【第85話】王
こんにちは、ノウミです。
たくさんの小説や素晴らしい作品がある中で、私の作品を手に取っていただきありがとうございます。
これまでに多くの作品を発表してきましたが、皆様に楽しんでいただけるよう、これからも様々な物語をお届けしていきます。
皆様に「読んでよかった」と感じていただけるよう、
一層精進してまいります。
どうぞ、これからもご期待ください。
新装備の試験稼働も終えて、調節を繰り返しながら最終的な形を仕上げた。
私は、全員を街の中心地に集める。
こうしてみるとエルフ族、天族、人族など多種多様な種族が増えてきたと感じる。
それに竜族と獣族、海族も加わって一大連合となっており、各種ゴーレムたちも戦力として大きく貢献することだろう。
それに、私も含めた龍族の力を保有する五人、コハク、クベア、アレク、ジャスティス。ここまでの戦力が揃えばいよいよ本格的な侵攻作戦の決行となりうる。
「集まってもらったのは他でもありません、これからの行動についてです」
人族の国とこの街の間には。大峰魔山がそびえたっているが、八獄衆のせいで毒の沼地が消滅し簡単に侵攻できるルートが出来上がってしまっていた。それに後方には天族のあった村から転移してきた人族が、一気に攻め込んでこないとも限らない。二方向から同時に攻め込まれる可能性と、それ以外にも攻め込まれる可能性もあるのだ。
龍族の里も同じく、周囲から一気に攻め込まれる可能性もあり周囲が森で覆われているので見つかっていないのが幸いしている。現在、この二カ所のみが拠点となっている。
「私はこの街での防衛軍と、前線にて戦う軍を分けたいと考えています」
「それなら私とガスールはこの街に残るわ、それぞれの種族長だし」
「確かにな、それがいいだろう。長として指揮は任せておけ」
長?王の間違いでは…言い方を間違えたりでもしたのだろうか。
「私とメイシャンは王に付いて行きます」
「カリナが行くなら私も一緒に行くよ、友達を一人で行かせるなんて出来ない」
「あなたは言い出したら聞きませんからね、王のこと頼みましたよ」
「お母様、ありがとうございます」
やはりおかしい、呼び方に違和感がある。先ほどから私のことを王などと形容していないだろうか、気のせいか、気のせいなのだろうか。
「あの…王というのは?」
「もちろん、ナディ王でございます」
「いつから?」
「話が上がったのはつい先日、決まったのは先ほどといったところでしょうか」
「私が皆の王なのですか?」
「そうです王よ、あなた以外に適任はおりませぬ。この街の建築に大きく貢献し、皆を導いておられたのはナディ王なのですから」
セーレンとガスールが力強い眼差しでこちらを見つめてくる、この決定は簡単に覆りそうにない。だが、異世界から来たこの世界の者でもないのに皆の王を名乗ってもいいものなのだろうか。
今まで通りに、各種族の王を名乗ってもらっていても何も問題がないようにも思えるが。
「私たちはナディ王がいなければ、一族もろとも人族に滅ぼされていたでしょう。そこをすくっていただいた恩に報いるために王として皆を導いてもらいたいと考えています」
その一言に全員が膝をついて頭を下げる、その中心に私は立っていた。この街にいる全員が私が王となることに対して反対することは無かったらしい。
ここまで言われてしまえば断るのも変な話だ。
「わかりました……皆に告げる!私はこの世界ではなく、異世界からやってきた存在だ。異物でありながらも受け入れてくれた皆には感謝している、その想いに答えれるよう勝利まで導くことをここに宣言する!!」
歓声と雄たけびが空気を揺らすほどに上がっていた、ここまで信頼を置いてくれた事なのであれば、私もそれに報いるだけの行動をしていかねばならない。急に責任と重圧が重くのしかかってくる、だがそれを抱えれるだけの知能と、この体で乗り越えてみせる。
「それでは、私に続いて前線に乗り込む部隊を編成。その後に、今後の作戦行動の打ち合わせも含めて竜族の里へと向かいます、残りの部隊はこの街の防衛に徹してください」
「「「「「 はいっ!!! 」」」」」」
そうして前線部隊を編制、各々が準備に走り始める。これから始まる侵攻に向けて、この街への侵略も必ず来ることだろう。ゴーレムたちも全体の三分の一を前線に、残りは防衛に戦力を割く。
私は準備は既に住んでいるので、街の門の前で皆が集まるのを待つことにする。その時、エルフの青年に声を掛けられる。
「ナディ王よ、ちょっと見てもらいたいものがありまして」
「なんでしょうか?」
「こちらです」
いわれた通りの案内についていく、その先は以前にこの地での農作業や、草木が育たないか実験をして欲しいと頼んでいた場所だった。あれからなんども試行錯誤を繰り返してはいたが、成果は得られていないとは聞いていたのだが。
「これを」
青年が指さす方向には、まだまほんの小さくはあるが数本の草が生えていた。
「まさか…成功したのですか?」
「いえ、ここから大きな成長は望めていませんが、いままで草木の一本ですら生えなかった場所に、こうして小さくも植物が生え始めました」
「方法はどうしたのですか?」
「土と砂の入れ替えから始まって、試しに砕いた魔核を肥料として撒いてみたらこうなりました」
この方法を継続すればやがてはこの地に、草木が生い茂るような土地を取り戻せるかもしれないとの事だった、このお陰で人族に砂漠にされてしまったこの土地を元に戻し、再びこの地での生活基盤を築く事が出来るようになるかもしれない。
今は食料を森の中へ取りに行ったりするのみで、食糧危機の可能性がかなり大きかった。この戦争に勝った後、この地を何もないままではなく平和に生活できる環境へと変えておきたかった。
その為の一歩が、こうして進んでいると。
「ありがとうございます、引き続きよろしくお願いいたします」
「はいっ!!」
その場にいたエルフたちにもお礼を述べて門の場所へと向かう、益々この戦争で負けれない理由が出来てしまった。この地が元に戻れば、グロガルやファーネも喜ぶことだろう。
門に着くと、皆が集まっていた。
「ナディ王、準備は整っていますよ」
「わかりました、それでは早速向かうとしましょう」
私たちは竜族の里に向けて進んでいく、大峰魔山を抜けていく道が早いのでいつも通りに洞窟の中を抜けていく、さすがに通いなれたもので目をつぶっても行けるほどに道には慣れていた。ただし、今回は大規模な移動になるのとゴーレムが一緒なのでそこまでの行軍速度は出せない。
車などの移動用兵器があればよかったのだが、さすがにそこまでは手が回らなかった。
前線部隊には私を筆頭に、エルフ部隊のリーダーにシャナンを、天族の部隊にはジャスティスを据える予定だ。カリナとメイシャンには私の直接指示のもと遊撃部隊として動いてもらう。
「この洞窟では敵もいないので、速度優先で進みましょう」
「「「はい!」」」
もうすぐで出口というところで激しい音が洞窟内に響き渡る、異変を感じた私とカリナにメイシャンは先行して走り出す。シャナンにはゴーレムたちを率いてこちらに向かってもらう。
洞窟を抜けると竜族の里の方角に黒い煙が上がっているのが見えた、私たちは速度を落とすことなくその方角に向かって突き進む。
里に近づくにつれてその異変が明らかになる。
美しく、皆が笑いあって過ごしていたあの里は炎に焼かれて泣き叫びながら逃げまどう人々で溢れかえっていた、人の流れに逆らい里の中心に向かって行くとその元凶を発見する。
「あいつは、ガザール……」
「親父ぃっ!!!」
そう、人族の王でカリナの父親であるギルテ=ラザール王。
「おや、そこにいるのは我が娘ではないか」
メイシャンが後ろに回って、斬撃を止める音が鳴る。
目の前に気を取られていて後方に迫っていた人物に気が付かなかった。
「ちっ、邪魔すんなよな」
王燐だ、やつもここまで来ていたらしい。奇襲を防がれたからなのか一旦引き下がった。
「メイシャンありがとうございます」
「いえ、大丈夫です」
状況が悪くなっているのには変わりない、ラザールと王燐に挟まれているのだから。この二人だけということはないだろう、侵攻するのであれば大軍で来るはずだ警戒をしなければ。
いや、それよりコハクたちはどうした。竜の力を得た人が四人もここに残してきたので、急な侵攻とはいえ簡単にやられるはずはないと思うが……周囲にはその気配すら見当たらない。
「仲間が気になるか??」
「て、言ったら教えてもらえるんですか?」
「そこまで優しいと思うか?」
「会話の無駄ですね、話させたほうが早いです」
(メイシャンすみません、タイミングを見てお願いできますか)
(私からもお願い、ここは私に任せて)
(かしこまりました)
私はメイシャンにコハクたちの捜索をお願いする、カリナも目の前に現れた実の父親に対して怒りの眼差しを向けていた、私は背中を任せて王燐を相手しよう、二人の邪魔をしないように。
ご完読、誠にありがとうございます。
今回の作品が皆様の心に残るものとなったなら幸いです。今後も「読んでよかった」と思っていただける作品をお届けしていきますので、ぜひ次回作もお楽しみに。
これからも応援よろしくお願いいたします。
また次話でお会いしましょう(*´∇`*)




