異世界での新たな出会い
「え、ここは・・・・・・どこだ?」
目を開けると見知らぬ天井が広がっていた。私は目をこすり、あたりを見回す。
「これは・・・・・・異世界?」
「アレク様!」
16歳くらいの茶髪でポニーテールのメイドが視界に飛び込んできた。
彼女は驚いて、大慌てで部屋を飛び出していった。
「うん、貴族の家に生まれ変わったみたいだな」
と僕は手鏡を拾い上げ、自分の姿を見つめた。
「10歳くらいか...まあ、いつもボクが読んでいる異世界転生展開だな」と満足そうに微笑んだ。
なんだこれ、積み木やジャングルジムはわかるけど、プ〇レールって・・・・・・
しかもやけに完成度が高い。
まるで前世のイベントレベルじゃないか。
頭の中から声が響く。
『福井の新幹線開通イベントを再現しました』
突っ込むのはやめとこう。……そうだ、僕のステータスはどうなってる?
アレク・プロスペリテ 10歳 プロスペリテ辺境伯の4男 第三夫人の子
HPとかの細かい数字は省略で……持っているスキルは?
『ピンクな羽根スライム』 一定レベル以下のパーティメンバー全員の経験値と熟練度を3倍(+200%)にします。
『保険証』 パーティーメンバーの買い物や税金などがすべて7割引き(3割負担)になります。月々の保険料は神が負担しています。
「ピンクのって……どう見ても国民的RPGのアイテムだよな。強くなったらどうなるんだろう、このスキル。消えるのか?」
「保険証。前世では保険料高かったからなぁ。神負担ってのと、医療費や税金すら安くなるってある意味神スキルだろ、これ。」
さらに調べてみると、ツッコミと解説という意味不明なスキルがあった。
ツッコミは相手のボケに素早く突っ込めるスキル(うまいヘタかは別問題)で、解説はアニメで有名なナレーターの声で僕が疑問に思ったことを解説してくれるスキル。
( いるのか、いらないのか、わからないスキルだな、これ )
解説はカスタマイズ可能で、レベルが上がるたびに解説者が増えていき、さらに、解説のレベルが一定数上がると実況が追加される。
「いらねぇーー!!」
と思わず部屋で絶叫した。
「お父様、お母様!」
部屋に駆け足でやってきた両親が、僕の元気な姿に大喜びしている。
「夕食は快気祝いで豪勢にしよう!」と父が言い出し、
「この子の大好物にしましょう」と母が提案する。
「夕食まで安静にしていてくださいませ。お坊ちゃま」
メイドはそう言い残して部屋を去っていった。
「んー、完全に目が覚めちゃったな。退屈だし、部屋を出てみるか」
部屋を出て廊下に出ると、広々としていて貴族の屋敷らしい雰囲気だ。
しばらく歩いていると、遠くからじゃらじゃらガチャガチャと聞き覚えのある音が響いてくる。
「この音、なんだ?」
音のする部屋をのぞいてみると、小さい四角いテーブルを囲んで 女エルフ、おっさんドワーフ、こわもての人間のおっさんが苦虫をかんだ顔をしている。
赤髪のウェーブがかった大柄の人間の女性がドヤ顔で扇子を仰いでいる。
このカオスな状況に、頭の中から解説が入る。
『国士無双13面待ちです』
「このゲームを持ち込んだ奴は誰だー!!」
思わず叫んでしまった。
『女将は呼ばなくていいのですか?』と解説が入る。
「そこはどうでもいいわ!」
突然、赤髪の女性が立ち上がり
「おはようございます、ご主人様!」
と、扇子を放り投げて、アレクの目の前1メートル手前で元気よく挨拶する。
「昼過ぎだけど、業界人か?ていうか今20mくらい一瞬で飛んできたよね?」
彼女はすました顔で
「縮地スキルです」
と言い放った。
「だと思ったよ」
彼女の声に違和感があった。人間味があるようなないような…前世で親より聞いたことのある声?
思い出した!この声、前世で使っていたAIアシスタントの声だ。でもなんで?
『彼女は前世があなたのスマホのAIアシスタントという設定です』
唐突な解説が入る。
設定ってどういうこと?
「ご主人様?聞いてますか?」
考え事をしていたので、彼女の話を聞いていなかった。
「リタ様。領主様がお呼びです」
見知らぬメイドが廊下から声をかける。
「わかりました。ご主人様も向かいましょう」
と言ったその瞬間、僕の左腕をつかんで引きずられるように父の部屋へ。
さっきの麻雀に負けた3人はリタの友達の冒険者で、神級魔獣討伐のために辺境に来たらしいと後で知った。
父の執務室の前。リタが異世界小説定番の挨拶で入室。
リタと父の会話で、以前僕が魔物の戦闘中に手違いで俺がリタのバックドロップを受けてしまい重傷を負わせてしまった事で、僕が目覚めるまで謹慎をしていたそうだ。
怪我自体は彼女のヒールですぐに直したが、俺が復活したことで謹慎が解けたので、これからはまた僕のお世話係になるということだった。
ちなみに、メイドの格好はリタの趣味で、実際の身分は辺境領の客将(元冒険者)という扱いだという。
謹慎中に仲間相手に麻雀で荒稼ぎ。それはいいのか?
夕食の時間がやってきた。
食卓に並べられた料理を見て驚く。
テーブルの前にはフタをした四角い木箱が。
フタを開けると、「うなぎ!!」と思わず叫ぶ。
隣にはごはんとカレー、さらに銀色の丸い蓋を開けると中からはデミグラスチーズインハンバーグが現れる。
どうやって作ったんだ? 材料や調味料は? 確かに子供が好きな料理だけど……
こういうのって、転生主人公が前世の料理を作って家族を驚かせるのが定番じゃないのかよ!!
逆に僕が驚いてどうする!?
「デザートは、プリンやショートケーキまで……」
おいしくいただきましたよ。納得はいかないけど。
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