【第83話】素材の回収
どうも、ノウミと申します。
まだまだ作品数、話数としては少ないですが、これから皆様の元へ、面白かったと思って頂けるような作品を随時掲載していきますので、楽しみに読んでいただければと思います。
沢山の小説がある中で、沢山の面白い作品がある中で私の作品を読んでいただけた事を“読んでよかった”と思っていただける様にお届けします。
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ミスリル鉱石を全て回収して地面に降りる。
「これだけあれば足りるかな?」
「おそらくは問題ないかと」
「これで終わり?」
「えぇ、そうなんですが……」
合金を作るためのもう一つの素材を探したい所ではあるが、これ以上ここにいるのは危険だと思う。
私もこれ以上は戦えなく足手まといでしかない、皆も表に出してはいないが限界が近いと思う。
「そういえば、この千年亀どうする?」
「持って帰りたいところではありますが、この大きさを解体していくのは厳しいでしょう」
「だよねーっ、あそこの亀軍団は持って帰れるね」
「そういえば、魔核だけでも持って帰れないかな?」
それならば問題ないだろう、また同じく口の中から体内へと侵入し斬り進んで魔核の場所まで辿り着く事ができればそのまま回収できる。
私たちは、先ほどこじ開けた口から体中へと侵入する。せっかくならと回収できるものは回収しておきたい、中に入ると奥へと進んでいき食道のあたりで周囲を斬り開く。
カリナがおおよその場所は把握できているとの事で、私たちは後をついて行く。
まるで洞窟のようになっている内部を、先ほど洞窟の壁から取り出した発光石で照らしながら進んでいく。
「あ、あれじゃない??」
目の前に巨大な岩のような物が現れた。
身の丈よりも遥かに大きく、今まで見てきたどの魔核よりも一番大きい。これが千年亀の魔核なんだろう、カリナも同じ事を言っていた。
それに触れてみると、魔力を感じた。
「これ、どうやって持って帰りましょうか」
「砕く?」
そう言いながら、各々がツルハシなどを振り下ろして砕こうとするがヒビすら入らない。シャナンが土の矢を放ってようやくヒビが少しだけ入る程度だ。
「シャナン…よろしくお願いします」
「えっ、けっこうしんどいんだけ…」
「よろしく、お願い、します」
「は、はい」
シャナンは目を閉じて弓を構える、引き切った鉉に土の矢が形成されていく。力を込めて威力を上げるつもりらしい。
そうして放たれた矢は巨大な魔核を砕くことに成功する、大小様々に割れた魔核が崩れ落ちていく。
「はぁーっ、はぁっ、きっつ…」
「おぉ、ありがとうございます」
「やるじゃん」
「簡単に言ってくれるね……」
「いえいえ、本当にありがとうございます」
私は砕けた魔心の一つを手に取り、拾い上げる。
手に取った瞬間違和感を感じる、先ほど感じていた魔力が微塵も感じなくなっている。
「あの、私の勘違いかもしれませんが…」
「勘違いじゃないよ、魔力が無くなってる」
「やはりそうですか」
「矢を打ち込んで砕いた瞬間に、消えたのを感じた」
どつやら千年亀の魔核は魔道具として活用する事は出来ないようだ、そういえば術式を使ったり魔力を使うような雰囲気は無かった。
単純にその硬さだけで、ここまで生き抜いたのだろう。
「せっかくですが、これは使い物に…」
私は言葉を止める。
「…どうした、ナディ?」
私は刀を鞘から抜き、地面に転がっている砕けた魔核に勢いよく振り下ろす。
刀が当たった瞬間に弾かれ、金属音が鳴った。
「これは……シャナン砕けた魔核にもう一度矢をお願いしてもいいでしょうか」
「う、うん」
シャナンが先ほどの同じぐらいに力を込めた土の矢を放つが、今度は矢の方が砕け散った。近くで確認してみるとヒビすら入っていない。
「ええっ、さっきと同じぐらいで打ったよ!?」
「おそらくですが魔力は変えたのではなく、割れた時の衝撃によって中に浸透し溶けたのではないでしょうか」
「それで硬くなったの?」
「硬くなったというより、変質した感じですかね?」
シャナンは悔しかったのか、さらに力を込めた矢を放つが同じく傷一つつかない。
「これ……ですね、もう一つの材料」
「これで合金を作ると?」
「えぇ、きっと最高の金属になるでしょう」
実験したわけでも無い、データに裏付けされたものでもないが、何故かそう確信させるものがあった。
全部は持って帰れないので、抱えれるだけの魔核を手に取りその場を後にする。
帰り道は山積みになった亀軍団を掻き分けながら、進んでいく。かなりの量だったが、少しずつではあるが道を切り開いていった。
「ようやく抜けましたね…」
「早く帰りたい」
「同じく」
「すみません、ありがとうございました」
「いいよいいよ〜」
そこからの帰り道は順調なもので、途中魔物に襲われそうになる場面もあったが、後から追いかけてきたエルフ族たちに救われる形で合流した。
私たちを街に戻す隊と、奥の千年亀の素材を回収する隊とで別れる。
無事に戻ってきた私たちもそれぞれ別れる。
シャナンとカリナ、メイシャンはさっそくお風呂に入って休みたいとの事で最近できたらしい温泉施設に向かっていった、メイシャンの口からよだれが垂れていたのは黙っておこう。
私は研究所に戻り、早速合金に取り掛かる。
研究所に戻ってすぐ、机の上にミスリルと千年亀の魔核を並べる。この二つを合わせる事で、元の世界にも無かった、勿論この世界で初めての金属を作り出す。
いつもならサクラがサポートしてくれていたが、今回は私一人だけ。サクラも向こうで鍛錬に励んでいる頃だろうか、こちらも負けてはいられない。
この金属を使って、さらにパワーアップしてみせる。
まずは錬金術につ二つの素材を分解させて、混ぜ合わせていく。
しかし、そう上手くはいかなかった分解すら上手くできない力を込めてはいるが、原型から変化の兆しすら見られない。
何度も試してみるが、何も変わらない。
「これは、分解すら出来ないとは…」
何度かの挑戦を終えた時、何かいい方法がないかサクラの残した書物を漁ってみるがそもそも、ミスリルも千年亀の魔核も錬成した記述すら見られない、まさに幻の素材なのだろう。
思い悩んでいると、風呂上がりの三人が私の実験中の部屋に入ってきた。少し酔っ払っているのか、三人共顔が赤く火照っていた。
「らんら、まら休んれらいろか〜っ」
確信した、完全に酔っ払っているな。
マイシャンとカリナはお互いに抱き合いながら見つめ合っていた、ここまで来るのにその状態で来たのだろうか、よく歩けたものだと感心する。
「シャナン、お酒はほどほどに」
「よってらんからいよーっ!はははっ!」
「まぁ、今日は大活躍でしたからね、お酒でも呑んでゆっくり休んでください」
「わかってらーっす!」
後ろの二人が抱き合ったまま崩れ落ちるように倒れ込んでしまった、それを見てシャナンは大爆笑しているが、私は枕と布団を用意して二人をそこに運ぶ。
「なんら、上手く行ってないんか?」
毛布をかけようとしている私に、シャナンが机の素材を眺めながら聞いてきた。
「はい、分解すら出来ていません」
「ふーんっ………」
私は立ち上がり、再び素材に向き合う。
隣で見ているらしく、もう一度分解を行う…が、やはり変化は見られない。少しも形が変わる事がない。
「駄目…ですか……」
せっかく最高の素材を見つけたと思ったのに、使えなければ意味がない。
「…なんれ、錬金術?」
「はい?」
「なんれ、錬金術?」
「ここには合金を作る設備もありませんし、この世界の素材ならこの世界の方法が適しているでしょう」
「……うーん、あろさ…別に設備もいらないし、この世界のやり方にならう必要はなくない?」
「それってどういう…」
振り返ると器用なことにシャナンは立ったまま眠りについていた、酔っ払いの言葉だと聞き流しながらもう一組布団と毛布を用意し、シャナンをそこに寝かせる。
聞き流したつもりだったが、何故か先ほどの言葉がずっと残っている。設備がなくても良い、この世界の方法に習う必要はない。
「っ!?……シャナン、ありがとうございます」
私は一つの方法を思いついた、確かに設備はない。それにこの二つの素材は元の世界には存在すらしなかった物だ、それを技術の組み合わせで上手い事出来ないだろうか。
「その為にはどのやり方を使えばいい」
私は自身のデータにアクセスして、色々な仮説を立てていく。何十通りにも及ぶ方法と元の世界での合金の作り方、それらをシュミレートして最適な方法を導き出す。
今の私に出来る最良の方法を。
再び素材の前に手を出し、素材の分解に挑む。ただ、錬金術で分解するだけではなく、電を使う。元の世界にあった方法の一つ、“電解法”を用いてこの素材の分解を試す。
足りない部分に関しては錬金術で補っていく。
そして、この方法は正しかったのか徐々に形を変え始めて分解が始まる兆しが見え始めた。
そのまま進めていくと、完全に分解させることに成功。その工程を切らす事なく、そのまま錬成の作業に移っていく。
分解された二つの素材は混ざり合い、形を形成していく。ひとまずはインゴトットのようなこの金属の塊へと形作っていく。
次第に形を整え始め、気がつけば正方形の大きなブロックを目の前に完成させていた。これがミスリルと千年亀の二つを組み合わせたこの世界で他にない金属素材。白く美しく輝くその素材は、力強くも十分な硬度に柔軟性も兼ね備えたようなものへと変貌していた。
「シャナンに感謝ですね、上手くいきました…」
私はこれに【ミスチュラル】と名付ける事にしよう、体にさらなる強化を施し、これからの戦争で遅れをとることのないように。
83話ご完読ありがとうございます!!
新たな素材の完成に、次回が待ち遠しいかと!
次話でもお会いしましょう!(^^)




