【第70話】集う龍種
どうも、ノウミと申します。
まだまだ作品数、話数としては少ないですが、これから皆様の元へ、面白かったと思って頂けるような作品を随時掲載していきますので、楽しみに読んでいただければと思います。
沢山の小説がある中で、沢山の面白い作品がある中で私の作品を読んでいただけた事を“読んでよかった”と思っていただける様にお届けします。
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荒れ狂う嵐の中、その中心とも言えるあの二体の龍種の中に突撃しているのだから、なんとも無謀な事をしているのかと思う。
それでもいかねばならなかった。
片方は風龍で間違い無いとは思うが、もう片方は瑠璃色の鱗に全身を包み、まるで巨大な蛇のような見た目をし、空を泳いでいるかのように飛び回っていた。
二体は激しいぶつかり合いをしながらも、飛び回っている。これが本気の龍種の闘いなのだろうか、以前土龍と戦った時とは、比べ物にならないように感じる。
「サクラ大丈夫ですか!?」
「はい!問題ありません!!」
近づくほどに嵐は厳しくなる。
その巨大な体と、言い表せないほどの存在感、いかに自分たちが矮小な存在かと認識させられるほどだった。
「風龍、サラカント!!聞こえますか!?」
反応がなく、こちらに気づいている素振りもない。
「話を聞いてください!!」
どうしたらいい、どうすればこちらに気づいてもらえる。それにこの龍がこのまま戦闘を続ければ私たちの街にも影響が及びかねない。
このまま至近距離まで接近しないといけないのか。
「サクラ!すみません、無茶させます!!」
「いえ!大丈夫ですよ!!」
二体の元へと向かって飛び出す、出力もコントロールも問題なく制御できているようだ。さすがはサクラ、私が想像していた以上のできで仕上げてきている。
一人でなくて良かったと、本当に感じる。
二枚が激しく衝突した後に、距離を取った。その衝撃がこちらまで伝わってくるほどだったが関係ない、そのまま大きく空いた空間へと飛び込む。
その場で静止をしてもらいながら、私は両の手を放し魔銃・超電磁砲を上の空に向かって構える。
呼びかけてもこちらに見向きもしないのだ、これで駄目なら直接撃ち込んで気づいてもらうしかない。
真上に向かって、一発撃ち込む。
この嵐の中でも激しい撃音は轟いていた、空へと伸びる一筋の電光、これなら気づいてもらえるだろう。
「風龍サラカント!お願いです、話を聞いてください!!」
どうだ?
すると、ゆっくりとこちらに飛び寄ってくる。
こちらに気づいてもらえたのだろうか、先程までの荒々しさは失っているように感じた。
真後ろにいるもう一体の龍も同じく、ゆっくりとこちらに寄ってきていた。
[ お主 なぜ ここに いる ]
「ようやく話を聞いて頂けましたか、すみません事情は存じませんがこの闘いを止めてください」
そう、まずはそこからだ。
このままでは街の被害が大きくなる。
[ 闘い? 誰と誰が? ]
「え?いや、今まさにサラカントとあちらの龍が」
[ あぁ ふふふ ははははははっ! ]
突如としてサラカントは大きな口を開けながら、笑い声を上げ始めた。私とサクラは呆気に取られていた。
[ すまぬな ただの 喧嘩 みたいなもんだ ]
ただの喧嘩でここまでの被害を出されていたのであれば、本気で闘いあったら一体どうなるんだ。
考えただけでも恐ろしい。
[ まぁ 本気での 喧嘩 じゃがの ]
あ、本気は本気だったんですね。
何故か少しだけ安心する、これ以上の想像を絶する事が起こらないと思えるだけだが。
[ ちょっと! まだ私 終わってないわよ! ]
後ろにいた龍が声を上げていた、私に合わして同じ言語で話してくれたところを見れば、冷静ではあるのだろうか。
[ まぁ 待て 一旦 休止じゃ ]
[ 何が 休止よ! 怖気付いた くせに! ]
[ ほぉ? 我が? ]
[ 何よ! 続きをやろうか!? ]
やめてくれ、ようやく止まったと思ったのに。
この会話を聞くに、後ろの龍が喧嘩をふっかけたのだろうか、それにしても龍同士が喧嘩する理由とは一体なんだろう。
「一旦落ち着いてください!何があったんですか?」
[ ちょっと 聞いてくれる!? こいつがね! ]
[ まてまて 一旦下に降りるぞ ]
[ 何でよ!! ]
[ こやつらを 飛ばしておく のは 駄目だ ]
こちらの状態を理解してくれていたようだ。私も気になっていたが、サクラの飛行が安定しなくなっていた、長時間に及ぶ飛行には限界があるらしい。
それにこの嵐の中を逆らうように飛んでもらっていたのだ、そこを見抜かれていたらしい。
私とサクラはサラカントの背に乗せてもらい、ゆっくりと地上へと降りて行く。その頃には嵐からただの小雨に変わっていた、風も優しく吹く程度に。
[ すまぬな 迷惑を かけていた ようだ ]
[ ちょっと! 私が迷惑 みたい じゃん! ]
「いえ、とりあえず止めてもらえて良かったです。それで、一体何が起こっていたのですか?」
[ そこよ! そこ! 聞いてくれる!? ]
瑠璃色の龍が今回の顛末を話そうとした時、空からこちらに呼びかける声が、突如として聞こえてきた。
[ ねぇ あなたたち 何をやってる のかしら ]
その声に、二体の龍は急に静かになる。
先ほどまでの騒がしさが嘘だったように、この場が凍りついたような静かさで包まれる。
続けて空には突如雷鳴が鳴り始める。
雲を雷が走りながら、重く轟く音が。それはまるで、あの大空が怒りを見せているような雰囲気だった。
[ ねぇ こんなとこで 何をしてたの? ん? ]
その声の主は姿を現した。
雷が走り続けている雲をかき分けて、ゆっくりとこちらに向かって降りてくる。
また現れた龍に対し、私も動けなくなる。
その龍は黄色く美しい蛍石のような鱗で全身を覆い、元の世界の北欧神話に出てくるヨルムガンドのような姿をしていた。
長く太い体に、力強い手足を生やし、四枚の翼をはためかせながらこちらに向かって降りてきたのだ。
その瞳や顔つきは恐怖を感じる。
改めて龍種は、絶対的な存在だと認識させられた。
[ いや これは その〜 ]
[ まてまて 我にも 落ち度は ある ]
[ まだ 何も聞いてないよね? それに この言語で 話していた と言う事は そちらの御仁 に 迷惑を かけていたのでは? ]
驚いた、この龍もこちらに合わしてくれている。
一部始終をどこかで見聞きしていたのだろうか?
[ で 何をしていたの? ん? ]
[ あの 私が 喧嘩を 仕掛けました ]
[ なんで? ]
[ ひぃっ ]
[ わ 我が 説明しよう ]
サラカントが言うには、ゴルマイガと共に何か楽しそうな事を企んでいるから混ぜて欲しいと言われたと。
それを断っていたら、突如突っかかってきてそれを返していたらいつの間にか、こんな事に。との事。
「あれ、もしかして原因って私たちですか?」
[ どういう事 かしら? ]
「共に鱗と爪をいただき少しお話をさせていただいたり、ゴルマイガとは戦いになった事がありました」
[ サラカント? 今の話は本当? ]
[ はい ]
[ ほらー! 楽しい事 してるじゃん! ]
これのどこが楽しい事なのだろうか。ただ鱗や爪を渡しただけに思えるが、龍種たちにとっては何かイベントのようなものになるのかと考える。
[ で それを受け取ったのが あなた? ]
「あ、いえ。詳しくは私の仲間ですが」
[ ふーん ]
その龍はこちらを見つめている。何か値踏みをされているような、こちらを見透かすようなその瞳で。
[ ちなみに さっき 私に 何か飛ばしたのは あなたかしら ]
何か飛ばした…飛ばした?この龍に私が?
そんな恐れ知らずの事はする筈がないとは思うが、何か勘違いでもされているのではないだろうか。
[ ふふ 分かんないの? 電を浴びた 一撃が 下から飛んできたのよ わかる? ]
「はっ!?、いや狙ったわけでは!大変申し訳ない!そんなつもりではなかってんです!!」
まさか二体を止める為に撃った超電磁砲がさらに上にいた龍に当たるなど思いもしないだろう、まさかこれの為に降りてきたのか!?
必死に頭を下げる、こちらを見ている気配は感じる。
許してもらえなければ、ここで消されるだろう。
[ 大丈夫よ 起こったりしてないよ ただ興味の 惹かれる 一撃 だったって だけよ ]
「えっ?」
[ 私も 同じく 電を司る 龍だけどね 見たことなかったから ついね ]
良かったと安堵する、その龍に襲いかかられたら抵抗する事なく消されてしまう事だろう。先ほどから二体の龍が借りてきた猫のように大人しくなっているとこを見ると、龍種の中でも上位の存在だと伺える。
[ 私からも 鱗と 爪を 贈ろうかしら? ]
[ えぇっ!? ずるい! 私も!! ]
思いもよらない言葉に驚く。私が求めていた物が、まさか向こうから言ってくれるとは、これから交渉やお願いをするつもりでいたのでありがたい。
「ありがたく頂戴したいです、そのお力が私たちには必要なのです」
私は跪きこちらからもお願いをする。
[ ふふ いいわよ それに 地上の様子は ずっと観察してた からね 事情は把握 してるから ]
[ え? 何それ? 私知らない ]
[ あなたは 知らなくて いい ]
[ えぇー! ずるい! 私にも教え…… ]
[ し ら な く て い い ]
[ は はい… ]
この威圧感では何も言えなくなるだろう。
「そういえば、サラカントは名前を書きましたが、あなた方は何とお呼びすればよろしいでしょうか?」
[ あら ごめんなさいね 私は ]
黄色い蛍石のような鱗をした龍は【電龍 ムル】、先ほどから一気に大人しくなった瑠璃色の鱗をした龍は【水龍 ウィレン】と言うらしい。
それぞれ、電と水を司る龍種との事だった。これで残すところは火の龍のみ、正直ここまで一気に事が上手く運ばれるとは思わなかった。
そうしてムルと、ウィレンからそれぞれ鱗と爪を贈られた。ムルの鱗と爪を持った瞬間に、私の中にある人工魔心と強く結ばれるような感覚を感じた、これが龍の恩恵を預かる感覚だろうか。
「本当にありがとうございます」
[ いいのよ その代わり 私たちを 楽しませてね 退屈 させないように ]
その目は本気だった。龍種にとって、私たちの戦争は娯楽のようなものなのだろう、そこに自身の鱗や爪を贈る事で場が大きく動くのだから、見ている側は楽しい事。になるのだろうか。
三体はそれぞれこの場を去ろうとするので、去り際に火の龍についてどこにいるのか尋ねてみた。
[ ごめんね 火の龍は 気まぐれだからね ]
[ 私も 知らなーい ]
[ ふむ 我も 知らぬな ]
どうやら誰も知らないらしい。
見つけたら教えてくれるとの事だったが、自分でも探し回ってみる方が良いだろう。
再度お礼を述べて三体は飛び去っていった。
その頃には雲も晴れ、青空が広がっていた。
先ほどまでの嵐が嘘のように穏やかな天気になった。
「さて、私たちも戻りましょうか」
「かしこまりました、マスター・ナディ」
そうして私たちは街に戻って行く。
事の顛末を説明したら、皆にかなり驚かれた。
あまり無茶をするなと怒られもしたが。
第70話ご完読ありがとうございます!!
これで四体の龍種から恩恵を賜りました。
残る火の龍がいる場所とは?
そして、その龍を探す王燐一行の行方とは?
また次話でお会いしましょう!(^^)




