10話
説明を聞く時にも使っていたエントランス――。
アナウンスの指示に従い戻ってくると、そこには既に四つの影が待ち構えていた。
「遅いぞ……。ったく、最近のガキは」
1人目は宮野。
彼に関しては特に言うことはない。
生きていて当然。
だからここにいて当然だ。
強いて言うならここでも相変わらず小言を呟いているな、ぐらいだ。
「どこ行ってたんだよ、カイトくん。トイレから戻ったらいなくなってて心配したんだぞ!」
2人目は道元。
彼に関しては驚いた。
トイレ越しに聞こえてきた絶叫――あれは明らかに襲われた人間の声だった。
正直、あそこで死んだだろうと思っていた。
最初目が合った時、思わず「生きてたのかよ」と呟いてしまったほどだ。
「この世界……この星……この宇宙……終焉を……滅亡を……崩壊……」
3人目は中津。
相変わらず訳のわからない言葉を並べている。
この男に関しては、一言で表すことはできない。
変人、精神異常者、DQN、気違い。
すぐ思いつくものでもこれほど出てきて、そのどれもが遠からずといった評価だ。
今考えると、こんな人間に武器を渡したらよからぬことに使うかもしれないということは簡単に想像できた。
とにかく、この男を知る上での近道は「狂った人間」という認識を持つことだ。
「……中津」
横に視線を向けると、ここまで一緒にやってきたユウトとアイリが立っている。
二人はそれぞれ中津の方を見ていて、アイリは怯えたような力のない目を、ユウトは獲物を狙うような鋭い目をしている。
この光景を見たら、カイトが言っていることも信憑性が増すだろう。
「――皆様、ご静粛に」
中津の方に注目していると、聞き覚えのある声が響く。
カウンターの奥。
覗いてみて、カイトは思わず息を呑む。
ここに来る時に見えた人影の最後の一人。
運営の男だ。
この男も中津ほどではないが、一言で表すことは難しい。
が、強いていうなら元凶だ。
この男がカイトたちをステージに案内し、そしてゾンビパニックという名の地獄を見せた。
「全ての生存者が集まったので、総評を始めたいと思います。まずは皆様お疲れ様でした。ここにいる6名は晴れてテストプレイクリアということになります」
男はぐるっと見渡した後、また抑揚のない声で語りかける。
全てのゾンビを撃破したということはつまりこのゲームの終わったということ。
ここに来る前からわかっていたことだが、運営の男の口からその事実を伝えられた時、僅かに動揺が広がった。
「じゃあ他の4人は……」
「くそっ、オレが近くにいれば」
どうやらゲームをクリアできなかった他の4人に対して反応したようだ。
確かに4人という数字は小さいようで大きい。
さらに言えば四人のうちの三人の死を間近で見たカイトとは違って、他の人間はゼロ、あるいは1人ぐらいしか見ていない。
結果を聞いて衝撃を受けるのも当然。
むしろおかしいのはその事実を淡々と話す男の方だ。
「成績はご覧の通りです。1位は宮野様。通常個体38、特殊個体1の計39体の討伐を確認しました」
カウンターに置かれたモニターにそれぞれの参加者の成績が表示される。
1位 宮野 討伐数:38+1 (生存)
2位 蓮見 討伐数:16 (死亡)
3位 吉木 討伐数:12 (生存)
4位 縦島 討伐数:10 (死亡)
5位 道元 討伐数:6 (生存)
6位 伊崎 討伐数:5 (生存)
7位 坂井 討伐数:4 (生存)
8位 中津 討伐数:2 (生存)
……
圧倒的な宮野の数字。散々な自分の数字。
そしてそれ以上に現実を突きつけてくる生存と死亡という文字。
「もう皆様気づかれているとは思いますが、ここにいない4名の方はゲームオーバー。つまりは死亡ということになります」
「……本当に、死んだのか」
「ここはコンピューターゲームの世界ではないので、そうなりますね。もう二度と現世を見ることは叶いません」
当然のことのように答える運営の男。
ユウトは納得がいかないように奥歯を噛み締め、また男を睨みつける。
「それで、どうなったんだよ。俺たちの命を弄んだ結果、お前らは何か得られたのか」
「核心に迫ることは言えませんが、概ね最初に言った通りです。本番のためのテスト。それ自体については変わりありません」
「だからそれに何の意味があるんだよ。本番でも本物のゾンビと参加者を戦わせるってか?」
「はい、もちろんです」
「は……? いや、もちろんって……」
サラッと口にしたが、とんでもない事実だ。
多数の死傷者を出したリアルゾンビサバイバルゲーム――それを著名な芸能人も参加する本戦で再現しようというのだ。
しかもテストプレイと比べて本番は規模も質も違う。
そんな中で行われるデスゲームが今回とは比にならないほどの悲惨さになることは容易く想像できる。
もちろんテストプレイがこの状況なので、本番でもとは考えていたが、改めて想像してみるとまるで宇宙人に会った後に宇宙船へと案内されるような気分だ。
「狂ってる……。何もかも。このゲーム自体も、それを最初に説明せず、隠していたことも」
「これもテストの一環ということです。この回の前の最初のテストプレイでは、事前に本物のゾンビが出てくることを告げました。そしたらどうなったと思いますか」
運営の男は誰も答えないのを確認してから、再び口を開ける。
「混乱したんですよ。アホらしくなって帰ろうとした人もいました。本当に苦労しましたよ。時間内に全員をステージに入れさせるのは。これでもう分かりましたよね?」
「…………」
「その時の反省を踏まえた結果、今回からは事前に告知することなく開始するというルールに変わったのです」
苦労したと言っているのに、全く苦労が感じられない無機質な声。
最初はこれが真面目な印象を持たせたが、今はただただ不気味に感じる。
どんどんカイトの理解を遠ざけていく。
今のだって別に質問の答えがわからなかったから黙っていたのではない。
当たり前すぎて、答える気にもなれなかったのだ。
「ちなみにペアという制度は無告知ルールによる“極端に生存率が下がる可能性”を考慮して作られた今回からのルールです。そちらの方は思った以上に効果があったみたいですが、この組は優秀な人間が多いみたいなので、確信を得るにはもう少しサンプルが必要ですね」
「……もういい」
「それにしても、最後は痺れましたね。まさか“武器持ち”を撃破するとは。これも想定外でした。本番では武器持ちを倒すことで得られるアイテムもありますが、今回は倒せないだろうということで用意していませんでしたので」
ユウトの声を無視して、運営の男が視線を向けたのは宮野のいる方だ。
「特に宮野様は流石はプロという腕前でしたね」
「……フン、当たり前だろ。俺だぞ」
「素晴らしい。恐らくこの中で自分たちの置かれている状況をちゃんと理解しているのは、あなただけでしょうね」
この企画を立ち上げた会社、そしてその会社の関係者である目の前の男。
彼は最初こそカイトたちを労うような態度を見せたが、実態はその逆だった。
やれルールだの、やれアイテムだの、このデスゲームに関するどうでもいい内情をコンピュータゲーム感覚でペラペラと喋って、肝心の死んでいった者たちに対する謝罪の言葉は一切出さない。
カイトたちが体験したのは地獄だ。
今思い出しただけでも心臓が何重にも締め上げらたように痛み出す、そんな悪夢のような現実だ。
それをわかっているにも関わらず、罪悪感の欠片も見せないということはつまり、彼やその会社にとってカイトたちは人間ではなく必要経費だということだ。
企画を成功させるためなら命を弄ぶことも厭わない。
そんな都合のいい道具なのだ。
「…………」
今までの話を聞いてよくわかった。
彼はちゃんと異常者だった――。
「もういいって言ってるだろ」
静かな怒りを燃やすようにゆっくりと口火を切る。
ユウトだ。
よく見ると、右手にジェクターが握られている。
「もういい。たくさんだ。本番? そんなものは来ない。ここから出たらすぐに警察に通報させてもらう。お前らはそれで終わり。今はそれよりも……」
そう言いながら、握っていたジェクターを中津に向ける。
「よくものうのうとしてられるな、中津。お前は自分が何をしたのかわかっていないのか」
銃口を向けられた中津はいつも通り無表情で、ただ前を見据えている。
まるで本当に何をしたのかわかっていないように。
それを見たユウトは再度、語りかけた。
「お前のせいで縦島のおっさんは死んだんだぞ」
ユウトの言った通り縦島は死んだ――。
即死だった。
カイトたちが異変に気づく頃にはもう呼吸すらしていなかった。
しかもその間接的な要因となったのは中津だ。
中津が後ろから撃ったせいで、致命的な隙をつくってしまった。
結果、縦島は助かるはずだった命を落とし、ゲームオーバーとなった。
目の前の光景とユウトの言動。
これを目の当たりにして「意外」という言葉がカイトから出てこなかったのはそのためだ。
そこでカイトは少し身構える。
これは脅しではない。
中津の態度次第では本気でやるつもりだ。
もちろんユウトの言っていることは間違っていないし、気持ちもわかる。
カイトだって内心では今すぐにでも殴りかかりにいきたかった。
だがどんな理由があっても、ここで暴れ出すのは得策とは言えない。
地獄から抜け出せたとはいえ、ここはまだその入り口。
何が起こってもおかしくない。
「おい、何とか言えよ」
「ユウト、一旦落ち着いて……」
「落ち着いてられるかよ!」
アイリの手を振り払ったユウト。
そこにはもはや余裕のある青年の姿はない。
濁った目で、ただ怨敵だけを見据えている。
「お前も知ってるだろ。あいつがどれだけ凶悪なやつなのかを」
「だからこそだよ。この人には絶対にもう関わらない方がいい……」
「そんなことは俺もわかってる。でも今しかないんだ。今ここでけりをつけないと俺は……」
「アイリの言う通りだ。まずは落ち着け」
流石にそこで口を挟む。
「何だよ。お前も俺を止めるのか、坂井」
「当たり前だ。こんなところで暴れたら周りに危害が及ぶだろ。せっかく地獄から抜け出せたってのに、また地獄を始めようとすんじゃねェよ」
別に中津がどうなろうと構わない。
だがその火の粉がカイトやアイリに降りかかる可能性があるとなれば話は別だ。
「……一撃で終わらせればいいだろ」
「そんな腕があったらな。向こうだって的を絞らせないように立ち回る。何なら反撃してくるかもしれない。そんな中で思い描く通りできると本気で思うのか? こっからは警察に任せればいい。俺たちの役割は終わった。お前が言ってたことだろ」
「っ……」
図星を突かれて言葉を詰まらせるユウト。
メリット、デメリットの難しい話は置いておいて、あらゆる危険を想定したら結局行き着くのはそこだ。
警察には最初は信じてもらえないかもしれないが、ここに連れてくれば嫌でも気づくだろう。
逆に良くないのは、ここから無事に生きて出られないことだ。
今日のことを覚えているのも、伝えられるのも生き残った者のみ。
いわばこれは生者が死者から託された使命なのだ。
「坂井カイトの言う通りだ」
ユウトを説得していると、横から思わぬ追い風が吹く。
「吉木ユウト、俺は坂井カイトとは違ってお前がもっと頭のいい奴だと思ってたよ」
「……何の用だよ、宮野。お前には関係ないだろ」
「黙れ。こっちは一般枠の説明を待ってるんだ。つまり俺はお前に邪魔をされてるんだ」
カイトに同意しながら、全くカイトとは異なる意見を述べた宮野。
追い風がその一瞬で台風に変わった。
「それに関係ないのはお前も同じだろ、吉木ユウト。お前はあいつの何だ? 家族か? 友達か?」
「……さあ。だが少なくともお前よりは絆があった」
「つまりは赤の他人ってことだな。そんな薄い関係性のくせに何がけりをつけるだよ。アホらしい。他にも死んだやつは大勢いるってのに。なあ、お前みたい奴のことを世間では何ていうか知ってるか?」
唐突な質問。だが回答する間も無く、再び宮野が口を開ける。
「偽善者だよ。正義を語る割には、行動の全てが自分のために出来ている。感情的になって、無意識に人を選んで。まさに今のお前じゃないか。いいか、もしお前が本当に正義を振り翳したいなら、お前が何よりも先に銃口を向けなければならなかった相手はあの狂人じゃなくて、カウンターの後ろにいる運営の男だったんだ」
「…………」
「結局お前は自分のためなんだよ。弱かった自分を、守れなかった自分を否定したいだけ。他人のせいにしたいだけ。そんな奴の正義は誰の心にも響かねェんだよ。わかったら大人しくしとけ。後ろの女にでも慰めてもらってろ。なあ、坂井カイト」
その言葉に、カイトは肯定も否定もせず目を細める。
確かに宮野の言っていることには一部、正論も含まれていたかもしれない。
死んだ人間が大勢いる中で、縦島だけを特別扱いすることはその人間のエゴだ。
だがユウトに今必要なのはぐうの音もでないよう正しい論でも、強い言葉を使った言いくるめでもない。
諌める力を持つ、心に語りかけるような言葉。
宮野はどちらかというと強い言葉を使った言いくるめ、説教だ。
その時点で残念ながら結果は見えていた。
「頑張れば救えた命をみすみす取りこぼした。そんなお前に許されるのは絶望することだけだ。わかったか?」
言い切った宮野。
ちょうどその瞬間、ユウトの表情が崩れた。
眉間に皺を寄せ、中津の方に向いていた顔を宮野の方に向ける。
「……俺が、悪いのか。この腐った状況を少しでも正そうとした俺は、夢見がちで、バカな偽善者なのか。じゃあ、俺はどうすればいいんだよ。ただ這いつくばって、絶望しとけばいいのか」
「そうだな。偽善者にはそれがお似合いだ」
「そんなの、間違ってる……」
力のない声で、それでもまだ抗おうとするユウトは徐に辺りを見渡す。
道元、中津、アイリ。
順々に巡って最後に視線を飛ばした相手はなんとカイトだった。
「……お前は何とも思わないのか」
その訴えに、カイトは沈黙で応える。
無視したわけではない。
ただ、どう返したらいいのか自分でも驚くほどにわからなかった。
「俺を納得させてくれよ。お前なら、できるんだろ?」
ユウトの魂胆はわかっている。
情に訴えかけて、どうにかしてカイトを味方につけようと足掻いているのだ。
だから無理に乗る必要はない。
あとは押し切ってしまえばそれで終わり。
それだけで全てが丸く収まる。
「なあ、どうしてだよ」
「俺は……」
「どうしてなんだよ、坂井」
声を震わせるユウト。
「どうしてあんないい人が死ななきゃならなかったんだよ……」
わかっているのに、うまく言葉が出てこない。
それどころか冷静だった心が刺激されて、揺さぶられる。
本当にユウトは間違っているのか、本当に自分の言っていることは正しいのか。
そんな無意味な思考が頭を掠める度に、心臓が大きく脈打ち、次の言葉を遠ざける。
正論かどうかは関係ない。
最初に確認したことだ。
このままユウトが動き出す事だけは何としても阻止しなければならない。
とうの昔にわかっていたことだ。
だが体の方はどうやっても反応してくれなかった。
「早く答えて……」
その声に肩を落とし、そしてついに顔まで背けようとした時。
「――皆様、ご静粛に」
全員の視線が運営の男に集中する。
「ここで暴れてもらっては困りますね。まだ説明も終わっていないのに」
運営の男は不満を溢す。
いつ自分に銃口が向いてもおかしくない状況でも、驚くほどに冷静な態度だった。
「お前が困るってことは、俺のやろうとしてることは正解ってことだ」
「それはつまり、大人しくしてもらえないと?」
「当たり前だろ。何でお前のいうことを聞かなきゃいけないんだよ」
「そうですか。やれやれ、仕方ないですね……」
「……おい、何をするつもりだ」
ユウトが止まらないと判断したのか、説得を諦めて懐から謎の電子機器を取り出す。
見た目だけでそれが何なのかはわからなかったが、今まで感情を表に出さなかったはずの男の表情が僅かに歪んだのは分かった。
「皆様の首についているチューブ。これは爆弾です。私の指先一つで起爆させることができます」
思わずユウトは「は?」と溢す。
「おや、信じられないという顔ですね。しかし私は最初に言ったでしょう。言うことを聞かせるために苦労したと」
「あ、ありきたりな設定だな。ちっ、こんなもん……」
「無理に外そうとしたら自動で爆発しますよ。それに起爆するのが吉木様のものだと言った覚えは一度もありません」
「うそ、私……」
後ろから悲鳴のような声が上がる。
アイリだ。
よく見ると、彼女の襟元のチューブたけが赤く点滅していた。
「今回、犠牲となっていただくのは伊崎様です。今から10秒後に爆破します」
「……流石に冗談、だよな?」
「冗談? それは結果を見てご自身で判断されるのがよろしいかと」
こんなデスゲームを作る会社ならやりかねない。
いやむしろ、いつでも参加者の口を塞げる手段を持っていなかったらこの計画は成り立たない。
もっと早くに気づくべきだった。
「ユウト、私、どうしたら……」
「ま、待て、俺が悪かった。だからアイリだけは……」
「見せしめを作る。やはりこれが1番効きますね」
「ほんとに待ってくれ、やめろ!」
「スイッチ、オン」
ユウトの懇願も虚しく、点滅は徐々に早くなる。
「ユウト……」
助けを求めるアイリの声。
それが正真正銘、彼女の最後の言葉になると思われた――。
「アイリ……?」
しかしそこからいくら経っても爆発音は聞こえてこない。
「あれ……生きてる……?」
目を開けると、困惑しているアイリの姿が見えた。
その首元には点滅が消えたチューブがある。
「と、なってしまうので、くれぐれも行動には気をつけてください」
運営の男の一言で、ユウトがその場に項垂れる。
「点滅は警告です。それを破ってもし情報を外に流そうとしたり、勝手な行動をした場合は容赦なく爆破させます」
アイリは助かった。
ようやく理解できたが、すでにそんなことはどうでもよくなっていた。
「ちなみに、私に銃口を向けていたら本当に爆破していましたよ。命拾いしましたね」
流石に疲れてしまった。
ここまで何とか命を繋いでこれたが、明らかに報われないことの方が多く、その間に身も心もすり減ってしまった。
もう何もかもが限界だった。
もしこのイベントに関わらなくて済むなら、今日の記憶は墓場まで持っていくつもりだ。
もちろんこの会社が告発されない限りこれから先もたくさんの死人を出すだろうが、そんなことはどうでもいい。
たとえ死んだとしてもそれはそいつに運がなかったというだけで、カイトには全く関係のない話だ。
結局、大事なのは自分の命なのだ。
この地獄から1秒でも早く解放されたい。
全部忘れてここから出て、そして家に帰ってゆっくりしたい。
今はただそれだけだった。
「あー、それから一般枠の話でしたね」
運営の男は思い出したように指を立てる。
「おめでとうございます。ここにいる皆様は例外なく一般枠での参加資格が与えられます」
そう言いながら、手を叩く。
静まり返る室内にパチパチと乾いた音が鳴り、小刻みに空気を揺らす。
「もちろん断ったり、無視した場合は容赦なく爆破します」
一般枠は選出方法も人選も何もかもが謎で物議を醸し出していたが、それも当然だ。
こんなこと誰も予想できるはずがない。
「それでは皆様、本戦でお会いしましょう」
カイトはただ呆然とするしかなかった。




