【第89話】戦争の始まり
こんにちは、ノウミです。
たくさんの小説や素晴らしい作品がある中で、私の作品を手に取っていただきありがとうございます。
これまでに多くの作品を発表してきましたが、皆様に楽しんでいただけるよう、これからも様々な物語をお届けしていきます。
皆様に「読んでよかった」と感じていただけるよう、
一層精進してまいります。
どうぞ、これからもご期待ください。
最後の宴が終わり世が明ける…。
「皆さん、準備はいいですか?」
「「「 はいっ!! 」」」
私の確認と共に皆が声を上げる、ここにいる人たちは前線に立ち、人族と真っ向から戦う者たちだ。
この三日間の間にやれる確認は全て終えてきた、覚悟も固まってこの場に残っている。先にスタンドレスへと戻る物たちを送り出した。
ここから暫くは会えなくなる、それぞれが別れを惜しみながら、再会の時を願い歩き出していく。
昨日は、余裕のある私だけで竜族の里をくまなく散策したが人族が攻めてくる痕跡もなければ、王燐が息を潜めている可能性もなかった。気になったのは、森の中に突如として大きな穴が空いてた事ぐらいだが、特に目立った事はなかった。
そう、今度は私たちが仕掛ける。
今まで散々やられてきたのだ、私以外の者は特に。
そうして誰もいなくなる竜の里を背に向け、私たちは人族の国へと向けて進行を開始する。
私が率いる遊撃部隊が先行して森の中を進んでいく、固まって移動すると見つかる可能性もあるので、残りの四部隊が広く散開して人族の国を囲い込むように進んでいく予定だ。
「ではの、気をつけるんじゃぞ」
「コハクこそお気をつけて」
私たちも別れて広く離れていく、森の中を警戒しながら歩みを進める。後ろにはサクラとカリナにメイシャンが付いてきていた。進行中に人族と鉢合わせになる可能性も大いにある、あの一回きりで済むとは思えない、逃げた以上何かしらの準備をしているだろう。
それが終わって来るはずだ。
この後の戦場は、この森の中か森を抜けた先の開けた場所か…それても人族の国野中になるのか。
不幸中の幸いか、やはり森の中に魔物はいない。
「カリナ、マイシャン。武器の扱いはなれましたか?」
「勿論よ、馴染みのあるもので助かったわ」
「はい、問題なく」
カリナとマイシャンには私の魔銃・電鷲と似たような武器を持たしている。マガジン部分に、長方形に加工した魔核を装填しており、それぞれの属性と、使い切ったら入れ替える事で魔弾を簡略化して、打ち込めるようにしたのだ。
そして、元々の武器であったナイフにも仕掛けを…
「そういえば、今更なのですが人族は魔心を持たずに、心臓があるのですよね?」
「えぇ、あなたもご存知の通りよ」
「それでも魔核の力を引き出して発動させる事ができていた、その魔銃もそうですし、術式だって」
「そうよ?」
「では、そのエネルギーはどこから来ているのでしょうか?魔心がない以上、魔力もないはずですが」
前に一度疑問に思ったことはあった、その時は使えている事に対してそこまで関心を抱かなかったが、そのエネルギーの出所次第では、敵の術式などを封じ込める事ができるのではと。
「そういえば考えた事は無かったわね、そういうもんだからと、誰も疑問に思わなかったわ」
そういうものなのだろうか、エルフ族は自然の力を使うと言っていたのと、別の世界からやってきた事を考えると、また別の理が働いているのだろう。
なんにせよ、封じ込める方法は無さそうだ。
しばらく森の中を進んでいると、樹々の切れ目が見えた、どうやら人族と遭遇する事なく出口まで出て来れたようだ。
一番外側の木に身を隠し、慎重に前方を確認する。
「誰もいなさそうですね…」
「マスター・ナディ、私からみてもこのまま進んで問題ないかのように思われます」
「でもなんだか静かすぎるような…」
「そう…ですかね?変わらないように思いますが」
ここを抜けると一気に国の中まで駆け込む必要がある、向こうの状況が見えないが向こうからはこちらが見えるようになっている。
私たち遊撃部隊が真正面から、それ以外の部隊が四方向から攻め込む算段になっている。他の舞台が配置つくまで少し待ち、私の突撃が合図となって四方向から一気に攻め込んでもらう。
ここからは勢いと時間、そしてタイミングの勝負だ。
「ザ…ザザザ……コハク位置についたぞ」
「クベア大丈夫です」
「ジャスティス準備できました」
「アレクいけるよ」
「わかりました…行きましょう」
実は無線機を作成していた、出発前に皆に配って使い方を説明していた。初めは理解されていなかったようだが、上手く使えているようで安心した。
これで状況がお互いに確認できる、急拵えで作ったのでいつ使えなくなるか分からないので、この突撃のタイミングで使えただけでもよしとしよう。
私は無線機を腰に直し、三人に合図を出す。
そして、私たちは森の中から飛び出して一気に国の門へと走り向かっていく。門の付近まで近づいていくが、人の気配は見れないし、誰かに見られるような感じもない。
そうして、何事もなく門の側まだ近寄る。
「おかしいですね…」
「えぇ、何もなさすぎます。これでは無防備じゃ」
「氷牙が近くにいる感じもありません」
試しに門に手を当ててみると、簡単に押すことが出来た。以前にいた門兵もいなければ、鍵がかけられている様子もなかった。
恐る恐る中を覗くと、カリナが言葉を失っていた。
「なに…これ…」
私も目にした事はあった、賑わっていたはずの街並みは見るも無惨に建物は崩れ、地面はひび割れたり、捲り上がったりしていた。
私たちは取り敢えずそのまま中に入っていく、あたりを警戒しながら進んでいくが人の気配を感じない。三人も同じ意見らしい。
「ねぇ、メイシャン…考えたくないのだけど」
「ええ、私も考えたくありませんが」
この場所に人の気配を感じないのはそうだが、明らかに戦闘を繰り広げられたような跡が広がっているが、死体なども一つ残さず消えている。
私は以前の情報を照らし合わせ、二人がたどり着いた答えを思いつく。
「ここの住民は利用された可能性がありますね、地獄の軍勢を喚ぶ為の、もしくは奥に逃げたか」
そう、以前に妖族を生贄に捧げた話を聞いていたが、それと同じような事を自国の民にしたのだろうか。それとも奥の内隔壁より内側に逃げ込んだか。
どちらにせよ、ここでの戦闘になったとしても無関係な人たちを巻き込まずに済んだのは助かるが。
「っ!?」
私は魔銃・超電磁砲を構える。同じく気配を察知したのか、後ろの三人も武器を構えた。
私たちを取り囲むように、どこからか現れたのだ。
一部は見たことがある氷牙かと思われる、メイシャンもナイフと魔銃に力を込めているのが分かった。その他にも一般兵が取り囲んでいたが、評価牙も含めて以前と雰囲気が違うように感じる。
言葉を発する事なく、静かにこちらを見ている。
「戦闘…開始ですね……」
私は真上に向けて一撃放つ、私がここにいる事を知らしめて、あたりにする目的もあるのと、それぞれの部隊へ合図を送ったのだ。
初めは皆に止められたが、なんとか説得できた。私が危なくなる前に助けに来てくださいと、その代わり王燐含めてこの銃の威力を知るものは、一目散に私の元へと集まるでしょう、サクラとカリナ、メイシャンには悪いですが、一手に引き受けておきますと。
その言葉通り、私たちの復讐が始まる。
ご完読、誠にありがとうございます。
今回の作品が皆様の心に残るものとなったなら幸いです。今後も「読んでよかった」と思っていただける作品をお届けしていきますので、ぜひ次回作もお楽しみに。
これからも応援よろしくお願いいたします。
また次話でお会いしましょう(*´∇`*)