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アレクは魔法が使えない

 前回の名古屋打ちで魔法が使えなくなっている事が分かった。

 あの後屋敷に帰って転職前に使っていた風魔法をもう一度使ってみようとしたが、どうも発動しない。

 僕の部屋の横でリタが愛用の両手剣を手入れしているところで、僕の魔法の事を伝えた。


「ご主人様が訓練の時に魔法が使えなかったのでおかしいとは思っていましたが・・・・・・」


 思ってたんかい。


「一応とある者に発注して全属性の魔法を使えるようにしたはずなのですが……」

 とある者って誰?


 リタは立ち上がり


「創造神に謝罪させ、ご主人様の前で土下座させます」


 とか言い出しやがった。


「待て待てっ! よりによって創造神様にカスハラするのはヤバいだろ」


どこかに行こうとしたリタを僕は全力で止めた。


 ――― 次の日 ―――


 リタと一緒に馬車で教会に向かった。

 リタがシスターに喜捨をして。教会の小部屋に案内された。


「大聖堂は先客がいましたのでこちらでお願いいたします」


 アポ取ってなかったから、まあしょうがないよね。

 部屋の祭壇には神様の像が数体あったが。象の顔をした像もあった。


「これは駄洒落か?」


「ご主人様。この像はガネーシャ神だと思われます。ギャグで作った訳ではないですよ」


「インドの神様ねぇ」


 インドの転生者もいたのかな?


 イケメン男性の姿をした神様の像に跪づき両手を組んでから、目を閉じて祈りを捧げてみた。

 数秒後、全身に違和感を感じ、転移魔法で飛ばされるような感覚を覚えた。


 目を開けると白い何もない空間にカウンターテーブルと天使っぽい格好の女性がいた。

 後ろを振り向くとリタも来ていた。


「ここは神界のカスタマーセンターですね」


「カスタマーセンター?」


「何か神的な原因で不具合が起こった人が祈るとここに飛ばされる。みたいですね」


 うん!そんな現象初めて聞いた。昨日のリタの口調だと、直接創造神をボコるみたいな口調だったし。


「お客様ですね。今日はどのような件でしょうか」


 僕は、お姉さんに


「今まで使えた魔法が急に使えなくなったんですが」


「少々お待ちくださいませっ!」

 お姉さんはどこからともなく出てきた端末を広げ、キーボードで何か打ち込んでいた。

 スーパーのレジについているスキャンみたいなものを僕に向け、ピッピッ!と機械音を鳴らした後も端末とお姉さんのにらめっこが続いた。


「原因なんですが。お客様転職の神殿で戦士になられていますね」


「え?あっああー そういえばそんなことしていたっけ?そういえば」


「戦士は元から魔法が使えない設定になっていますから魔法が使えないのはそれですね」


 忘れていたあ。ゲームでも戦士は魔法使えないのは常識なのに。バカすぐる。


「でもおかしいですよね。このような原因だけだと、一般の人間がここに来ることはできないのですが……」


 また、端末を叩くお姉さん。


「すみません私の権限で、お客様の職業をニートに戻してもよろしいでしょうか」


 ここでも職に就かない事をニートと呼ぶのね。ちなみに修行中だから厳密にはニートじゃないよ。


 お姉さんはPOSスキャナーを僕のおでこに当て、「ピッ」とした。


「これでニートになりましたので、再度確認させていただきます」


 また、お姉さんは端末とにらめっこし始めた。


「にらめっこ好きだね、このお姉さん」


リタに話しかけてみたが、返答はなかった。


「わかりましたので、口頭でお伝えいたします。魔術を構築するブートローダーが転職の影響で破損してしまったみたいですね」


判明した。転職すると魔法が壊れるなんて話今まで聞いたこと無いですけど。


「これは転職したら壊れるではなくてですね、元々一部破損していた状態のところに無理やり転職の神殿 で書き換えたことにより全損してしまったようです」


 そんなこと起きるんだ。


「このような状態をここで直すともできますが、お客様が神格位持ちでしたら簡単な手続きで出来ますが」

「一般の人間ですと、地上と物との干渉という扱いになりますので……」


「転生小説あるあるの、神様不干渉問題か」


「お役に立てず申し訳ございません」


「リタ。どうする?」


「無理やりここでやってもらって、ここの世界の神になりますか?」


「ノート使って殺されそううな展開になりそうだからやめときます」


 リタが小首をかしげる。何かを考えているみたいだ。


「ご主人様。調べてみたら転職の神殿でブートローダーをリペアできる方がいらっしゃるようです」


「本当!? じゃあ魔法は使えるようになるの?」



 教会から出て、リタのポータルを使い転職の神殿に向かった。


 転職の神殿、通称ハローワークに到着すると、門のそばのベンチで体育座りして落ち込んでいる少女に出会った。


「どうしたの?」


 と話しかけると、彼女は顔を上げて


「後で返すからお金を貸して」


いきなり初対面の少年にお金貸してって。何なの?


「何があったの?」


 彼女はため息をついて


「いきなりでごめんなさい。私、数か月前から魔法が急に使えなくなっちゃって……、それでうわさで聞いた転職の神殿に行けば直して貰えると聞いたんで来てみたはいいんだけど、旅の途中でお金を盗まれてしまって」


「だからっていきなり出会ってお金を貸すのは……」


 ちなみに修復ツールっていくらするの?


「銀貨10枚ですね」


「思ってたほどより安いな。僕の想像だと金貨100枚くらいだと思ってた」


「あなた魔法使い?」リタが訪ねる。


「え?はっ、はい。そうですけど」


 リタがスカートの下をゴソゴソし始めた。そして何かを取り出した。取り出したものをリタは魔法使いの彼女に渡した。


「これを両手に持って、使うをイメージしながらあなたの魔力をこの石に入れてみなさい」


「?? よくわかりませんけど。やってみます」


 彼女はリタが渡した石に魔力を込めてみた。石は魔力に反応して光を放ちその光が彼女の全身を覆っていく。


 しばらくして彼女に覆っていた光ははじけるように霧散していった。


「リタ?彼女の光。あれなに?」


「私がたまたまダンジョンで拾った修復石を使ってみました」


『修復石は呪いやスキル等で魔法が封印等のデバフが掛かった時に解除されるアイテムです』


解説助かる。ん?ちょっと待てよ。それって僕の魔法障害もその石で直ったんじゃ!


「ちょっと!僕のメイドなのに主人を先に直さないってどういうことだよ!」


「これは魔法使いや賢者用のアイテムですので、ご主人様には使えませんよ」


「魔法使い用?なにそれ?」


 目を開けた彼女は息を大きく吐いた。


「なんかすっきりした気分になりました」


今まで暗かった顔が、笑顔になっていた。


「では、貴方。そこにある木に目がけて魔法を放ってみなさい」


 リタは30m先の一本の木を差し示した。


「は、はい。わかりました」


「炎よ、我が手に集い、全てを焼き尽くせ!ファイア・ストーム!」


 おお、この世界に来て呪文の詠唱初めて聞いた。こうじゃないと異世界は。


 杖の先に魔法陣が展開され、勢いよく火の渦が出来、離れていた木を燃やし尽くした。


 彼女は思った以上の威力に驚いた表情をしていた。


「すごい!初めて見た。それしか感想が出ないよ」


「いや……私もむしろ驚いているんです」


「あなたの場合は元からの呪いと討伐中に魔物に食らったスキルで魔道回路が塞がれていたのが原因でしょう」


「元からの呪い……」


「何か心当たりでも?」


「いえ!なんでもないです。あのお名前は?」


 そういえば名乗ってなかったな。


「ぼくはアレク。こっちはメイドのリタ」


「え!アレク様?」


「ぼくのこと知ってるの?」


「それは辺境の貴族様ですから知っていて当然じゃないですか。それに一度だけ私の村に来ていただいたこともあったんですよ」


 僕って有名人だったのね。でも村のことは覚えてないけど。


「でも……その村は5年前になくなっちゃいましたけど」


 彼女は涙をためて下を向いていた。


「ごめん!!嫌なこと思い出させちゃって。それに僕が貴族だからって固い言葉はなしね、アレクって呼んで」


「は、はい。わたしは『カーミン』です。よろしくお願いします。アレク様」


 そこは様なのね。


お読み頂きありがとうございます!


ほんの少しでも、


「面白いかも! 続きが楽しみ!」


「陰ながら応援してるよ!」


「逃げるなよ!」


「あ、こいつエタるわ!」


と思ってくださった方は、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです


やらない後悔よりやって大成功

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