【第77話】八獄衆 -ネッセン-
どうも、ノウミと申します。
まだまだ作品数、話数としては少ないですが、これから皆様の元へ、面白かったと思って頂けるような作品を随時掲載していきますので、楽しみに読んでいただければと思います。
沢山の小説がある中で、沢山の面白い作品がある中で私の作品を読んでいただけた事を“読んでよかった”と思っていただける様にお届けします。
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目の前の男は八獄衆のネッセンと名乗った、まさか八極衆を投じた事もそうだが単騎で乗り込んで来るとは。
「そうでしたか、八極衆でしたか」
「そうだ…お前もよく知っているだろう?」
「えぇ、嫌になる程ね」
果たして私一人で倒せるのだろうか、それでなくとも八極衆を相手にするのは毎度の事ながら骨が折れる、今までと違って、今回は一対一。
それに、ここで負けるか逃がすような事があれば、コハクたちを挟み撃ちにされる事になる。
何としてでも、ここで仕留める。
気が付けばまた腕を射抜かれていた、この正体を見極めなければ私に勝ち目はない、この水蒸気が関係してる事は明白だが、撒き散らす手段も持ち合わせていない。
飛んでくる方向はばらばら、全方位から襲い掛かられているような気がする、このままやられるぐらいならと一気に詰め寄ろうと駆け出す。
だが、近づこうとすると水の触手が再び出現して寄せ付けないように暴れ回る。撃ち込んだ弾丸も防がれ、くしくもこれ以上の手段が無い。
「面倒くさいっていいながら、頑張りますね」
「あんたを倒せない方が面倒くさくなる」
「狙いは私でしたか?」
「違う、、たまたま…」
このままでは一方的にやられて終わる、何かないだろ…、一つ思いついた事を試す、攻撃手段は水を主に使っていた、それならば先ほどから不明な攻撃手段も水を使っているものではないだろうか。
私は弱い電を全身から漂わせるように流していく、これで攻撃の正体を見極める。電の流れや反応によって分かるかもしれない。
流して直ぐに効果は現れた、後方で流していた電が水を通じて一箇所に集約しているような反応が見られた、この水蒸気中の水分が集まる事で水となり電が反応するまでになったのだ。
これで正体は見えた、飛んでくる方向も分かる。
水を一点に集約させて圧縮。それを一気に弾き放つ事で私の腕を貫くほどの硬度と速度を実現したのか。
多少なりとは避けやすくなった。
それでも先ほどまでの水の触手に加えて、この水の弾丸。気は一瞬も抜けないし、防戦一方なこの状況はあまり良くない。
「なに…気づいたの?」
「さぁ、どうでしょうか」
「気づかれたならいいか」
手を挙げると、さらに水蒸気が濃くなってる。幸いな事にこの体には耐熱加工をかなり強めに施しているので、熱気による被害は少ない。
それよりも…
「さっきまでとはいかないよ?」
周囲に無数の反応が出現し始める、水を圧縮した物が私を覆い囲うようにして形成されていく。
先程までは見つからないようにと、少しずつ撃ち込んでいたのを一気に物量で攻める気らしい。
「だるかったよ、本当に」
[ 水粒の弾雨 ]
手を振りかざし、私に無数の水が迫り来る。一つ一つの威力はそんなにしないとしても、この量はまずい。
私は嫌な予感がしていたので、こちらに戻るように指示していたリフレクターを盾のように配置してこの猛襲に備える、全部を防ぐ事は出来ずに頭と体は守り切れたが手足の損傷が酷い。
動かせる事はできるが、動きは落ちる。
防ぎ切ったリフレクターを改めて私の周囲に旋回させておく、これ以外にあの攻撃を防ぐ手段は無い。
完全にこちらが不利だ、相性が悪すぎる。
「しつこいな、なんなの」
「………」
「いいよ、潰れるまで撃ち続けるよ」
また腕を上に振り上げ、また同じ事を始めようとしていた、その隙に私は二刀の刀を両手に握る。
このまま守りに入って何も出来ないぐらいなら、ここで一気に攻めに転じてやる。
地面を蹴り上げ、走り出す。
またもや迫ってくる水の触手を刀で切り落としていく、すぐに元に戻りまた迫ってくるが、また切り落とす。それを何度も繰り返して徐々に距離を詰める。
撃ち込まれる水の弾は、背面に配置したリフレクターによって防いでいく。先程と同じで全ては防ぎきれていない、それでも足を前に前に出して突き進む。
「私は、簡単に潰れませんよ」
「しつこいよ、ほんとに!」
目前に迫ったネッセン、あと一歩。
さらに水の触手が激しく暴れて襲いかかる、一本も漏らす事なく全てを切り落とした。
いつの間にか、周囲の水蒸気も霧散していた。
私の手足は貫かれた穴同士が繋がり、亀裂が入り始めていた。これ以上は限界を迎える。
「これで最後です」
私は最後の力を込めて、刀を振り斬る。
斬り飛ばしたのはネッセンの首。地面に転がる頭部を見ながら、倒せた事を実感する。なんとか一人で倒せた、体は限界で応援に迎えないが許してくれるだろう。
後はコハクたちに任せました。
「あーあ、何勝った気でいるの?」
「えっ?」
頭部を失って動けないはずの体から、水の触手が飛び出して私を突き飛ばす。
勢いよく転がりながらその場に倒れ込む。
何とか体を起こして顔を上げると、斬り離したはずの胴体が歩いて動いている。転がっていた頭部を拾い上げると切断面がスライムのように溶け出していて、首と頭部が繋がりあった。
そうして、先程と変わらずに言葉を発する。
「なに、残念だったね」
「なん……で…」
「この体は水出来ているのさ、いくら切り刻まれようがこの通り通じない」
それでは倒しようがないではないか。切っても駄目、弾を撃ち込んでも駄目、蒸発させようにも凍らせようにも私にその手段はない。それに、恐らくは意味がないだろう先ほどから自身で蒸発させていた所を見ると、それらに対抗する力を持ち合わせているはず。
「どう?絶望した?」
「言いたくないです」
「そう、なら死んでよ」
「嫌です」
「そう言っていられるのも今のうち」
再び手を振り上げて、水の弾を準備していく。
私はなんとか体を動かし立ち上がる、刀を握り切っ先を向けながら構える。
「まだ動くの?めんどくさっ、もう諦めなよ」
「ここで諦めるわけにはいきませんよ」
私は体の中にあるリミッター全て取っ払う、この状態で動いた事は無かったのでどうなるか分からない。どれくらい動けるのか、どれだけ耐えれるのか。
そして、もう一人の人格が出てこないのか。
それでもここで外さなければ後悔する事になるだろう、出し惜しみなしと思っていたがこれは諸刃の剣となり、途中で力尽きる可能性もあった。
この状況でそんな事は考えてられない。
全身に魔力と電が駆け巡っているのを感じる、これを長時間続けると危険な感じがする。
身体中に穴と亀裂が入っているこの状態では尚の事。
「今更何をしても無駄…」
降り注ぐ水の弾を振り切った刀の衝撃で吹き飛ばす、何度も何度も振り続けて、凌ぎきった。
「…無駄はないですよ」
「その体でいつまでもつかな?」
今度は水の触手が襲ってくるがこれも全て切り落としていく、あまりの水の量に辺りは浸水していた。
降りしきる水の弾と襲いかかる水の触手、全てを吹き飛ばしては切り落としてこの体の活動限界を迎えるまで動き続ける、次第に激しさを増していく猛攻をもろともせず突き進む。
そうして手が届く範囲まで近づく事が出来た。
地面に刀を突き刺し、近づいたネッセンのお腹に手を突っ込む。
確かにこの体は水でできているようだ、簡単に私の手が刺さっていた。
「なに?そんなの効かないよ」
「分かっていますよ、そんな事」
「じゃあ、そろそろ死んどこうか?」
「あなたが」
私は出せる限りの電を体の中で一気に放出させる。激しい雷鳴とほとばしる電光をその体の中へと注ぎ込んでいく。
「何を無駄……っ!?」
「あなたは知らないでしょうね」
「何、この感覚」
「私たちの世界では当たり前の知識ですよ」
「離せっ!このっ!」
私の腕を掴もうとするが、握った瞬間に消えて無くなっていく、次第にその体は溶けるように崩れる。
「何……が、起き…て?」
「電気分解、あなたを水と酸素に分解しています」
「な………に、それ」
「知らなくて結構」
私は手を抜き、拳銃を取り出す。
「これも私の世界での知識ですよ」
銃口を刀に向けて、引き金に指をかける。
「や……め、」
引き金を引いた後に銃弾は刀に向かって飛んでいき、ぶつかった拍子に火花を散らす。
「爆鳴気といいます」
散らした火花で引火し、激しく燃え上がる。
電気分解により酸素と水素に分かる事によって、引火する気体へとなったのだ。
「な……で、こ…な………」
しばらく空中で燃え上がる炎を見つめる。
体の中でリミッターを再び掛け直す。
これで私の戦いは終わったのだ。




