【第74話】龍の力を引き受ける者
どうも、ノウミと申します。
まだまだ作品数、話数としては少ないですが、これから皆様の元へ、面白かったと思って頂けるような作品を随時掲載していきますので、楽しみに読んでいただければと思います。
沢山の小説がある中で、沢山の面白い作品がある中で私の作品を読んでいただけた事を“読んでよかった”と思っていただける様にお届けします。
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私たちは再び竜の里に戻ってきた、地鳴りと森の火災については何も問題ないと皆に説明する。セイたちには事の顛末を全て知らせておく。
「そうか、あまり良くない知らせだな」
「すみません、私たちがいながら」
「俺らがおっても同じだっただろうさ」
「そして、セイ。早速で悪いのですが…」
私はジャスティスを呼んだ、今この場にいる二人のどちらかにゴルマイガからの龍の力を受け継がさせるか、決めるためだ。
「ここにいるお二人のどちらかに、龍の力をお渡ししたいと考えています」
「はい、ナディ様お願いします」
「それで、どうやって決める?」
「それについてはもう考えています、お互いに鱗と爪を抱えて頂き、どちらが相性が良いのかを見極めます」
そう、コハクや私に現れたようなものが何処まで強く色濃く出るのかで判断を下そうと思う。
受け継がせるのであれば、より一層龍の力を引き出せる者の方がいい。
龍の鱗と爪はタルトーにお願いしており、既に持って来てくれていた。
「さて、始めましょうか」
「りょうかい」
最初はサイから試してみるそうだ、鱗と爪を抱え上げてすぐに、私たちでも感じるほどに魔力がお互いを流れ始めていた。流れ始めてすぐに、足元が反応を示した。
土が隆起し始めて土が突出して飛び出した、コハクが体から炎が溢れたように、地面の土に影響が出ていた証拠になる。
私の後ろにいたジャスティスは唾を飲み込んでいるのが聞こえた。それもそうだ、これ以上の反応を皆に示せなければ龍の力は受け継げない事になる。
「よ、よし…次行きます」
ジャスティスは、セイから鱗と爪を受け取り抱える。
セイが少し離れたところで反応を見せ始める、魔力が先ほどよりも激しく蠢いているように感じる。
当の本人もそれには驚いているようで、押さえ込むように鱗と爪を抱き抱えている、それを見ていたセイが異変に気づく。
「離せ!」
ジャスティスはその言葉に従うように、鱗と爪を地面に落とした。その瞬間に、身を守るようにして土壁が何重にも渡って地面から飛び出してきた。
私はこんな事になるなんて考えてもいなかった、相性の良さそうだったコハクだってここまでには、ならなかったのだから。
「決まりじゃの」
コハクがそう呟く、セイはジャスティスを救出しようと土の壁を砕きながら進んでいた。
「セイ、ですか?」
「ジャスティスの奴じゃよ」
「でも、この感じでは危険…」
「潜在能力の高さの現れじゃの、妾もそうじゃが龍の鱗と爪を抱えた時に気を抜けば同じような事になっておった」
「抑えていたと?それならセイは」
「セイも抑えてはあったがジャスティス程の引き出し方は無理じゃろうな、後は力のコントロールを身につければあれは化けるでの」
それならば私は、私はここまで引き出せたのだろうか。いや、抱えた時にはそんな感じはしなかった。
もう一度試してみたら分かるのだろうか。
そうして土壁の中からジャスティスが這い出てくる、自分でと何が起こったのか分かっていない様子で、唖然とした表情を浮かべていた。
私たちも駆け寄り状況の説明と、龍の力について告げる。
「ジャスティス、あなたにこの力を渡しますが、その為には力のコントロールを身につけてください」
「え、いいんですか?」
「おう、あんなもの見せられちゃ俺がって言えねぇわな!」
「その代わりと言ってはなんですが、セイ。力のコントロールと使い方についてご教授していただけませんか?」
「いや、そんな…僕なんかに!」
「おう!任せとけ!」
セイは指南役として快く引き受けてくれた、二人は手を取り合い早速訓練をしに行くとこの場を後にした。
亡きクロハもセイに色々と教えていたと聞く、同じ空を飛んでいた者を知っている、彼なりの経験と見聞きしたものを上手く伝えてくれる事だろう。
私は早速、コハクに付いて来てもらい電の龍に賜った鱗と爪を抱きに向かう。
私とそこまでの相性が無いのであれば、そこは考えないといけない。私以外となると、ファーネか。
工房の中に保管してあるとの事だったので、中に入ると四種類の鱗と爪が綺麗に並べられていた。
「コハク、すみませんが見ていてください」
「うむ」
私はその内の一つを手に取り抱き抱える。
すると、確かに私の中にある人工魔心と強く結び繋がるような感覚が走り、体から電がほとばしってはいるが、ジャスティス程ではない。
勿論、抑えているような感覚もなければ、うちから力が吹き出しているようなものも何も無い。
私では、十分な力を引き出す事が出来ないのだろ。
「コハク、これが限界ですね」
「お主、抑えておらんか?」
「いえ、そのような感じはないですね」
「………いや、抑えておるぞ、無意識か?」
「そんな感覚はないし、力の流れは感じ……」
「どうしたのじゃ?」
ふと思った事が一つある、元の身体では過度な電流が流れたりしないようにリミッターが備わっており過電流を防いでいた。今の体にはそれが無い、あるとすれば前と変わらずに残っているこの頭部。
但し、私に備わっていたAIは、人工魔心の中に組み込まれて稼働しているはずだ。
それならば、その大元の人工魔心の中で無意識ながらもリミッターのような役割をしていたとしたら。
私は自身の中に意識を向けて、深く潜っていく。
「そうでしたか……」
「おーい、どうしたのじゃ?突然黙り込んで」
「コハク、離れてください」
「ん?」
私は自身の中にあったリミッターを取っ払う、これ以上の制限は必要ない、この世界においては身体が壊れて動かなくなるまで戦い続けるのだから。
もう、後悔をしなくて良いように。
『 やぁ、やっと出られたよ 』
「なっ!?」
ノイズ以外の何者かが奥の方から出てきた、もしかすると人工魔心夜中に眠っていた人格か。サクラにも同じような人格症状が出ていた、それと同じだとしたら。
だが、その一言以降何もなかった。
呼びかける事も、何か話しかける事もない。
取り敢えずは気にしないようにする、何も起きないのであれば何も出来ないのだから。
気づけば、身体中から電が放出されていた、コハクが叫ぶような声で“抑えろ”と言っていた。
私は我に帰り、体の中の魔力をコントロールする。
また新たに一時的なストッパーを設けるような感覚だったので、これにはすぐに慣れた。
「すみませんでした」
「お主は馬鹿か!こんなとこでぶっ放しおって!」
周りを確認すると、工房の中がかなり荒れ狂っていた。所々焦げ跡のような物が見られるが、私の電のせいなのだろう。
「何事じゃ!?」
奥からタルトーとグロガル、ファーネが驚いた様子でこちらの部屋に入ってきた。状況を見渡して、もう一度三人から怒られるハメになってしまった。
新たに現れた人格に気を取られていたなど、今は言わないほうがいいだろう。敵が味方か、何が目的かどんな奴なのか何も分かっていない以上、余計な情報を伝えて混乱させるわけにはいかない。
工房の中を後片付けし、もう一度机の上に龍の鱗と爪を並び直す。
「お主、本当に大丈夫かの?」
「大丈夫です、お騒がせしました」
「なら良いが、気をつけるんじゃぞ?お主が思っている以上にかなり強力ではあるが、その反面先のように周りに被害を及ぼしかねん」
「はい、肝に銘じておきます」
それから暫くはもう一人の人格が出現するような様子は見られなかった、せめてもう一度出てくるような事があれば、会話ができるような気がするが。
やっと出られたと言っていたが、私がリミッターを無くした事で出てきたと言う事は、それのお陰で今まで押さえ込んでいたのだろう。
そこに一気に電の力が流れ込んだものだから、呼び起こされたのだろう。
味方であればよいが。
74話ご完読ありがとうございます!!
また次話でもお会いしましょう(^^)




