【第79話】魔王心の解放
どうも、ノウミと申します。
まだまだ作品数、話数としては少ないですが、これから皆様の元へ、面白かったと思って頂けるような作品を随時掲載していきますので、楽しみに読んでいただければと思います。
沢山の小説がある中で、沢山の面白い作品がある中で私の作品を読んでいただけた事を“読んでよかった”と思っていただける様にお届けします。
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工房に戻ると、コハクの武器の制作途中だった。思ったより早くに戻ってきたのでグロガルたちも驚いてはいたが、取り敢えずアレクの力を借りて水のインゴットを作っておく。
念の為、龍の鱗と爪を抱きかかえてもらうが問題ないそうだ。コントロールも上手く出来ており、力の引き出せる潜在力としても十分とのことだった。
「すげぇな、これが龍の力かよ」
「そうですこれをこれから振るって頂きたいのです」
「こりゃぁ扱いきれるか不安にもなるな」
「お主なら大丈夫じゃ!安心せい」
「あざっす」
それからインゴットの精錬を行う。さすがに五回目ともなると慣れたもので、スムーズに作成することは出来た。力を込めすぎたのか辺りが水浸しになっったので、後片付けもしっかりと……。
コハクの刀が出来ないと次の武器は作れないとのことなので、私たちは一旦竜の里で休むことにする。
サクラは稽古をつけてもらううとの事で、コハクと共にどこかへ行ってしまった。アレクも面白そうだからと後をつけていった。
私はセイに訪ねたいことが会ったので、外でジャスティスの訓練中とのことだったので居場所を聞いてから向かう。
向かったところではジャスティが竜の鱗と爪を抱えながら力のコントロール訓練の真っ最中だった、こちら気付いた二人は訓練を休止してくれた。
「ナディかい、どうした??」
「少しお伺いしたいことが、妖族の魔王心って今はどこにありますか?」
「あぁ、あれなら俺の部屋にあるぜ。この事をみこしていたのかある日俺に預かっていて欲しいと頼まれていたんだ」
「なるほど、お借りすることは可能でしょうか?」
「かまいやしねぇが、どうした?」
「少々気になることが……」
「分かった、何か考えでもあるんだな?建物の場所は伝えるからそのまま入ってくれていいよ」
「かしこまりました、ありがとうございます」
そうして私はセイの自宅へと訪れて中に入る、言われた箪笥を見つけた。この中に例の魔王心の入った黒い箱が入っているとの事だった。
中を開けてみると確かにその箱は入っていた。
黒い箱を手に取ってみる。
「……もしやとは思いましたが」
手に持ってすぐに感じた事がある。以前に触れた様な嫌な感じは何も無かった、妖族の王を八獄衆から解放した事によって何か変化がないかと思っていた。
まさにその変化が現れている。
私は試しに黒い箱に巻かれた鎖に手を触れてみる、以前なら引っ張る事も出来ないほどに固く、何をこの鎖を解く事はできなかった。
少しだけ動いた様に感じる、私は箱を地面に置き刀を抜く。上から刀を刺し込むように振り下ろす。
すると鈍い音と共に、黒い箱を巻いていた鎖が砕け、黒い炭の様に崩れ散って行った。
「まさかこんな簡単に…」
私は黒い箱を取り上げ、恐る恐る開いてみる。
中に入っていたのは漆黒の宝石のようなものだった、これが魔王心なんだろうか、特にこれから何かを感じる事もなく、妖族の魔王心だと言われても分からない。
それに触れようとした時、私の手が何か不思議な力によって弾き返された。種族が違えば触れる事も出来ないという事なのだろうか、それならば私が預かっている戒族の魔王心は意味をなさないのでは。
一先ずは皆に報告するのが先だろう。
どのみちこれで、八獄衆を倒していかないとそれぞれの魔王心を解放する事は出来ない事が分かった。
私は家を飛び出してセイとコハクたちのいる所に向かった、里の外に出ると丁度全員が揃っていた。
皆で力のコントロールと各々の特訓を兼ねて、修練をしているとのことだ。一旦中断してもらい魔王心について説明する為に集まってもらった。
「すみません、何度も」
「なんじゃえらい急いで走ってきおったの」
「はい、急ぎで伝えたい事が」
「もしかして、さっきの妖族の魔王心についてか?」
「はい、実は……魔王心の解放に成功しました」
そう言いながら黒い箱を手に持ち、蓋を開ける。
中に入っていた漆黒の宝石に全員は驚きを隠さないでいた、どうやら見覚えのあるようで言葉を発することもなくただこの箱の中にあるものを見ていた。
「間違いないの…」
「…確かに」
「これは魔王心で間違い無いんですね?」
「うむ、妾も話に聞いた程度ではあるがの」
「俺は見たことがあります、間違い無いですね」
「この様に…(バチンッ)触れることもできません」
「なおのこと間違いないの」
コハクとセイも触れようとしたが、同じく弾かれた。
やはり同じ種族でないと触れる事すら出来ないのだろう、これが魔王心。
「という事はじゃ、八獄衆のいずれかを倒せば妾の鎖も解けて箱が開くという事じゃな?」
「はい、間違いないでしょう」
「戦う理由がさらに増えたの」
「はい、皆さんの魔王心を解放する為にも」
「よし、続きをやろうか!」
私は訓練に参加する事が出来ないので見守ることにする、スタンドレスに戻ろうかとも考えたが、武器が全て揃ってからにしようと考えていた。
訓練の様子を見守りながら戦闘データを集めるのと共に、龍のインゴットを使った武器の設計図や、自身の体について修復すると同時に改良するためのものを考えている。
そんな事を繰り返し、二日経った頃コハクの武器が出来上がった、早速皆で見に行くことにする。
工房に入ると、鞘に収められた一本の刀が置かれていた。
「グロガルよ、出来たのか?」
「またせたな、完成しておるわ!」
コハクはその刀を手に取ろうと歩み寄る。
柄を握った瞬間、コハクの目が見開いた。
途端に体から炎が溢れ、工房の中が熱気に包まれる。
「コ、コハク?」
「うむ、すまんの。思ってた以上じゃ」
「扱えきれますか?」
「無論じゃ、今すぐにでも振るいたいの」
「同じぐらいの武器でないと無理でしょうね」
「じゃろうな……ナディ、すまぬがアレクの武器を先に作っても構わんかの?」
「ええ、勿論です」
「えぇっ!?いいんすか!」
「構わぬよ、要望は大鎌かの?」
「あ、どうせ作ってもらえるなら……」
アレクは何か要望を伝えに向かった。グロガルたちとなにやら話し込んでいる様だ、ずっと大鎌で戦っているのもみていたし、ここにきてからも訓練中は大鎌を使っていた。何か他に要望がるのだろうか。
グロガルは話を聞いて笑い声を上げていた。
「わかったわかった、任せておけ!!」
「あ、ありがとうございます!」
これもまた完成が楽しみだ、そろそろジャスティスの力のコントロール訓練も終わりそうだと聞いていたので、私の武器は最後で良いだろう。
「そついえば、コハクの刀の銘は?」
「ふふっ、握った時に浮かんだわ」
【龍魔刀 焔炎】
「それがこの銘じゃの」
「いい銘かと思います」
ジャスティスにも早めに武器を握ってもらい、その力をものにしてもらいたい。コハクとアレクがこれで次からはいい練習相手にもなってくれるだろう。
私では練習相手になれないから。
これ以上体が酷くなることはないが、そろそろ自身の思い描く設計図も出来つつある。新たしい素材の確保のために、サクラとも相談し合いながら空いた時間は錬金術で素材作りに勤しんでいた。
今以上に耐久力が必要になるが、そうなると柔軟性に欠けてくる。それに耐火性も今後はさらに必要になってくるだろう、コハクの炎にも耐えれるぐらいの素材を実験していきたいが、アレクとの戦闘訓練である程度の力の制御を身につけてもらってからでも遅くはない。
それまでに、候補となる素材を作っていこう。
考えられるのは、元の世界になかった素材。
この世界だからこそ作れる素材を作り上げられなければない、先の戦闘で気付かされた元の世界の技術では限界があるが、この世界の物と上手く混ぜ合わせる事ができれば、新たな素材として強力なものが出来上がるのではないかと。
残り数日。
人族の動きも気になるところではあるが、今はこの時間を最大限に生かして自身を強化させる。




