【第7話】魔道具と魔の森
どうも、ノウミと申します。
まだまだ作品数、話数としては少ないですが、これから皆様の元へ、面白かったと思って頂けるような作品を随時掲載していきますので、楽しみに読んでいただければと思います。
沢山の小説がある中で、沢山の面白い作品がある中で私の作品を読んでいただけた事を“読んでよかった”と思っていただける様にお届けします。
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2人はライタの家を後にした。
エネルギー問題が解消された事に安堵しながら。
これで、心おきなく力になれる。
私の世界の技術、全てを使って力になると。
これから、ある人物の家へと向かう。
そこで準備を整えるらしい。
「そういえばさ、ナディはさ…元の世界ではどんな事をしていたんだ?」
「大したことはしていませんよ…そうですね」
昔の話をする、AIという人工的に造り出された知能として始まりが私だと。
当初は、人の役に立つ為、世に出回っている情報の精査や、難しい問題の解決、新しい技術の確立など。
二足歩行のボディが出来た頃には、家庭用として家事に勤しんだり、身の回りのサポートなど。
その頃には、私の分身のようなAIが、世界中に散りばめられていた。
その中から別の自我が形成され、独立した一個体が存在し、現れ始めたこと。
それらをまとめる為に、動いていた事など。
少し長話にはなったが、ラクーンは聞いてくれた。
「そっか、お前ってすごいんだな。こっちでいう姐さんみたいに、王をやってたって事だもんな」
「…出来損ないの王でしたけどね」
「ん?それってどういう…」
「おい!ラクーンのガキじゃねぇか!!」
家?というより工房のような場所に着いた。
扉はなく、中にはカウンターと、何かを作っている人物がいた。
工房の中から髭の生えた大柄な男性が、ツルハシを片手に、こちらを大声で呼んでいる。
「おぉ!爺さん!くたばってなかったか!」
「がははははは!あたぼうよ!でかい男になるまで俺は死なねぇよ!!」
「図体と、この腹だけ一丁前にでかくなりやがって」
「ガキのくせに言うじゃねぇか!」
「ガキじゃねぇって!いつまでもその呼び方!」
「がはははははははっはは!」
2人がやりとりをしている横で挨拶をする。
ラクーンが簡単に私の事を紹介してくれる。
「ふむ…なるほどな、よろしくなナディとやら、俺はここで【魔道具】を作っている【タルトー】というもんじゃ!」
「タルトー様、よろしくお願い申し上げます」
「爺さんに様なんかいらないよ、爺さんか、タル爺とでも呼んでやりな」
「俺にそんな口を聞くのは、お前だけじゃ」
「では…タル爺」
「ふはははははっ!いいじゃん、いいじゃん!」
「かぁーっ!ラクーンに毒されたな」
2人の笑い声がこだまする。
すると、タルトーが私の持っている小包に気付く。
私はライタに言われた通り小包を渡す。
「おぉ!こいつは!分かってるじゃねぇか!」
小包を開けると、中にはタルトケーキが入っていた。
ラクーン曰く、こんななりをしてはいるが、大の甘党との事で、優先して依頼をお願いする時には、3時間待ちだという有名店のタルトケーキを持参するとの事だ。
「よしきたっ!他ならぬタルトケーキと、お前の頼みだ!今回はいったいどうした?」
「奥で話そうか、ここは人通りがある」
「…ふむ」
タルトーは奥へと指を刺し、工房内へと案内する。
中には様々な道具と、材料らしきものがある。
見た事ないものばかりだ、道具は見慣れたようなものがいくつかあるが。
工房の奥へと進み、部屋の中へ案内される。
「さて、なんぞや?大事かいな?」
「封印を解く、その為に城に潜入する。今までの潜伏とは訳が違う…それなりの装備が必要になる」
「!?」
「嘘じゃない、鍵を握るのはナディの能力と、ライタらからもらった情報」
タルトーが一粒の涙を溢す。
「そう…そうか…ようやくか…」
「必要な物は…」
使い捨ての杖が数本、隠蓑が2つ、爆発・痺れ・煙玉をそれぞれ4つずつ。
「あと、あれが入荷したはず。“巻物”」
「ふんっ、どうせライタの野郎だろ?相変わらず、そこらじゅうで聞き耳立てよってからに」
タルトーは少し考え込む。
「2〜3日で揃えはするが…素材が足りない」
「なら、俺たちが獲りに行ってくるよ」
「おぉ!そうだな!必要なリストは紙に書いてくるからちょっと待っとれ」
私はラクーンに、道具について尋ねる。
杖がなくとも術式が発動できるが、杖を媒介にする事で威力や効果範囲などが増大するとの事。
大きな杖の方がいいが、潜入には向かない。
なので、短くて使い捨てのものが必要になるらしい。
隠蓑は、完全ではないが身を隠す為の物、玉は投げるだけで、爆発したり、対象を痺れさせたり、昨日のように煙を出したりするらしい。
緊急用として、持っておくらしい。
「巻物はな…ナディの為に必要なものだ、ある種族だけが作れる物らしい。」
「その効果は?」
「簡単な物だけだが、一部の術式を保存して、任意のタイミングで発動できる物。ナディのエネルギーが無くなってもいいように、持っておく」
奥から、タルトーが紙を持って駆け寄る。
紙を渡され読んでいる。
「うん、周辺の“魔物”だけで大丈夫だな」
「魔物とは?」
「【魔核】と呼ばれるものを、体内に持っている生物だ。俺たちの魔心のようなものだな」
どうやら、その魔核と呼ばれるものがいくつかと、倒した魔物の素材がいくつか必要らしい。
魔物から獲れる素材を用いて作られた道具が、魔道具と呼ばれているそうだ。
「よっしゃ。行ってこい!準備して待っておる!」
「…なら、ここの杖頂いてくるぜ!」
「あっ!こら!待たんか!それは…!!」
ラクーンは気にもせず、走り去っていく。
「参ったの…まぁ、大丈夫か!がはははっ!」
2人は外殻壁の大門へと向かう。
退国手続きを済ませ、国の周りの森へと向かう。
すでに私の身分証は用意してくれていたそうで、問題なくスムーズに出る事ができた。
「さて!狩りにいきますか!まずは森の中に入って、獲物を探していこう」
杖を片手に携え、森の中へと入っていく。
ここは、魔物が多いことから【魔の森】と呼ばれているらしい。
この森の中から、魔物を探すそうだが。
「魔物のイメージを教えて頂ければ、探せるかもしれません」
「あぁ!あの能力か!」
「おーけー!探して欲しい魔物は3体、まずはフォレストウルフ、フォレストレント…そして、一番の難敵、カメレイン」
「…すみません、イメージが湧きません」
「あっと、すまねぇ…たしか爺さんが気を利かせて」
ラクーンは、私に絵の描いた紙を差し出す。
今回の目標を描いた物らしい。
非常にありがたい、これでイメージがつく。
狼に、動く木、カメレオン。
このイメージで、森の中を探索する。
「入って前方、少し進んだとこにフォレストウルフが3匹います」
「りょうかい、こっちから仕掛ける…俺が動きを封じるから、ナディはこのナイフで喉元を刺せ」
そうして、作戦を立て森の奥へと入っていく。
こちらの動きに気づいたのか、フォレストウルフの動きが慌ただしくなり、こちらに顔を向けている。
「きます」
《土ノ拘束》!!
勢いよく飛び出してきた、フォレストウルフをあっという間に地面から伸びた土で、縄のように拘束する。
私は躊躇いなく、喉元にナイフを突き刺す。
無事に、3体のフォレストウルフを狩る。
胸元に魔核があるそうなので、ナイフで体を開き、中から宝石の様に輝く石を取り出す。
これが魔核らしい、魔物のランクによって、輝きや大きさが変わるそうだ。
続けて牙を削ぎ、袋に入れていく。
「よし、順調だな…このままあと7体狩るぞ」
「わかりました」
その後も森の中を進んでいき、フォレストウルフを7体狩る事に成功する。
ここまで順調なのは、珍しい事だそうだ。
早速、私が役に立てているようで安心する。
次は、フォレストレント。
こちらも難なく狩ることができた、同じく動きを封じて、ナイフで直接魔核をほじくり出した。
魔物は、魔核を抜き出されると絶命するらしい。
私たちは、手際よく狩りを進めていた。
だが、最後のカクレインだけが見つからない。
かなり範囲を広げてはいるが、引っかからない。
陽も落ちつつある、正午を過ぎた頃だろうか。
「すいません、中々見つかりません」
「まぁ、元々そういう魔物だからな〜、周りと同化して姿を消す。そうして、見えない隙にこちらを狩にくる、別名“森の狩人”と呼ばれるほどだならな」
「それの素材が、隠蓑になるわけですね?」
「そゆこと、皮を剥いでマントを作る。その中に、魔核を練り込む事で効果を発揮する」
「止まってください」
2人は足を止める。
前方にカクレインらしき反応があったのだ。
ただ、大きさが4〜5mはありそうな巨体だ。
「間違いないな、カクレインだが大型だな」
こちらには気づいていなさそうだが。
そうして作戦を考えていると、後方より3つの人の反応を捉えた。
私は、急いで見つからないように隠れる。
どんどん近づいてき、こちらまで大きな声が聞こえてくるようになる。
『やいやいやいやい!出てこい化け物共め!』
『ひぃ〜…ちょっと!声を落としてくださいぃ』
『そうですよ、大量の魔物を寄せ付けますよ』
『うるせぇ!俺に指図するんじゃねぇ!』
『『 はぁ…わかりました… 』』
私は目を疑う。
ラクーンも同じく、突然現れた声と集団に、驚きを隠せないでいる。
無理もない、大きな声をあげているのは王燐なのだから、異世界の召喚者…光の力を持つ者。
2人ほど見知らぬ顔を引き連れて歩いている。
『ったく…全然いやしねぇ!これじゃあ力を解放できねぇじゃねえかよ!』
『ふぇ〜知らないですぅ〜』
『落ち着くですよ、確かに数が少ない気はしますが、地道にやっていくしかないですよ』
『早く…早くこの力を大きくしたい。魔物を狩り続け、この力で…俺は…』
どうやら、魔物を狩る事で力の解放をするらしい。
ラクーン曰く、魔核を何らかの方法で吸収し、自身の中の力を、徐々に解放していくのだろうと予測する。
(こちらの数は2、あちらは3。どうしますか、この森で仕掛けたら、今後楽になるのでは)
(いや、奴が力を解放していないとはいえ、こちらの装備が足りないのと、頭数が足りない)
(たったの1人差ですよ、最悪差し違えても)
(馬鹿野郎、俺もお前もまだやるべき事がある、それにここで戦ったら、同時に奥のカクレインも相手しなきゃならねぇ)
(かしこまりました、ここはやり過ごしましょう)
2人は、見つからないように息を殺す。
何も出来ずにやり過ごす。自分の悔しい思いを、手で強く握り潰しながら。
突如、木に大きく打ち付けられる音が響く。
大きな足音と共に、森の狩人が、獲物を見つけ仕留めにかかるように。
『うぉあ!?』
『王燐様ぁ!』
『ちっ、カクレインとは…ついてないようですね』
どうやら、カクレインと相対したようだ。
この騒ぎに乗じて逃げるか?
(まてっ、ギリギリまで寄りたい。あいつらの動きや、能力を確認しておきたい)
(でも、万が一見つかれば)
(大丈夫、お前の能力でバレない範囲でやりたい)
(かしこまりました、目視は叶いませんが、私が動きを解説していきます)
(十分だ)
2人は、気配を気取られない距離まで近づく。
早速3人は交戦していた。王燐らしき人影は木のそばで横たわっている、どうやら気絶しているらしい。
残った2人のうち、背の高い男の方は身の丈ほどの盾のを構え、カクレインの攻撃を防ぎきっている。
杖を持った小柄な少女は、王燐のそばにいた。
(どうやら、劣勢ですね)
お互いに横たわっている王林を守りながらで、その場から動けずにいる。
しばらく、守りの一本で、攻めあぐねている。
すると、風の流れが大きく変わり、切り裂くような音が数回鳴る、おそらく術式だろうか。
カクレインが呻きを上げ、攻撃の手が緩む。
隙ができた瞬間、盾で大きく体当たりをする。
5mはある、大きな巨体をひっくり返したのだ。
大きな地響きと、呻めき声が大きく響く。
『おい、逃げるぞ!このまま守りながらでは無理だ!どうせのびてるんですよね!?』
『はいぃ!ダメですぅ、全然起きないですぅ』
『俺が抱える!走れよ!』
そういうと、男は王燐を抱えて3人は元来た道を、急いで駆け戻っていく。
「なんとか、やり過ごしましたね…」
「あぁ、あのまま仕掛けたらヤバかったな」
「カクレイン…起き上がりますよ…」
カクレインが体を起こし、起き上がる。
辺りを見渡し、獲物を探しはじめたようだ。
「よしっ、やるか…どの道俺たちが狩る予定だ」
「作戦は?」
「ここは、俺に任せときな」
そう言うと、カクレインの元へ歩いていく。
大きな巨体に、鋭く尖った角が二本生えており、舌を垂らしながらこちらを凝視する。
所々に切り傷があるが、気にもしていない様子。
目視で捉えると、首を鳴らしながら手に握っていた大きな杖を向け、大きく息を吸い、唱える。
(頼む…もってくれよ)
《 土ノ拘束 》
《 土ノ棘針 》
《 土ノ鉄拳 》
一気に三つの術式を唱える。
瞬く間に、カクレインを拘束し、地面からの大きな針で体を突き刺す。
とどめに拳の形状を叩きつける。
呻き声を上げる事なく、静かに息絶える。
「三重術式を扱えるのは、一握りなんだぜ」
そう言うと、巨大なカクレインを背景に、こちらに笑顔を向けてくる。
手に持っていた杖は、大きな音を立てて崩れ去る。
「やっぱりか…負荷に耐えれないんだよなぁ」
「すごい…」
「ごほっごほごほごほっ!…ごほっごほっ」
「だ、大丈夫ですか」
ラクーンの元へと駆け寄る。
「あぁ、大丈夫だ、言ったろ?負荷が大きい。杖だけでなく俺の身体も例外じゃない」
そう言うと彼の手からは血が垂れていた。
苦しそうな顔をして、血を吐いたのだ。
「さて、こいつを捌いて帰ろうか。俺が捌くから、周囲の警戒頼む」
「少し休んだ方がいいのでは」
「大丈夫、急がなきゃならねぇからな」
そういうと、カクレインを手際よく捌いていく。
捌き終えた頃には、夕焼けが森を照らしていた。
捌いた素材を小さく折り畳んで、2人分に分ける。
今日の素材、全てを抱えて森を出ようとする。
かなりの量になったので、私が多く持つ事にし、急ぎ足で歩きながら、日が沈む前には戻る事ができた。
第7話、1日遅れで更新しました!
今回も長くなってしまいました…かな?
程よく読める長さかなとは思っています!
暑かったり寒かったりする気温が続いておりますが、お体にはご自愛ください。
そんな時のお供に、私の作品をお願いします(^^)
また次話でもお会いしましょう!