異世界名古屋打ち
初めての投稿です。
とりあえず完成した分は投稿できました。
次回は気が向いたら投稿します。
「ご主人様だとご存じかもしれませんが」
「いきなり何だよ」
「城の防衛戦で敵が横一列で攻め込んできたときの対処法はご存じでしょうか」
「は?」
「ご存じですよね」
「まず何のお話か分からないんだけど」
「先日、演習場に新たな訓練施設が完成したので、ご主人様にぜひ体験していただきたいので」
「それで僕の部屋に来たの?」
「では、早速行きましょうか」
「もう出かけるの?」
「ちゃっちゃと着替えてください」
「おい焦られるなって」
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演習場にやってきた。
「では、説明させていただきます」
「いきなり城壁に登らされたよ」
「城壁には可動砲台があります。それを使って下にいる敵を一匹ずつ殲滅してください」
「はい」
「数発撃つとたまにUFOが飛来しますので、余裕があれば撃ち落としてください」
「え?UFO?ワイバーンじゃなくて?」
「UFOです」
「あー。わかってきた。これスペースインベーダーだ。リアルの」
「ですからさっきからそうおっしゃっているはずですが」
「やっと把握した。で、それをやってみろと」
「おっしゃる通りでございます」
「インベーダーをここで遊べるとは……で? 敵はどこから出てくるの?倒しても死体があったら詰まったりしない?」
「訓練用ですので。倒した敵はすぐに消えます」
「すごい。優秀じゃん。じゃあ僕はあそこの砲台に乗り込めばいいんだね」
「はい」
「砲台にはレバーと武器の発射ボタン。ところで敵に当てる弾は何が出るの?」
「魔力がある人は乗員の適正に合わせた魔法が出てきますが。適性のない人は矢が出ます。ただし矢の場合は発射回数に制限がありますが」
「じゃあ、魔法使いの人が乗れば優位にゲームが進められるんだ」
「上限値はMP依存になります」
「なるほど。面白いもの開発したな。本当に」
「では、敵側の準備をしてもよろしいでしょうか」
「ああ。お願い」
リタは地面に大きな魔法陣をを展開させ敵を召喚した。
デ・デ・デ・デ・デ・デ・デ・デ
「すごい。BGM付か。細かい所にもこだわりがあっていいよ。素晴らしい」
レバーを右に倒す。倒した瞬間に砲台がリニア駆動のように滑らかに移動した。
「うおー!おもしれ―!」
レバーを左右に動かして砲台の滑らかな動きを堪能していた。
「ご主人様。遊んでないで攻撃してみてください」
この訓練自体遊びみたいなものなんだけど。そこはツッコまないとするか。
「これが発射ボタンか」
ぼち
あれ?
ぽち、ポチ。
でないよ?
「リタぁ。弾が出ないよ」
「え」
「だから、弾が出ないんだって」
ドカーン!
砲台が激しく揺れた。
僕はたまらず、横にあったリセットボタンを押した。
「押しても弾が出ないんですけど」
リタに文句を言う。
「ご主人様。魔法使えますか?」
「え?そこから?」
「魔法が使えないと弾なんて出ませんよ」
「魔道具か何かで発生させるんじゃないの?これ?」
「魔法が使えない人には矢をセットしないと使えないと説明しましたが」
「じゃあ、矢頂戴よ」
「では下の売店で買ってきてください」
「自腹で?」
「はい」
「いくら?」
「10本で銀貨3枚です」
「インベーダーが55匹いるから……うち漏らしなしで18枚。高いなぁ」
「時間が押していますので、ちゃっちゃと買ってきてくださいませ」
「結局こういう落ちかよ」
砦の下にある売店で矢を100本買ってきた。売店の距離が遠いのなんのって。
「あのさあ。リタ。お手本やって」
「わたくしがですか?」
「テストプレイとかしているんでしょ。さすがにいきなり僕で実験という事ではないよね」
「私はあまりうまくないので、ご主人様には参考にならないと思いますが」
「別にうまいへたは気にしてないからやってみてよ」
「そうですか。僭越ながら、やらせていただきます」
リタは発射台に乗り込んだ。地面に魔法陣が現れ直後敵が現れた。
早速真ん中に移動して、眩しい光が敵目がけて飛んで行った。
「眩し!なんだアレぇ」
ビームだ。敵さん霧散したんですけど。しかも正確に2列づつ打ち抜いてるんですけど。
あっという間に殲滅完了。
「あまり褒められたプレイではなかったんですが。参考になりましたでしょうか」
「参考にならねぇよ。ビーム砲台とか、一発で2列分打ち抜いてたし」
なんだよビーム砲台って。チート以外の何物でもないわ。どんだけ魔力とMPあるんだよこいつは。
「わたしがプレイするとUFOが出てこないんですよね」
「UFO怖気づいて出てこないんじゃないの?あの威力じゃ」
弾数が少なければ出ないよ、UFOは。
「では、ご主人様の番ですのでどうぞ」
ハンカチで椅子とレバー拭いていた。僕は別に潔癖症ではないんだけどなぁ。
「ところで買ってきた矢はどこにセットすればいいの?」
「矢の投入口がありますのでそこに入れてください。自動換装されます」
一束ずつ入れていった。入れたと思ったら消えた。マジックバック方式か?
とりあえず10束全部入れた。
「矢、全部入れたよ。どうすればいい?」
「スタートボタンを押してください」
リセットボタンの上にスタートボタンがあったよ。
押してみたら、ビービーと音と赤いランプが点滅していた。
「警告ランプが付いて動かないんだけど」
「多分弾つまりです。まとめた紐は切って投入しないと弾づまりを起こします」
そんなの知らないよ。先に言ってくれよ。弾を機械から取り出して紐を切って再度投入。
「ここら辺は融通を利かせてほしかったなぁ」
エラーランプが消えていた。
「よし!ポチッとな!」
ゲームが始まった。
「ではここで昔駄菓子屋でやりこんだ名古屋打ちを披露してやる」
敵の3列目に移動して奥の敵まで打ち込んでいく。
4列目も見事に殲滅完了。
さあて、敵が最下段まで下りてくるまでに適当に倒すか。
フヨンフヨンフヨン。
お、出てきたUFO。タイミングを合わせてって、そういえばどこにいるのUFO?
「ご主人様!上です」
「上?」
ドカーン!
今、UFOから攻撃が来たんですけど。そんな設定前世のゲームではなかったんですが。
「UFOへの攻撃は砲台を上に向けて打ってください」
「最初に教えてほしかったわ。その情報」
どおりで横移動しかできないはずのレバーに上下があるはずだ。UFOの為だったのね。
とりあえず、敵の攻撃をかわしながら敵の接近を待つ。
敵が最接近するとなぜか攻撃してこない習性を利用したのが名古屋打ち。ただし打ち漏らしが許されないのがこの技の醍醐味。
プチュン!プチュン!プチュン!プチュン!プチュン!
あーこれ気持ちいわぁ。これだよこれ。
そして最後の列は左から倒す。てか敵の動き速すぎない?
あ!外した!まずい!左に移動してとどめだ。
「って!弾が出ない!あー!!」
ドカーン!
最後の一匹で矢切れとかどんなオチだよこれ。
「あともう少しでクリアでしたのに。惜しかったですね」
「はっきり言う。矢は効率が悪い事だけは分かった」
「どうします?もう一回やりますか?」
「いい時間だし。疲れたからやめとくよ」
「そうですか……。初回キャンペーンでレーザー10回無料券があるんですが。しょうがないですね。券は誰かにあげますか」
「なぜ今になってそれを出すんだよ」
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