【第85.5話】竜族への侵攻
こんにちは、ノウミです。
たくさんの小説や素晴らしい作品がある中で、私の作品を手に取っていただきありがとうございます。
これまでに多くの作品を発表してきましたが、皆様に楽しんでいただけるよう、これからも様々な物語をお届けしていきます。
皆様に「読んでよかった」と感じていただけるよう、
一層精進してまいります。
どうぞ、これからもご期待ください。
なんとか逃げ帰ってきた、今回の逃げは勝ちと言っていいだろう。目的は達せられたのだから。
「クズ人形が、また邪魔しやがって……」
あの龍を見つけれたまでは良かった、クズ人形と獣風情が邪魔をしなければここまで焦ることは無かった。
「なんとかなりましたね……」
「怖っかたですぅ〜…」
「あぁ、爪は手に入れたからな。これであのガザール王の言われた達成できたよ」
俺たちは龍の爪を斬った後、この光の転移術によってあの場所から脱出してきた。色々な場所を探索してようやく見つけた龍、ガザール王が言っていた意味が理解できた。
あれは敵う存在じゃない、素材を持ち帰れただけでも戦果としては上々だ。
「お前ら、報告に行くぞ」
「そんなすぐにですか…」
「いいから行くぞ、休みたいならその後だ」
「はいぃ〜」
俺は二人を連れてラザール王のいる部屋へと向かう、すぐに報告して流石に休みたかった、それにあの獣を簡単に屠れなかったのは、俺の力不足だ。
「まだまだ強くならねぇと」
「何か言いました?」
「なんでもねぇよ」
部屋の前に着き、そのままドアを開ける。
「ラザール王、いるか?」
返答がない、部屋の中にいないのだろうか。
中に入って周囲を探してみるが気配も感じない、二人も部屋の中に入ってみるが先程までいた形跡も無いので、どこか別の場所にいるのだろうか。
部屋から出ようとすると、机の上の書類に目が止まったので、書類を手に取りその内容を読んでみる。
「これは…」
その書類には今後の計画の全貌が書かれてあった。
こういった要望はいかがでしょうか:
『我が身に地獄の力を取り込み、それを使ってこの世に地獄の軍勢を召喚する。その軍勢は通常の兵士たちよりもはるかに強力であり、様々な種族を壊滅させる力を持つだろう』
「もしかして、この前の奴らが地獄から来た軍勢とやらか」
手も足も出ない、完膚なきまでに叩きのめされた。あれを目の当たりにすると、はるかに強力と言われても納得できてしまう。
『そして、人工極心石を造り出し兵士たちにそれを配布して既存の軍勢の強化を図る、その反動で弱ってきたら地獄に取り込まれるらしいがそんな事は我に関係は無い』
これは俺の知らない内容だった、この人工獄心石とやらがまだ兵士たちへの配布が始まっていないという事だろう。その字から察するに、取り込めば地獄の力とやらを扱えるようになる、簡単な反面リスクもあると。
『妖族を生贄に、地獄からさらなる軍勢を喚び起こす。非常に穢らわしいがいい駒が手に入ったので使わない手はない、同時に人工極心石の実験も始めていく事にしよう』
「やはり実験段階か」
それに他種族を利用するとは。俺が思っている以上に殲滅作戦は進んでいるのだろう、ここまでは作戦が無事に進んでいると結果報告書と共に置かれてあった。
「何か見つけたんすか?」
「いや、これだが……」
「我の部屋で何用か?」
俺は反射的に顔を上げると、ラザール王が部屋に入ってきていた。
「ほら、これ…任務は果たしたぞ」
「ほぅ、本当にやりおるとはな。見事なり」
「なんだ、疑ってたのか?」
「許せ、半信半疑だった故にな」
「ちっ、爪は机の上に置いておくから」
俺は机の上に爪を置き部屋を出ようとする。
「まて」
「何だよ?」
「どこまで見た?」
突然身が怯みそうになるほどの眼光が放たれる、何か見られたら不味いようなものでもあったのだろうか。
「何か見る前に入ってきたよ」
「左様であるか。丁度いい、数日後広間に全員集めるのだ。お前もこい」
「なんのために?」
「その時話す、分かったな?」
「わかった、わかった」
そうして俺たちは部屋を後にする。
あの書類は途中までしか見れなかった、それも既に結果が出ているものばかり。これから何が起きようとしているのだろうか。
この世界に喚び出された時と比べて、ここ最近のラザール王の動きには不気味なところがある。
今までの部下を蔑ろにしてまで成し得たい事とは何だ、本当に他種族を滅ぼすだけで終わりなんだろうか。その先に何かがありそうな気がしてならない。
ホウキやカルラにも似た話をした事があるが、同じような返答しか返ってこなかった。
“なにもわからない”、と……。
それから数日が経ち三人で大広間に向かうと、既にほとんどの主要人物が集められていた。ホウキ、カルラを筆頭に術式部隊のまとめ役で、紫のロングヘアと狐のような目が特徴的な【ジュナ=ホール】。
兵士総長で屈強な体つきと、歴戦の戦士のような顔つきで老体でありながらも現役の【ガナ=ザガン】。
その他、見た事のある顔ぶれが並んでいた。
まさにそうそうたるメンバーではあるが、八極衆とやらの姿は見えない。それに地獄からの軍勢とやらも見た感じはいないように思える。
俺たちは大広間の壁際に移動し、待つ事にする。
暫くすると、奥からガザール王が出てきて一際目立つ椅子に腰を据える。
「皆のもの、よくぞ集まってくれた」
いつも通りの低い声が通る、初めのうちは先ほどの書類に書いてあった地獄の力やそこから喚び起こされた戦力について軽く話していた。人工極心石や、八極衆については触れることが無かった。
「そこでだ、この力が完全となる為に竜族の里を滅ぼしに向かおうと思う」
「王よ!いくら王とはいえ危険かと!」
隣に立っていたカルラが声をあげていた、ただその進言は聞き入れてもらえないようだ、どうしても直接赴く必要があるようで、そのための部隊を編成する為に皆を集めたと。
「それには王燐、お主らに来てもらうぞ」
「はぁ?俺?」
全員の視線が集まる、力を振るえることに対してはむしろ嬉々として向かいたいが、この中から俺を選出した意図が読めない。
聞いたところで答えはしないのだろうが。
「王よ、なぜですか!?」
「お前らには他にやってもらいたい事がある」
「や、ってもらいたい事ですか?」
「我と王燐はすぐに向かう、そのままお前たちはここに残れ。後から説明させる者が来る」
そう言いながら明日から立ち上がり、こちらに向かって歩いてくる。人が割けるように分かれながら俺の前に立つ。
「頼まれてくれるな?」
「拒否権はねぇんだろ?」
「無論」
「ちっ、」
すでに出立の準備は済ましているとの事だったので、俺はラザール王に続いて部屋の外へと出ていく。ラインとリャンも広間に残すようにとの事だったので、本当に俺一人と数人の兵士がついて行く形になる。
少数精鋭とは言うが、些か少なすぎる気もするが。
俺たちは街の中を抜けて森の中へと入っていく、既に竜族の里へと向かう道は調べ上げているとの事で俺は後ろをついていくだけだった。道中に今回の事について説明もあるかと思ったが何もない、軽く問いかけてみるが答えは返ってこなかった。
あの書類に何が見てはいけないものでも書いてあったのだろうか、俺を殺すためにここまで来た訳ではあるまい。
そうだとしても、ただではやられない。
念の為警戒を強め、後ろをついて森の中を歩く。
暫く森の中を歩き続けると、突然立ち止まった。
「ここだな…」
「何が?」
前を見ると視線の先には里が見えていた。
言葉の通り、本当に竜族の里を滅ぼしにきたのだろうか。それならば、言葉のまま受け取っても問題なかったようにも見受けられるが。
「さぁ、始めようか……」
ラザール王が何かを持ち上げるように、手のひらを下から上にあげると地面から赤黒い腕が飛び出した。
これが言っていた地獄の力だろうか、この目でしっかりとみたのは初めてだ。
すると、竜族の里らしき場所から無数の腕が生えていたのが遠目でも確認できた、一気に攻めるつもりらしい。
「ついてまいれ」
ラザール王は歩き出し、周囲から飛び出した腕を里に向かって一気に伸ばしていく。
俺も剣を構えて、言われた通りについて行く。
里の中に入った途端に見覚えのある金色の獣が、全身を炎で包みながら襲いかかってきた。だが、俺が反応するよりも先に赤黒い腕がその獣を捉えて地面に叩きつけたまま抑えつける。
俺が苦戦した相手を、こうも簡単に。
続けて空から飛んできた奴や、槍に大鎌など様々な武器を持った奴が襲いかかってくるが全て同じ容量で地面に抑えつけていた。
奴らが何か喚いていたが、意にも介していない。
まさに圧倒的だった。それでも腕を斬って拘束を解きこちらに襲いかかってきたが、赤黒い腕で捉えた弱そうな竜族を前に突き出し、盾のようにしていた。
奴らもそれに怯んだのか、その場に立ちすくむ。
「哀れなり…愚族どもよ」
「やばいな、圧倒的じゃんかよ……」
「我の力はまだまだこんなものではないぞ」
そう言いながら周囲に炎を撒き散らす、家屋を燃やし竜族を焼き殺して周っていた。
「王燐、兵士を連れて逃げ隠れた奴らを殺してこい、一人も逃がすな」
突然の命令に一瞬遅れる、この圧倒的な力と光景の前で何も出来ずにいたからだ。
「は、はい!」
思わず一般兵のような返答をしてしまった、今までの言動がもう出来ない。
俺は言われた通りに兵士を引き連れて散開する、それから暫くしてからだった、あのグズ人形を見つけたのは。
あれだけは俺の獲物だ、渡すわけにはいかない。
完璧な奇襲をする配置につき、後ろから一気に襲いかかる、だが急に現れた女メイドに防がれた。
奴はどうせ、この場から逃げられない。
ここで積年の恨みを晴らしてやる、この目に誓って遅れをとることはもうない。
ご完読、誠にありがとうございます。
今回の作品が皆様の心に残るものとなったなら幸いです。今後も「読んでよかった」と思っていただける作品をお届けしていきますので、ぜひ次回作もお楽しみに。
これからも応援よろしくお願いいたします。
また次話でお会いしましょう(*´∇`*)




