【第86話】白い炎
こんにちは、ノウミです。
たくさんの小説や素晴らしい作品がある中で、私の作品を手に取っていただきありがとうございます。
これまでに多くの作品を発表してきましたが、皆様に楽しんでいただけるよう、これからも様々な物語をお届けしていきます。
皆様に「読んでよかった」と感じていただけるよう、
一層精進してまいります。
どうぞ、これからもご期待ください。
幸いなことに状況は一対一。私と王燐、ラザールとカリナ。目の前の敵に集中していればいいが、他にも敵が来ていないとも言いきれない。
メイシャンにはコハクたちを探しに行ってもらっているので、そちらは任せていいだろう。
「今日は逃げないんですか、お仲間もいないようですが?」
「ざけんな、お前を壊すまで逃げるかよ」
王燐が剣を構えたままこちらに向かってくる、私も同じく刀を両の手に握り迎える。剣と刀がぶつかり合い激しい金属音と衝撃が響き渡る。
「まさか、この短時間でも強くなっているとは」
「体ごと変えやがって」
左の刀で剣を受けながら、右の刀で斬りかかる。同じ攻防が繰り返されるが、互いに均衡を崩すことは出来ていない。
すると、王燐の剣が光り始める。以前に見た光の力とやらだろう、振りかざされた剣の先から光の剣閃がこちらに向かって飛んでくる、両の刀でそれを受け止めるが勢いを殺すことは出来ず、そのまま後方に飛ばされる。
追い打ちをかけるように二撃、三撃と連撃を放ってくる。刀で受け止められる程度の剣閃ではあるが、数が多いと次第に苦しくなってくる。
「仕方ないですね」
私は片方の刀を地面に突き刺す、太もものホルダーに差し込んでいた拳銃を取り出す、剣閃の一つを片手で弾き飛ばし銃口を王燐に向ける。
「新装備、魔銃・電鷲です。とくと味わいなさい」
私は引き金を引く、放たれるのはいつもの銃弾ではない。私の電を圧縮し撃ち込む拳銃に改良した、これで銃弾を持ち運ぶ事もしなくていいのと、込める力によって威力も上げれる。
銃弾というよりは魔弾となる。
撃ち込んだ魔弾は王燐へと、真っ直ぐに電閃を描きながら放たれる。威力は十分、防戦になりつつあった戦況がひっくり返った。私は魔弾を撃ち続けながら距離を詰めていく、隙間を狙って剣閃を飛ばされたが片方の刀で弾き飛ばしていく。
「うざってぇなぁっ!!!」
そう叫んだ王燐が今まで以上の光を剣にまとわせ始めた、嫌な予感がしたので私は地面を蹴り後ろへと飛び下がる。
「光剣・崩月!!!」
その振りかぶった剣から放たれるは今までと比べてかなり巨大な剣閃だった、避けようと思ったが後方にカリナが戦っているのが見えた、私は地面に刺しておいた刀を手に取り、それを受け止める。
激しい音とともに全身に衝撃が伝わる、その勢いを抑えることは出来ているが消えることなく襲いかかり続ける。
「くっ、これは……」
私は龍魔心装からの電をさらに強く速く流し巡らしていく。それに合わせて体が青く光り、青い電光が走り始める。
「はぁぁぁっ!!!」
巨大な剣閃を斬り裂き、それを消し去る。
「それで終わりですか?」
「うざいな、お前…」
王燐も全身が光に包まれていた。
見合っていると、後ろからカリナが飛ばされてきた。
「大丈夫ですか?」
「手も足も出ないよ…気持ち悪いし、あれ」
後ろに顔を向けると、無数の赤黒い腕が地面から伸びていたのとラザールの背中からも数本蜘蛛の足のように伸びていた。
「確かに、この前見た時とは変わり様が…」
「お主らっ!これ以上好き勝手はさせんぞ!」
ラザールのさらに後ろからコハクの声が聞こえた、どうやらメイシャンが上手く救い出してくれたようだ。これで一気に形勢が変わった。
「三対ニ、もう諦めなさい」
「まだだぜ、数で言えば俺らの方が上だ!」
「それならもう来ぬよ」
「あぁっ!?」
「今、妾の仲間たちが一人残らず倒しておるわ」
「んだよ、使えねぇなぁ」
「コハク、そちらは頼みましたよ!」
「分かっておるわ!」
これでラザールを二対一で抑えれる、私が王燐を倒せれば加勢して一気に終わらせられる。この二人を倒してしまえば、その戦争は終わりへと向かっていくだろう。
「ここまで、か……。終わりだな」
ラザールが諦めたような言葉を吐く、私も思わず振り返る。流石に諦めがよすぎると言うか、私たちには拍子抜けするような言葉だった。
「思ったより大人…」
「てめぇ、ここまで来て何言ってやがんだ!」
「終わりだと言ったんだ…遊びはここまでだ」
ラザールが手を振り上げる、諦めたわけではなかった、悪の手をずっと隠していたのだ。それをここで見せるつもりだろう。
「コハクっ…!」
「ぐぁぁああああっああっあああ!!!」
突然王燐が叫び声をあげていた、ラザールに気を取られていたので何が起こったのかは見ていなかったが視線を向けると、その状況はすぐに確認できた。
一本の赤黒い腕が王燐の胸元へと刺さり込んでいたのだ。
「なっ、一体なにを!?」
「がぁぁぁっ、て、てめぇぇぇええっ!!」
「言ったろ…お前の遊びはここまでだ」
「なに…を、言ってやが……ぁぁあっ」
「ここまで良くやった、褒めてつかわす」
引き抜かれた赤黒い腕の手には心臓らしきものが握られていた、胸に腕を突き刺し心臓を抜き去ったのだろう、仲間同士で一体。
「さぁ、始まるぞ。上手くやれよ」
すると、何本もの赤黒い腕がラザールを掴んで巻きついていく。
「何をするつもりじゃっ!!」
コハクが刀を握ったまま飛びかかるが、その赤黒い腕がラザールごと地面へと引き摺り込んでいきその場から消え去ってしまった。
「くそっ、逃げられたわ」
地面の中へと潜って行ったのだろう、私たちでは追いかけることが出来なかった。それよりも王燐だ、心臓を握った赤黒い腕もいつの間にか消えていた。
残されたのは、その場に倒れ込んだ王燐だけ。
あの状態で生きているはずがない、その場で完全に動かなくなっていた。
「一体どういう事でしょうか」
「分からぬ、攻め込んできた目的も今の行動も何もかも理解ができぬよ」
「カリナも何か知りませんか?」
「えぇ、ごめんなさい。何も知らな……」
突然、カリナが神妙な顔つきで黙り込んだと思った瞬間、焦った顔つきに変わり叫んだ。
「あの死体を燃やすか何かして消し去って!」
「どうしたので……」
「いいから早く、説明してる暇は無い!!」
「妾がやろう」
[火ノ竜巻]
コハクが術式を唱えると、王燐の元に火の竜巻が勢いよく発生した。まさにその体を燃やし尽くすほどの勢いだった、カリナの焦った表情は変わっていない、ラザールの行動について思い当たる節があるのだろう。
激しく燃え上がっていた火の竜巻は勢いを落とす事なく続いていたが、竜巻の中心に黒い影が動いているのが見える。
「やはり……二人とも構えてください!!」
激しかったはずの竜巻がその黒い影の中心に集まって集約し始めた、黒い影は次第に人の形を成してゆらめきながら動き始める。
「八極衆並みの敵が現れると思ってください」
「まさか、さっきの心臓を抜いたのは……」
「えぇ、地獄からの召喚のようなものです」
火の竜巻は完全に消え、その場には王燐が何事もなかったかのように立っていた。下に俯き、襲いかかってくる気配も、動き出す気配も感じない。
八極衆はその姿までも完全に変わっていたが、王燐にはその変化が見られない。失敗したのか?そうであればありがたいのだが。
「あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ゛!!!」
突然上を向きながら叫び始めた、目や口、貫かれた胸から黒い炎が吹き出している。
黒かった炎が次第に色を変えて、白い炎へと変貌していった。白くなった途端に、こちら向かって飛んでくる。
私が前に立ち刀を振りかぶるが、刀を躱しながら腕を掴みコハクたちに向かって投げ飛ばされ、その勢いのままカリナの元へと近づき、同じく私の方へと投げ飛ばした。
「大丈夫ですか」
「えぇ、私は大丈夫で……」
コハクに腕を借り立ち上がった瞬間、王燐の口から白い炎がこちらに向かって放たれる。
私たちを包み込むほどの大きな炎が襲いかかる、コハクが纏を発動させながら前に飛び出しその白い炎を一身に受け止める。
「コハクっ!!」
「コハクさんっ!」
「お主ら!そこから動くなよ!!」
白い炎の勢いは止み、コハクがその一身で全て防いでくれた。私たちは助かったが、思った以上にダメージは深刻なようだった。
立っているのが精一杯に見える。
「ぐぁあっあああっ、ぐっぐっぐぁっ」
白い炎の勢いが止まったのは、王燐が突然苦しみだしたせいの様だ。吹き出していた炎も安定せずに消えたり、吹き出したりを繰り返している。
「この機を逃すわけにはっ!」
私は刀を握りしめて走り出す、苦しんでいる王燐目掛けて刀を振りかぶる。
すると、全身から勢いよく炎が吹き上がり、私もその勢いに巻き込まれて上に飛ばされた。
なんとか身を翻し、地面に降り立つ。
「おゆねちろえしまのねつりぬめねちふ!」
苦しみながら、何か意味のわからない言葉を並べていた。何を言っているのか、何をしたいのかは私には理解できない。
だが、ここで何とかせねば被害は広がる一方だ。このまま放置するわけにはいかない。
「だぁぁっ!!!ふざけんなぁぁぁぁあっ!」
王燐の意識が残っていたのか、いつも通りの口調と言葉を叫び出した。私は一旦コハクたちの元へと下がる。
「なやたればのつ うるせぇっ! なまるに」
私がノイズと葛藤しているときのように、一人芝居のようなものを初めてその場で暴れ回っていた。吹き出す炎が方々に放たれるため、私はコハクたちの前にたち、護るように構える。
「くそがぁぁっ!!!あぁぁぁっああっ!!」
今度は炎を地面に向かって一気に口から吐き出し、自分の姿をくらました。
炎が帰る頃には、その姿はなく。私たちは、呆然としたままその場に立ちすくむしかなかった、逃げたのだろうがその方角すらも分からない。
「コハク、大丈夫ですか?」
「あぁ、なんとかの……それよりあやつは?」
「すみません、逃げられました」
「そうか、またもや…」
すると、メイシャンたちが戻ってきていた。どうやら周辺の兵士たちは一人残さず倒しきり駆けつけたらしい。
私たちは二人とも逃してしまい、王燐にいたっては暴走状態でどこかに消えていった。
里は燃やされて、何人かの死傷者も出た。こちらが与えた被害を考えると向こうにとってはなんの痛手も無かったのだろう。
完全にしてやられた。
私たちは残った者の救出活動と、被害状況の確認などをするために動き出す。
ご完読、誠にありがとうございます。
今回の作品が皆様の心に残るものとなったなら幸いです。今後も「読んでよかった」と思っていただける作品をお届けしていきますので、ぜひ次回作もお楽しみに。
これからも応援よろしくお願いいたします。
また次話でお会いしましょう(*´∇`*)




