつき攻撃は激しく、苦戦を強いられる。


「ご主人様、頑張ってください!」


 どこから取り出したかわからないお子様ランチ大の小旗を、リタの胸の前で振りながら応援していた。

 

 援護する気ゼロかよ。

 

 僕は魔物の動きを見た。


「子猫だからか直線的な攻撃しかしてこないが、小さいのと思ったより素早いから狙ったら当たらない。」


 そうか。飛び掛かってくる流れに合わせて剣を出せば。

 冒険者らしいことを考えていた刹那。


リタが魔物に導火線に火が付いた花火みたいなものを投げ込んできた。


「追い払うための煙玉か?」


魔物の前で破裂した煙玉で視界が遮られる。

煙が消えたと思いきや、なんと魔物が3匹に増えていた。


「煙玉じゃなくて匂い玉かよ!」


リタのやつ間違えやがった。のか?

三方から猫の魔物に襲い掛かられた。


「へるぷみー!!リターー!!」


振り向くと、リタはあくびをしていた。

リタは複数の魔物達に対してアイテムボックスらしきところから出した連接剣で魔物を薙ぎ払おうとするが、手違いで僕自身もぶっ飛ばされた。


僕は地面に叩きつけられ、一瞬で意識を失った。



――――――――――――――――――――――――――――――



「大丈夫ですか!!ご主人様!!」


 意識が戻った。地面にたたきつけられたときは死を覚悟したよ。


「あー!よかったです。本当に」


 リタの必死の介抱で意識を取り戻した。


 と言っても、そうなったのはリタ、お前のせいだからね。


「魔物倒したから経験値は入らないの?」


「気絶状態のご主人様でしたので……経験値は入りませんでした」 ため息をつくリタ。


 実は僕一瞬死んだんじゃ?と考えるが、リタの気遣いということで突っ込むのはやめた。

 それだっだら僕の討伐前にお手本でもいいからリタに魔物を倒してほしかった。


 リタはスカートの下からあるものを取り出した。


「これを装備していただければ誰でも強くなれる気分になる「伝説の装備」です」


 どう見ても雑貨品のようなアイテムを僕に手渡す。


 受け取ったものを見てみるが「ヒノキの棒」「おなべのフタ」「なべのかぶと」「クマよけスプレー」だった。


「わーい!伝説の勇者様だー!! っておい!……確かに子供たちには伝説の装備だけどさぁ」


 苦笑いした。


 どう見てもガラクタである「伝説の武器」だけをひっこめてもらった。


「仕方ないですね……どこぞの勇者様が装備していたものを過去に譲り受けましたので、装備できるのでしたら……」


 と言いながら渋々伝説の装備を今度は虚空から出してきた。


「カッポンカッポン?ぬのきれ?盾?女性下着?」


「ラバーカップ・ミスユニバース日本代表の服・ハラ減らずの盾・スケスケショーツでございます」


「そんなの違う意味で勇者になるわ!しかもそのパンツ被るんだよね!アタマに!」


 すぐに変態装備はひっこめてもらった。……腹減らずの盾だけはちょっと欲しいかな。


 休憩が終わり、今度はリタのサポートを受けながら魔物に立ち向かう。


 森の中を歩いていると一匹の毛並みがいいオオカミが現れた。


「お!今度のは強そう。まさに一匹オオカミ」


 緊張半面うれしさ半面の状況。オオカミはうなずいていた。誰に?


「よし!」


 仲間を呼ばれる前に先手必勝!一撃で倒すつもりでオオカミに向かった。


 しかし素早く僕の攻撃はかわされ、背後から爪と牙が僕に向かってきた。

 剣先を口に向けて応戦するが剣にかみつかれ前足の牙で上半身に向かって攻撃してきた。

 痛みが走り、息が詰まる。しかし、ここで倒れるわけにはいかない。


「リタ、何とかして!」


 僕は叫び、必死にオオカミの牙を避けつつ噛まれた剣から手を放し、ポケットから護身用のクマよけスプレーを噴射した。


「これでもくらえ!!」


 クマよけスプレーの効果でオオカミは一瞬ひるんだ。

 目をやられたオオカミは匂いを頼りに僕にとびかかるが、リタから放たれたファイアーボールが胴体に命中。

 なんとかオオカミ型の魔物を倒した。


 頭の中にファンファーレが鳴った。レベルが上がったのかな?


『レベルが1から3に上がりました』


 生まれて初めてのレベルアップ。異世界はこうでなくては。


「ご主人様、さすがです!」


 リタは喜んでいた。


 爪で傷ついた身体をリタのエリアヒールで回復してもらった。何故エリアヒール?

 傷がみるみるうちに回復して安堵したが、先ほど倒した魔物まで回復していた。

 こういうのって魔物は回復しないのがお約束なんじゃ。

 

 しばらくしてきれいに回復した魔物は起き上がってきた。


「仲間になるの?初討伐で?」


 驚きとうれしさが半々だ。


 だが、様子がおかしい。

 リタの前で半立ちになったオオカミはお駄賃欲しそうな顔をして舌を出していた。

 オオカミはリタからビーフジャーキーと液体状のおやつをもらい、森の中に消えていった。


「これってどういう状況?」


 僕じゃなくてなんでリタなの?


「ゴンタロウには頑張っていただいたので、多めにご褒美をあげときました」


「え?」


 じゃあ僕はリタのペットと戦っていたってこと?


「なんだよそれ!ならば別に家の庭でやればいいじゃないかよ」


「あの子は人混みが嫌いなので」


「わがままな魔物だな。おい」


 魔物を倒した達成感よりも魔物から接待を受けている気分になった。



お読み頂きありがとうございます!


ほんの少しでも、


「面白いかも! 続きが楽しみ!」


「陰ながら応援してるよ!」


「逃げるなよ!」


「あ、こいつエタるわ!」


と思ってくださった方は、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです


やらない後悔よりやって大成功

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